ニュージーランドってどんな国?
みなさんは「ニュージーランド」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
- やっぱりラグビー
- そのラグビーの前にやる「ハカ」
- 観光、豊かな大自然
- 羊
- キウイ、鳥もフルーツも
- ワーキングホリデーの滞在先
と、そんなところでしょうか。
このサイトでは「ニュージーランドワイン」の魅力をお届けしていくことが基本的なコンセプトですが、そのワインを語る上で、気候や土壌といった自然環境、産業や歴史などの背景は欠かせない要素でもあります。
それらをちょっと知っておくだけで、よりNZワインを美味しく、そして楽しく感じられるはず。
監修者であるソムリエ岩須や、パートナーである石黒さんが惚れ込んだニュージーランドって、一体どんな国なのか?このページで掘り下げていきたいと思います!
もくじ
まずはざっくりニュージーランドとは
ニュージーランドは、広大な南太平洋に浮かぶ島国。
日本から見ると赤道を挟んでちょうど反対側にあって、国土の大きさも似ている、なんとなく親近感を感じる国。
そこにあるのは、これでもか!というくらい広がる、手つかずの大自然。どの景色を切り取っても絵葉書になるような、まさに絶景だらけの国。
その大自然を生かした農業や畜産がとても盛ん。島をぐるりと囲む広大な海からは、豊富な海産物がとれる。
気候は穏やかで、日本と比べるととても過ごしやすい。日本と同じように火山もあって、そして地震も多い。
人口は約490万人と国土の割には少ないけれど、羊は人間の5倍以上もいると言われる、羊の国。
なのに最大の都市オークランドには165万人もの人々が暮らしていて、なんとそのうち40%が国外出身者というグローバル都市。
ジェンダーギャップ(男女格差)もすごく少なくて、平等を愛する国民性。
さらに留学生や期間労働者の受け入れにも積極的で、日本からも留学やワーキングホリデーの滞在先にニュージーランドを選ぶ人が多い。
国のラグビー代表チームであるオールブラックス(All Blacks)は、世界最強を誇る。
そして、なんといっても注目すべきなのはワイン。近年、良質なワインを生み出す国として、世界での存在感はハンパない。
って全然ざっくりじゃなくてすみません笑
けれど、ほんと一言二言では伝えきれないほど、魅力たっぷりの国なんですよ。
一度滞在すると、大ファンになる人も多いというNZですが、この魅力の数々には納得させられますね。
日本と比較してみる
次に、NZと日本を比較してみましょう。
人口は日本が約1億2,600万人なのに対して、NZは約490万人と1/25ほど。
国土面積はだいたい日本の3/4。
日本と同じく南北に長い国なので、地域によって気候が変わります。北海道と沖縄がぜんぜん違うのと同じ。
夏と冬の気温差が少ないので、かなり暮らしやすいと思います。
言語は基本的に英語ですが、先住民であるマオリ族の言葉も使われています。
南半球にあるので、季節が真逆。日本の夏はだいたい7月〜8月ですが、NZの夏は12月〜2月。冬も同様に反対です。サンタさんは夏にやって来るし、もちろんお正月も暑いですよ。
そして太陽が北に上がります。
日本では東→西に向かって太陽が沈んで行きますが、そこはNZも同じ。ただし太陽は北を通って西に沈むんです。つまり、日本では暖かいのが「南向き」ですがNZでは「北向き」が暖かいんです。
南に行けば行くほど南極に近づくので、寒くなります。これも日本と逆ですね。日本で「南の島」っていうと暖かいリゾートを思い浮かべると思いますが、NZでは寒さで厳しい環境の無人島(オークランド諸島)。ペンギンやアザラシがいます。
首都はNZ最大の都市オークランドではなく、ウェリントン。人口約41万人のこの都市には、政治的機能が集中しています。このことから、オークランドとウェリントン両方に本社をおいている企業も。
通貨単位はニュージーランドドル(NZD)で、1NZD=約70円(2019/11)。
このようにNZを日本と比べると、似ているところと正反対なところがあるんですよね。
特に気候面は大きく違います。
地理や気候はどんな感じ?
NZは海に囲まれた島国です。これは日本と同じ。
でも大きく違うのが、日本の近くにはアジア大陸という巨大な大陸があるのに対し、NZにはそれがないこと。オーストラリア大陸が最寄りではありますが、それでも2,000km以上離れているので、影響は少ないのです。
夏と冬の気温差はこちら。
都市名 | 夏の平均 最高気温 |
冬の平均 最低気温 |
気温差 |
---|---|---|---|
オークランド (北島) |
23.7℃ | 7.1℃ | 16.6℃ |
クライストチャーチ (南島) |
22.7℃ | 1.9℃ | 20.8℃ |
東京 | 35.6℃ | -1.2℃ | 36.8℃ |
これを見ると、いかに過ごしやすいかがわかります。
1年の気温差は少ないのですが、1日の中の気温差が大きく「1日の中に四季がある」と言われるほど。実はこの特徴は、ワイン生産にとても向いている環境なのです。
また、南島には標高3,000m級の山が連なるサザンアルプスがあり、西から来る雨雲を防いでくれます。
これによりNZの東側の地域では降水量が少なく比較的乾燥した気候になり、マールボロ地方などでワイン用ぶどうの栽培が盛んになりました。
日本でも冬には日本海側で雪が多く降り、山を挟んだ太平洋側では乾燥して火事が起こりやすいですよね。それと同じ原理です。
このようにNZには、ワイン生産のための気候条件が十分揃っていると言えるのです。
地域(地方行政区画)
NZの国土は主に北島・南島のふたつの島で構成されていて、それぞれに日本の「県」にあたる「地方行政区画」があります。
それぞれの特徴をざっくりと見ていきます。
表にある「G.I.」は、ワイン用ぶどう産地として公式に認められている地域です。
北島の行政区画はこちら。
ノースランド (G.I.) |
ニュージーランド最北端の地域。 初めてぶどうの樹が植えられた。 NZでは最も温暖。 |
---|---|
オークランド (G.I.) |
ニュージーランド最大の都市がある。 ワイヘキ島は「ワインの島」として知られる。 |
ワイカト | 北島の中西部にある、 ハミルトンを中心とした地方。 |
ベイ・オブ・ プレンティ |
温泉で有名なロトルア地域がある。 |
ギズボーン (G.I.) |
最東の、生産量第3位の産地。 シャルドネの首都と言われる。 |
ホークス・ベイ (G.I.) |
マールボロに次ぐ第2位の産地。 全体生産量の約9.8%(2020)。 日照量が豊富で、赤ワイン用ぶどう品種の生産が多い。 |
タラナキ | マオリ族の聖地として崇められる タラナキ山がある。 |
マナワツ・ ワンガヌイ | ニュージーランドの総人口の およそ8.1%が住む人気の地方。 |
ウェリントン | ニュージーランドの首都。 有名な産地のワイララパ地方(G.I.)を有する。 |
次に南島の行政区域。
タスマン | アベル・タスマン国立公園などがある。 |
---|---|
ネルソン (G.I.) |
マールボロの西側に位置し、日照量が豊富。 ホップの栽培も有名。 |
マールボロ (G.I.) |
ニュージーランドを代表するワイン産地。 この地のソーヴィニヨン・ブランの躍進で ニュージーランドワインが世界的に知れ渡った。 |
ウェスト・ コースト | 南島の西部に位置する。 タスマン海と南アルプス山脈に接する地帯にあり、 雨が非常に多い。 |
カンタベリー (G.I.) |
広大なワイン産地。 ワインの醸造学に力を入れるリンカーン大学がある。 |
オタゴ | 世界的に注目される高品質なピノ・ノワール産地 セントラル・オタゴ地方(G.I.)を有する |
サウスランド | ニュージーランドの南島最南端の地方。 |
歴史も知っておこう
NZは、先住民マオリ族の言葉では「Aotearoa(アオテアロア)」と呼ばれ、白く長い雲という意味を持ちます。
まずこのマオリ族が移住します。これがだいたい8〜9世紀(西暦700〜800年代)頃のお話です。
その後、ヨーロッパ諸国による大航海時代が訪れ、1642年(日本でいうと江戸時代初期)に、オランダ人探検家アベル・タスマンが、ヨーロッパ人として初めてこの島を発見します。ちなみにこのときはまだ北島・南島に分かれていることは認識されず、ひとつの島だと思われていました。
その約100年後の1769年に、イギリス人探検家ジェームズ・クックによって海図が制作されます。ここからようやく「ニュージーランド」と呼ばれることになります。
これ以降、交易や捕鯨、宣教などを目的としたヨーロッパ人の入植が始まり、1840年にイギリスとの間で条約を締結。ここからニュージーランドは英国の植民地となります。
イギリスとマオリとの間での交わした「ワイタンギ条約」は、ニュージーランド最初の条約として名を残しています。
その後1907年に英国自治領に。1947年には英国会議から独立し、内政や外交、軍事などを独自に行うことができるようになりました。
ちなみに今でもNZの国王は、イギリス国王であるエリザベス2世。NZ訪問時にのみ国王として振る舞います。
また、国王に任命される形で、「ニュージーランド総督」という役職が設置されていて、普段不在となる国王の代理を務めます。
総督は国王の代わりに、
- 議会の解散権
- 内閣の任命権
- 内閣の解散権
- 首相の任命権
- 首相の解任権
などを持ちます。
ちなみに今のNZは首相、総督、そして国王がすべて女性ですね。男女平等が進むNZを象徴しているようにも思えます。
このように、イギリスとは切っても来れない関係を持っていることで、NZの国旗にはイギリスの国旗が取り入れられているんですね。
オーストラリアと国旗が似てる問題
ニュージーランドの国旗は、お隣オーストラリアの国旗と非常によく似ていることで有名です。
実は、スーパーやワインショップの売り場には、国旗で生産国を示しているお店もあるので、ちょっと注意が必要なんです。
どちらもイギリス連邦加盟国であり、英連邦王国の一国。なので、左上にはイギリス国旗である「ユニオンジャック」がありますし、背景の紺色もユニオンジャックと同色です。
違いは、
- 左下に星があるか
- 右の南十字星の色と星の数
の2点。
一度覚えてしまえばそれほど混乱しないのですが、予備知識無しでワイン売り場に行くと、見分けがつきにくいので困るかも知れません。
赤い南十字星がNZ。この機会に覚えてしまいましょう。
「真似をしている」とオーストラリアを批判
NZは、国旗のデザインについて「真似をしている」と、オーストラリアを批判しました。
2018年7月26日、ニュージーランドのピーターズ首相代行がテレビ番組で
我々の国旗は長年にわたって使用してきたものだが、オーストラリアに真似された
と主張しました。そのうえでデザイン変更を求め、さらにニュージーランドのほうが先にデザインを採用したことを認めるよう求めました。
→ NZ、豪州は国旗「真似」していると批判 独自デザインの採用要求
ニュージーランド国旗は、1869年に現在のデザインを導入。1902年に議会で正式に国旗に制定されました。
一方のオーストラリア国旗は1901年に選出され、1902年に国王エドワード7世によって承認されたものです。
比較してみると、ニュージーランドの主張に筋が通っているように感じますし、オーストラリアでは64%のひとが「国旗のデザインを変えるべき」と考えていることも明らかになっています。
いままでに提案されたオーストラリア国旗も見られますよ。
ちなみにNZも国旗変更の議論があったようですが、2016年の住民投票において、現在の国旗を継続して使うことが決まっています。
いずれ両国の国旗は、違いがもっとわかりやすいものになるかも知れませんね。
主要産業と日本との貿易
NZの主な産業は酪農・畜産、そして観光業。
国外への輸出は6割くらいが農産品で、乳製品がその中心となっています。
ワインはどんどん輸出額が大きくなっていて、1,300億円にもおよびます(2019年6月)。オーストラリア、イギリス、アメリカが主な輸出先です。
ちなみに2018年、日本とNZなど11カ国が参加する「CPTPP」が発効。これにより、日本政府はNZ産ワインに課している現在15%の輸入関税の引き下げに着手しました。そして2025年までに完全撤廃を目指しています。
NZワインは日本でも少しずつ増えてきていますが、今後はもっとお手軽に楽しめるようになるでしょう。
また非常に家畜の多い国でもあり、全家畜を合わせると人口の10倍以上が飼育されていると言われています。
もちろんそのゆたかな自然から、観光目的で年間約380万人(2018年)が来訪し、大きな産業のひとつに。近年では首都ウェリントンが「映画の街」として人気を博していて、
- ロード・オブ・ザ・リング
- ホビット
- ラストサムライ
- キングコング
- アバター
- ナルニア国物語
などが撮影されていることから、ロケ地巡りの旅も好評を博しているようです。
主要な貿易品目はやはり酪農製品、食肉、木材。輸出相手は中国、オーストラリア、アメリカ、そして日本が上位となっています。
日本とNZの貿易額は輸出入合わせて約5,900億円。日本から見るとそれほど大きな貿易相手国ではありませんが、NZから見ると輸出入ともに世界で第4位の貿易相手国であり、その数値は近年伸び続けていて、ワインや乳製品、食肉など、高い価値を持つものがどんどん手に入りやすくなっています。
NZはワインだけでなく、ラムやチーズ、マヌカハニーなど、本当に美味しいものが多いですよね。
日本からNZへ行くには
さて最後にこのサイトや他のNZ関連サイトを見て「NZに行きたい!」と思った人に、その行き方と現地での交通情報を簡単にまとめておきます。
これらの情報はその時々で変わるので、詳細については設置したリンクから、それぞれ航空会社のサイトやチケット予約比較サイトから確認してくださいね。
日本からの航空便
まずは、日本からNZへの航空便についてご紹介します。
現在直行便は「成田・オークランド間」と、「羽田・オークランド間」が就航していて、関西国際空港からも観光シーズン(春〜秋)のみ就航。
ちなみにNZの春〜秋は10月〜3月頃です。ご注意を。
飛行機は、直行便だとちょっと高くなりますが、経由便であればかなり安くチケットを取ることが可能になります。時間とお金のどちらを優先するかで決めましょう。
各Webサイトへのリンク
現地での移動手段
現地での移動は、基本的に車と飛行機です。
飛行機ならニュージーランド航空とジェットスター。車であればレンタカーかバスでしょう。
レンタカーであれば乗り捨ても可能なので、便利に使えます。
ただ、ワイナリーに行ってもワインが飲めないのが難点ですね苦笑
またレンタカーの場合、北島・南島間の移動にはフェリーもあります。
とういことで、大きな移動は飛行機で、近隣の都市を移動する場合はレンタカーが良さそうです。
鉄道は貨物用がほとんどですが、通勤用に一部運行されています。
交通網 | 特徴 |
---|---|
バス | インターシティという交通会社の 長距離バスがリーズナブルで便利 |
フェリー | 北島ウエリントンと南島ピクトン間を 1日3〜5往復します。 所要時間は片道約3時間30分 |
鉄道 | 鉄道はほとんどが貨物用で、 主に通勤用としてオークランドと ウェリントンのみ運航されている |
レンタカー | 日本と同じ左通行で、交通ルールも ほとんど変わらないので便利。 手続きには日本の免許証、国際免許証、 クレジットカード、パスポートが必要。 |
各Webサイトへのリンク
NZワインに興味が出たら、NZを知るともっと楽しい
このページでは、NZワインをより楽しむために、NZという国について掘り下げてきました。
「大自然」という表現がもっともふさわしい国、ニュージーランド。
国の成り立ちや歴史、環境や産業などあらゆるところが違うのに、日本と同じく海に浮かぶ島国として、また火山や地震の多い国として、なぜか親しみの湧く国です。
NZワインに少しでも興味が出たら、NZのことも少しだけ調べてみましょう。ワインを飲みながら、それぞれの産地の気候や風景に思いを馳せてみるのも、またひとつの楽しみ方。
きっとワインがもっと美味しく、楽しくなるはずですよ。
この記事の筆者

- NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆しています。
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監修

- ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
ボクモ(BOKUMO)
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