【ワインの選び方】その2. 品種飲みが一番の近道

ここでは、当サイトを監修するソムリエ岩須が、ワイン初心者のなっちゃんとみかさんの疑問に答えています。

ハードルが高そうに思えたワインが、だんだん身近に感じられるようなヒントの数々。

二人は自分が美味しいと思えるワインに出会えるのでしょうか。

まずは「ワインを選ぶ」ことからスタート。国を意識して産地を選ぶ、ということについて解説してもらいました。(第一回はこちら

第2回は「ぶどう品種について」深堀りしていきます!

 

というわけで、銘柄やワイナリーの名前はちょっと置いといて、産地と品種がしっかり書いてあるものを探して、追いかけていきましょう。

ひとまず国をニューワールドに絞ったら、次は品種です。

 

はい!

 

お願いします!

【この記事の登場人物】

 

なっちゃん
Web系の会社に勤める29歳。もっとワインを楽しめるといいな、とワイン勉強中。
みかさん
アパレル会社に勤務する35歳。ワインにハマり始めてる今、ワイングラスが気になってしょうがない。
岩須
このサイトの監修を担当する、ソムリエ。自身が名古屋で営むバーでは、ニュージーランドワインを豊富に取り揃える。

ぶどうの樹

 

その前に…

ワインは飲んで美味しいのは勿論なんですが「知識もちょっと上げる」という気持ちで臨むと、より楽しくなると思うんです。自分の力をつけるというか。そのほうが今後選びやすくもなりますし。

その為の第一歩をお教えしましょう。

 

は、はい、お願いします!

 

まず、“わからなそうなワインは飲まない”!これ大事!

 

笑笑笑

 

なんですか、それ!(笑)

わかるワインを飲もう

 

ラベルからの情報で、国や生産地、ぶどうの品種、アルコールの度数ぐらいまでは何となくわかるとします。

それで、中身を想像して飲んで「あ〜、良かった」みたいな経験値を溜めていけるようになるのがベスト。

ラベルからある程度味わいが予測できるところまでいくっていうのが大事、ということですね。

わかるワイン

 

何度も言いますが、「こんなラベルのやつ美味しかったから、また買ってみよう」という感覚でワインを選んでいると、そこから抜け出せません。次に繋がりにくいし、何もわからないまま。

なので、これから飲むワインがどんな地域でつくられたものなのか、何というぶどう品種でつくられたものなのか、しっかりと意識することが大切なんですね。

 

今までほんと、なーんにも意識してなかったなあ…

 

自分でもわからないって思いながら飲んでたしな…そりゃ前に進まんわね…

ワイン用ぶどうの種類ってどのくらいあるの?

ワインいろいろ

 

ところでお二人は、ワインに使われているぶどう品種って何種類くらい知ってます?

 

ぶどう品種…
ワインに使われてるぶどうの種類ってことですか?

 

そうそう。

 

シャルドネ、メルロー、
カベルネ・ソーヴィニヨン、…くらいかなあ

 

あ、シャルドネ、知ってます!あとボジョレー!

 

ボジョレーは品種じゃないって(笑)

 

えっっ(汗)

 

(笑)

今世界では何千種類ものワイン用ぶどう品種があると言われているんですよ。
すごいですよね。

ちなみにこのサイトで紹介しているNZでは、

  • ソーヴィニヨン・ブラン
  • シャルドネ
  • ピノ・グリ
  • リースリング
  • ゲヴュルツトラミネール
  • ピノ・ノワール
  • カベルネ・ソーヴィニヨン
  • カベルネ・フラン
  • メルロー
  • マルベック
  • サンジョヴェーゼ
  • シラー
  • プティ・ヴェルド
 

主にこれらのぶどう品種を使って、ワインがつくられています。

 

わーこんなに沢山あるんですね〜

 

そう、そしてこれらの品種は世界的にもみてもメジャーな品種ばかり。品種の特徴は各ページにまとめてあるので、是非読んでみてくださいね。

で、この中から赤品種3つ、白品種3つくらいを覚えておくと、ワインの選び方が全然変わってきます。

 

3つずつって…
最初っからめっちゃ多くないですか(汗)

 

うん、わたしたちが買うとしたら普通のスーパーが多いしね…。
こんなにいろいろ売ってないと思うんだけど…

 

そうですね、赤ワインだとカベルネ・ソーヴィニヨン、白ワインだったらシャルドネが人気ナンバーワンなんで、実際お店に行くとほとんどがこの2つの品種が棚を占めているのが現状かもしれませんね。

 

じゃ白ワインだったら最初はやはりシャルドネから始めたらいいですか?

 

なんとなくシャルドネって基本っぽいよね。

 

そうですね、シャルドネを値段で比較して見るのも良いかもしれませんね。
けれど、「シャルドネを選ばない」っていう方法もありますよ。

まさかのシャルドネ外し!
初心者はNZのソーヴィニヨン・ブランから始めてみよう

白ワインイメージ

 

え!白ワインで唯一知ってる品種だったのに(笑)
外されたら困る!

 

シャルドネを省くとほぼ選択肢がなくなっちゃいそうだけど…

 

シャルドネっていうのはめちゃくちゃポピュラーな品種だから、品種の特徴に結構バラつきがあって掴みづらいところがあるんですよね。なので意外かもしれませんが、白はシャルドネじゃないものから始めた方がいいと思います。

そこで僕が初心者の方にお勧めしたい品種は……
ソーヴィニヨン・ブランです!それもNZ産のもの。

まずはそこから始めましょう!!

 

ソーヴィニヨン・ブラン…
飲んだことないな。。。

 

あ!わたし飲んだことある気がする!しかもNZのだったような。近くのスーパーで買いましたよ。あれ、ぶどうの名前だったんですね…

ちょっと酸味が強い印象だった気もするけど、すっごいフルーティーだったなあ〜。

 

そうですね、最近はスーパーでもおいてあるところも増えてきてますよ。

どうして、おすすめなんですか?

ソーヴィニヨン・ブラン

これがソーヴィニヨン・ブラン。

 

みかさんの言うその酸味は、ソーヴィニヨン・ブランの良いところですね。

さらにNZのものは、パッションフルーツやグレープフルーツみたいな柑橘系の香りも全面に出てるので、ワインをあまり飲んだことのない初心者でも親しみやすい味わいが最大の特徴なんです。それに、日本人好みでもあると思います。

そのNZの巨大ブランド、ソーヴィニヨン・ブランをまず軸にしてもらったら、その奥にいろんな世界が広がっていくと思うんです。

流れとしては、まずはNZのソーヴィニヨン・ブランを飲む。

そして次は比較的手に入りやすいチリのソーヴィニヨン・ブランを。で、だんだんつかめてきたら、がんばってフランスいってみましょう。

 

でました、フランス!

 

けどフランスのソーヴィニヨン・ブランって普通に売ってるんですか?

 

買えなくないです?

 

ボルドーの白ワインはソーヴィニヨン・ブランなんですよ。

コンビニでもボルドーの白は、よく売ってます。
でもフランス語だとソーヴィニヨン・ブランではなく「Bordeaux」って書いてあるかもしれないですね。「セミヨン」という品種が混ってますけど、基本はソーヴィニヨン・ブランです。

 

なるほど〜

 

フランスを飲んでみると最初に飲んだNZやチリなどのニューワールドのものとは全然違うな、っていうことがわかると思います。

そう感じられたら一歩前進ですね。

赤ワインはまず、NZのピノ・ノワールから始めてみよう

赤ワインイメージ

 

赤ワインはどの品種から始めるのがおすすめですか?

 

そうですね、赤ワインってまず、濃いのが好きな人と薄いのが好きな人で、好みが割とはっきりと分かれるんですよね。
要は、渋み成分のタンニン。これがワインの中にいっぱい入っていても大丈夫な人と、入り過ぎているとキツイっていう人がいるので、自分がまずどっちなのかっていうのがありますね。

 

え、、わたしどっちが好きなんだろう…わかんないや。
っていうか考えてみたら薄いのちゃんと飲んだことないかも。。。

 

“どちらが好きなのかわからない”って人はどうしたらいいんですかね?

 

そうですね、そういう人もいると思うので、まずはタンニンの薄いワインからチャレンジしてみるのはどうですか?

 

タンニン薄目のワインってなんだ?

 

カベルネ・ソーヴィニヨンって濃いワインだよね。
渋いもん。

 

え、その反対ってことは、まさかまた、それ以外のものとか…?

 

はい、赤はまずカベルネ・ソーヴィニヨン以外から飲んでみましょう!

 

出た!定番はずし!笑笑笑

 

では、岩須さんのお勧め品種はなんでしょう!?

 

ぼくがおすすめしたいのは、NZのピノ・ノワールです!

どうして、おすすめなんですか?

ピノ・ノワール

これがピノ・ノワールというぶどう品種

 

ピノ・ノワール…これも飲んだことないわ〜(汗)

 

聞いたことはあるけど…普段買いに行くお店ではみかけない気がするなー。

 

そうですね、あんまり置いてないと思います(笑)
というのも実はピノ・ノワールっていう品種は、高級品種なんです。お二人は「ロマネ・コンティ」って聞いたことないですか?

 

あ、あのめっちゃ高いワインですか?

 

そうです、そうです。

世界最高峰のロマネ・コンティの原料がこのピノ・ノワールという品種。この品種のワインは、安いとマズくなることで有名です(笑)

日本だと、1,000円以下のピノ・ノワールはあまりないし、1,500円くらいだとしても良いものに出会いにくいんですよね。

そこでおすすめなのがNZのピノ・ノワールなんです。

NZのピノ・ノワールはその品質の高さでも世界から一目置かれる存在。なのに、2,000円くらいからの低価格で、素晴らしいワインに出会えるんですよ。フランスのものだと2,000円じゃなかなか買えませんからね。

やっぱり大手のスーパーだと、大量に流通させなきゃいけないじゃないですか。そうなると、在庫数がちゃんと確保できるような毎年安定した味わいの、つまり、超大手がつくったワインを置かなきゃならない。となると、それほどしっかりした個性が出てないものになっちゃうんです。ピノ・ノワールなんかは特に。

なのであまり出回ってないんで、飲んだことない人も多いと思うんですけど、あの優しい味わい、ほんとは日本人好みだと思うんですよね〜。

それに、けっこう日本の料理に合うと思うし。「筑前煮」とか「ぶり大根」とかそういう、醤油と味醂の味付けですね。「焼鳥のタレの味」にもぴったりです。

そういった奥行きもある品種なので、初心者の方に是非飲んでみてほしいんです。

美味しいワインを飲んでほしい

美味しいワイン

 

けど、ワイン売り場でカベルネばっかり売ってるのって、需要が高いからですよね?

 

そうですね。

世の中を見渡すと、やっぱり濃い赤ワインの方がファンが多いと思います。

あと、意外と初心者ほど結構濃いのを好きになるっていうのもあると思いますね。誰でも一回は「今、渋い赤ワイン飲んでるな〜」っていう方に行きたいんですよ。僕も若い頃はそうでした。

けれど歳を重ねてくると、食事もワインも重たいものがしんどくなって、そうなると赤ワインといえども合わせるのは薄目のほうが、自分の食生活に合ってくるな〜って感じです(笑)

 

岩須さん…(笑)

 

ワインをこれから始めようとしている人には、ピノ・ノワールの価格はちょっと高めなのでしんどいかもしれませんが、あえてそこはチャレンジしてほしいですね。

最初こそ良いものを飲んで欲しいし、チープなワインを飲んで残念に思ってほしくないんです。

 

良いワインって高いですもんね。

 

けど、美味しいワインを飲んで覚えていきたいな。

NZワインはネットで買うのがおすすめ

 

うーん、でもソーヴィニヨン・ブランもピノ・ノワールもあんま売ってないよね?どうやって買おう?

 

やっぱネットかなあ。

 

そうですね、NZワインには必ず品種が書いてあるので、ネットで買うのはおすすめですね。

それにNZのワインは単一品種のものが非常に多いので、ソーヴィニヨン・ブランの他にも興味があったり好きだなと思う品種で試したいものがあれば、NZワインで試してみてください。ハズレは少ないと思いますよ。

ソーヴィニヨン・ブランだと例えば、「ヴィラマリア」のソーヴィニヨン・ブランがおすすめです。
スーパーでも売っていますし、日本で最も手に入りやすいワインの一つだと思います。

ピノ・ノワールだと「シレーニ」のピノ・ノワールがおすすめですよ。

 

わ、具体的な情報ありがとうございます!

 

リンクまで♡

どうして、初心者に品種飲みがおすすめなんですか?

品種のみイメージ

 

こうやってソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールといった、一つの品種を飲み比べしていくと、

だんだん似たような味の特徴があるなと気づく

だんだん「自分はこういう好みなんだな」とわかってくる

だんだんワインの世界がひらけてくる

楽しみ方が増えてくる

というふうにワインの経験値がどんどん上がってきます。

自分好みの品種がわかっていれば、どんな店でもある程度自分が美味しいと思えるワインが買えるようになる。

要するに、
品種や産地が重要な手がかりになる
ということなんですね。

それに何かひとつの品種を制覇すると、分かった気になるから楽しいんですよね。

ソーヴィニヨン・ブランっていうものがこういうもんだ、って何となくわかって頭の中が整理されたら、「はい次!リースリング行きましょう」って感じで、リースリングを探す旅に出る、みたいな。

 

最初から違う品種を飲み比べるんじゃなくて、一つの品種の特徴をある程度掴みきってから、次にいくっていうことですね。

 

そうですね。
それが良いと思います。

いま貿易が発達した日本でワインを効率よく覚えていくには、品種飲みっていうのが一番の近道だと思いますね。

反対に“国”飲みはけっこう、なかなかですよ。

例えば、ワインの本場「フランス」から始めると、果てしなく道が遠く感じてしまうかもしれません。

なのでまずは「あ、これソーヴィニヨン・ブランって書いてあるから買ってみよう」ということからスタートすればいいと思うんですよね。

飲んでみてもし苦手な品種だったら、“この品種には触れないでおこう” で良いと思います。

で、たまにソムリエのいる店に行く。そこで、自分の飲んだことのないソーヴィニヨン・ブランだったり、次に挑戦するワインをちょっと飲んでみる。それもやっぱり品種を意識して飲んでいく方がいいですね。で「次の課題はピノ・グリにしてみよう」とか、そんなんでいいんじゃないでしょうか。お店なら、一杯でやめられますしね。

こうやって自分の好みがわかってくるっていうのが、ワインの楽しみ方の世界が開けてくる瞬間、という気がしますね。

 

意思をもって自分の好みを見つけよう、ってことですね。

 

今日からやってみます!
はやくワイン飲みたくなってきた♡

第3回に続きます!】

この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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