【ワインを飲む】その1.ワイングラスについて

ここでは、当サイトを監修するソムリエ岩須が、ワイン初心者のなっちゃんとみかさんの疑問に答えています。

自分好みのワインを見つけるべく、選び方について教わってきた二人。少しずつワインが身近なものになってきたようです。

続いては美味しく「ワインを飲む」ことについて、基本的なことから触れていきます。

まずは、ワイングラスの選び方からスタートです。

 

ワインいろいろ

【この記事の登場人物】

 

なっちゃん
Web系の会社に勤める29歳。もっとワインを楽しめるといいな、とワイン勉強中。
みかさん
アパレル会社に勤務する35歳。ワインにハマり始めてる今、ワイングラスが気になってしょうがない。
岩須
このサイトの監修を担当する、ソムリエ。自身が名古屋で営むバーでは、ニュージーランドワインを豊富に取り揃える。
 

そういえば、ワイングラス持ってないんですよね、わたし。
岩須さん、どんなのがおすすめですか?

 

そうですね。
まず、グラスは薄くて、内容量がまあまあ大きめなものは、使い勝手がいいと思います。

というのも、ワインってそのグラスによってポテンシャルが発揮されるんですよね。

 

なんかまた難しい話しようとしてます?

 

いえいえ(笑)

グラスが大きいと、ワインが空気に触れる表面積が大きくなりますよね。ワインが空気に触れることで香りが十分にとれたり、渋みを和らげたりする効果があるんです。
たまに大きいグラスに入れると逆に美味しくなくなっちゃうワインもあるんですけど、それは例外として。

 

なるほど〜

 

分かったような気がするような、しないような…(笑)

 

例えばボルドーグラスと呼ばれるちょっと大きめなグラスで、しかもある程度薄いものを持っておくと、どんなワインでも対応できるので重宝しますよ。

…ただ、薄くて大きめなグラスっていうのは

割れますね。

場所をとるし割れやすい。

 割れたグラスイメージ

悲しいやつ。。。

 

テーブルでもついあたって倒しちゃいますよね〜。

 

はい、これ、非常に大きい問題で(汗)

高級なグラスで飲むと、高級感は非常にあるし、そりゃいいには違いないんですけど、やっぱガラス製品なので…
ほんとワイングラスってのはよく割れるもんなんですよね…。

 

岩須さん、苦い経験たくさんしたんですね…(笑)

 

そうですね(汗)

けどワイングラスって一個2〜3,000円するのはザラですし、もっと高価な10,000円くらいするのものもある世界で、それを割ってしまったら…結構悲しいですよね。

そして薄くて良いグラスほど、粉々になって掃除が大変っていう(笑)

 

そういうのがあると、イヤになっちゃうなー

 

「今日はいいワインがあるからたまには良いグラスで飲もう」って、棚にしまい込んであるワイングラスを出してきて、慎重に扱ってまたしまう、ということができればベストなんですけどね。

特別な日のイメージ

特別なワインには特別なグラスを用意したいですね。

 

けれどぼくは、お二人のような初心者の方には特に、日常にもっとワインが溶け込んでくれるといいな、という思いがあるんで、高級なワイングラスっていうのはそれほど必要じゃないと思いますね。

ワイングラスのタイプいろいろ

 

ワイングラスは丸みや飲み口の形状に違いがあって、それによって香りや味が変わってきます。
各社様々な形がありますが、代表的なのはこの3つ。

ワイングラス3種

 

「ボルドータイプ」と言われるグラスは、ちょっと大きめに作られていて、味と香りが優雅に楽しめます。これを持っていれば間違いないですね。

真ん中の「ブルゴーニュタイプ」は、ボルドータイプよりももっと大きくて丸い。やっぱりちょっと扱いにくいんで、グラス初心者にはハードルが高いかもしれませんね。

一番右の白ワインに使われる中くらいのサイズのものでも、いろんな種類のワインが楽しめますよ。これはよく「万能タイプ」と言われるものです。

家で一個使うんだったら、割れてもしゃーないや、って思える1,500円までのものがおすすめかな。

あとはちょっと分厚くなりますが、強化ガラスもおすすめです。

ぼくが個人的に割れにくいなと思ってるのが、ドイツのショット・ツヴィーゼルっていう会社のクリスタルグラスか、日本の東洋佐々木ガラスっていうところがつくってるファインクリスタル。これはぼくのお店「ボクモ」でも使ってますけど、割れにくい印象です。

多少重かったり、ほんのちょっと厚かったりもするんですけど、割れにくいワイングラスを使うのがコスパ的には一番いいと思います。

ちなみに、ワインの世界でぶっちぎり人気ナンバーワンのグラスメーカーはオーストリアの「リーデル」です。世界中で愛されているワイングラスですね。家でリーデルを使うとやっぱりリッチな気分になれますよ。

 

実はわたし、最近リーデル買いました!

 

いつの間に!

 

そうなんですね〜

 

脚がないのを買ったんですけど、とっても万能なんですよ。
脚付きの普通のワイングラスだとワインしか似合わないけど、脚がないのだと、日本酒入れてもいいし、ウイスキーをソーダで割っても美味しいし、なんならビールも最高に美味しいんですよ!なので結構コスパ高いなって。

 

へえ〜〜

 

たしかにたしかに、脚付きにビールは入れないですもんね〜。

 

そうそう、脚付きよりも安いし、あれはいい買い物しました。

 

てかさっきから脚、脚ってなんですか!

 

脚がないグラスっていうのは、こんなやつですよ。

ワイングラス3種 脚なし

 

おーこんなのがあるんだ!これは使いやすそう!

 

脚の部分がないだけでちゃんとしたワイングラスなの。テーブルでうっかり倒してしまう危険もないし、なんせ扱いやすいのよ。

 

脚なしグラスの代表といえばリーデルの「リーデル・オー」。これはアメリカのマーケットを意識して作られた商品と言われていて、すごく合理的なんですよね。いろんなものを入れて美味しい。

ぼくは脚なしのタンブラー型グラスは家庭で飲むならめちゃくちゃいい選択だと思いますよ。今ではリーデル以外のメーカーでもいろいろ売ってますしね。

今どき、脚がないグラスで「脚なしかよ」とか、もうそういう時代でもないですしね。慣れればクルクル回すスワリングもできますし。

それに脚なしの方が、ワインが口に入ってくる量を調節しやすいんですよ。

NZのセントラル・オタゴ地方のピノ・ノワールを飲むためのグラスも!

 

そうそう、リーデル社といえばね、このサイトで紹介しているNZのセントラル・オタゴ地方のピノ・ノワールを飲むためのグラスが作られていたんですよ。

 

え、専用ってことですか?

 

へ〜おもしろ〜い!

 

そうですそうです、セントラル・オタゴのピノ・ノワールを味わうために最適なグラスとして開発されたんですよ。今は販売されてなくて同じ形のものが、「ニューワールド ピノ・ノワール」というグラスとして販売されています。

リーデルって、ぶどうの品種の個性に合わせたワイングラスをたくさんデザインしているんですよね。種類もほんとたくさんあって。

 

そう言えば、タンブラー型だけでもいろんな種類があった気がします!奥深い世界ですね〜

 

やっぱり、わたしもきちんとしたグラス買った方がいいのかなあ。

気にしなければプラで十分?

 

でもぼくは、家で飲むときはプラスティック製のものも使いますよ、割れないから(笑)

 

え、岩須さんがプラって意外なんですけど(笑)

 

口当たりを気にする方もいらっしゃるので、すべての方におすすめはできないですけど、たとえば2,000円以下のワインを飲むんだったら、そういうものでも全然いいかなあと思いますよ、口当たりさえ気にならなければ。

 

実はわたし、将来のこと考えると食洗機対応のグラスが欲しいんですよね…そういうのでも全然オッケーってことですか?

 

え、なっちゃん意外なんだけど(笑)えらいなw

 

将来は全部そろえたいなって(笑)楽じゃんw

 

うん、全然良いと思いますよ。

ただ、割れにくいグラスってのは分厚いし、口が当たる部分に強化が施されているので、ボコっていう出っ張りがあるんですよ。
で、そのボコっていう出っ張り部分は一回液体をせき止めることになるんですよね。
だからグラスを傾けた分だけワインが口に入ってこないわけですよ、厳密に言うと。

 

うーん何言ってんのかわかんないです(笑)

 

ははは(笑)

要するに、割れにくくしてあるグラスは、飲み口がスムーズではないってことです!

 

ありがとうございます、理解できました(笑)

普段だったらそれでもいいけど、香りや味わいが繊細で特別なワインを飲むんだったら、残念な感じになるってことですねー。

 

そうですそうです。

 

グラスの値段はワインの値段に比例していくわけですね。

 

ほんとにそのとおりです。

グラス選びはほんとにおっしゃったとおり、お料理選びと似ていると思うんです。

一本5,000円のワインを飲んでるのにコンビニおつまみっていうのはちょっと釣り合わないですよね。それなりに美味しく食べられたり飲んだりはできるかも知れないですけど、でもそれぞれの格を合わせるっていうことは満足感にもつながるし、格が合えば、自然と調和するようになっていくっていうのがワインの世界ではよくあることなんです。

あえて格をチグハグにして楽しむという遊びも悪くはないと思いますが、まずセオリーとして格を揃えるってのは大事。

一本5,000円のワインを紙コップで飲んだら駄目ですよね。
紙の匂いがしちゃいますし、香りも全然感じないし、色も見えないし、エレガントじゃない。

そういった部分をふまえてうまく合わせて行けば、たまに使うちょっと高級なグラスも用意しつつ、毎日使うのはデイリー用の安いグラス、って感じが良いと思います。

 

じゃワインを飲み慣れてきて、ちょっと良いワインにチャレンジしようかなって段階になったら、グラスも新調すればいいのかな?

 

そうですね。
ただ、ひとつ、どんなグラスを使うときにも言えることは、酔っ払った自分を過信しない。

 

笑笑笑笑
割っちゃうやつだww

 

岩須さん、相当やらかしたんですねw

注)酔っ払った自分を過信しない。

酔っぱらいイメージ 

飲み過ぎ注意!!

 

はい…
ぼくはワインに携わって結構年数たちますけど、いまだにミスるんですよ。

 

ミスる…

 

はい…
自分の家で高級なワイングラスを洗うのになれてないんです。店では洗いますけどね。
だからちょっと油断が生じてこないだも割ってしまったし…。

 

悲しいですね…。。

 

うん、やっぱり酔っ払ってるときこそ、慎重にやんないと駄目なんですよ…高級グラスを扱う事自体が、危険と隣り合わせなので。

だからなるべく、酔っ払ったらお水にちょっとだけつけておいて、翌朝洗ったほうがいいですね(笑)

 

高級で薄いグラスだと、拭くときにぐっと力を入れただけでも割れたりするんですか?

 

割れます。力入れると割れますね。

 

はぁ…やっぱハードル高い…

 

はい、やっぱりグラスは自分の経験やライフスタイルに合わせて選んで行けばいいと思いますよ。
急に背伸びしても、いいことないですからね。

グラス選びのポイントは?

 

さっき「割れてもしゃーないやって思える1,500円くらいのものがおすすめ」って言いましたが、もっと具体的な基準を言うならば、グラス一個の値段は自分がよく飲むワインの半額くらいまでに抑えておいたほうが良いんじゃないかな、って感じですね。

 

おー!なるほど!

 

それめっちゃわかりやすいです!
2,000円のワインをよく飲むんだったら1,000円のグラスっていう感じですね。

 

そうですね。
けどまあ、そのグラスを…
何回で割るかにもよるんですけどね、いずれは割れるんで(笑)

 

やっぱり最後に「割る」があるんだ(笑)

 

ありますよ!(笑)
一生割れないことはないんじゃないですか。
だから100回使って割れるんであったら、まあ元取ったみたいなもんですよ!

 

ははははは(笑)

 

100回ってカウントしづらい〜〜(笑)

 

けどそうやって考えたら、わたしみたいに初めて選ぶ人はいい目安になりますね。

 

そうそう。気合入れていいワイングラス買っちゃっても、コンビニの500円ワインを一本飲んでへべれけになって割ったら元も子もないじゃないですか。

 

悲しすぎる。

 

それはバランスが良くないですよね。

何度もぼくは高級グラスを家で割ってるので、皆さんにはあまり同じ道を歩んでほしくないんです…!

 

いい思い出にしたいですもんね(笑)

 

うん、常に楽しく、ワイン飲んでいきたい!(笑)

 

ぜひ自分にぴったりのグラスを見つけてくださいね!

ワイングラスの選び方まとめ

 

  • ワイングラスは大きめで薄型のものがおすすめ。
  • まずは、普段飲んでいるワインの値段の半額くらいのものを目安に選んでみましょう。
  • 初心者の方には、脚がないタンブラータイプが扱いやすくておすすめです。

 

第2回に続きます!】

この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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