【ワインの選び方】その3. 実際にラベルを見てみよう

ここでは、当サイトを監修するソムリエ岩須が、ワイン初心者のなっちゃんとみかさんの疑問に答えています。

ハードルが高そうに思えたワインが、だんだん身近に感じられるようなヒントの数々。

二人は自分が美味しいと思えるワインに出会えるのでしょうか。

まずは「ワインを選ぶ」ことからスタート。

第1回第2回でワイン選びで大切なことは“産地と品種”とわかった二人が今回挑戦するのは「ラベルの見方」です。

ラベルがわかるようになったら、ワイン選びがもっと楽しくなりそうですね。

 

それにしても、ちゃんとラベル読めるようにならなきゃね。

 

ワイン売り場で圧倒されてる場合じゃないよね。

 

そうでした、そうでした、
ラベルについても具体的に見ていきましょう!

【この記事の登場人物】

 

なっちゃん
Web系の会社に勤める29歳。もっとワインを楽しめるといいな、とワイン勉強中。
みかさん
アパレル会社に勤務する35歳。ワインにハマり始めてる今、ワイングラスが気になってしょうがない。
岩須
このサイトの監修を担当する、ソムリエ。自身が名古屋で営むバーでは、ニュージーランドワインを豊富に取り揃える。

ワインラベルイメージ

 

ワインのラベルは

  • ニューワールド(新世界)
  • オールドワールド(旧世界)

の大きく2つに分けられ、さらに“どこの国のものか”によって見方は変わってきます。

まずはこれをチェックしましょう。

 

最初に国をみるんでしたね。

 

そうです、まずはそこからスタートですね。

ニューワールドもオールドワールドも見るべきところは一緒で、「産地はどこか」が最初にわかることが大切です。

ちなみにワインの世界ではこのラベルのことを「エチケット」とも呼びます。

ではさっそくニューワールド代表、NZ産のラベルを見ていきましょう。

ニューワールドのワインラベルを見てみよう

ラベル_新世界

名称はすべて架空のものです。

 

①ワイン名
②収穫年
③ぶどう品種
④産地
⑤国名

と番号を振っておいたので、照らし合わせてみてくださいね。

 

優しい〜!

 

ありがとうございます!

 

まず大きく書いてあるのがワイン名です。ワイン名にはワイナリーの名前が使われていることが多いですね。

その次にわかるのは、2018年というぶどうを収穫した年。この収穫年のことを「ヴィンテージ」と言います。

それからワインに使われているぶどうの品種ですね。ここでは「ピノ・ノワール」と書いてあります。

そして、生産地域生産国が記載されています。

 

あれ?なんかこうやってあらためて見てみると、シンプル?じゃない?

 

うん、わかりにくいイメージだったのにな、もしかしてカンタン!?

 

ね。シンプルでしょ。
それにニューワールドのラベルは、自由なデザインで個性的なものが多いのが特徴なんです。

ではおさらいです。

ワインを選ぶときに重要な2点、さてなんでしょう?

 

産地!

 

ぶどう品種!

 

はい、よくできました(笑)

そのワイン選びに重要な、産地とぶどう品種がわかりやすく表記されているのが、ニューワールドのラベルの特徴なんです。

 

うん、わかりやすいと思います!

 

もし、セントラル・オタゴっていう地名を知らなくても、ニュージーランドの中の産地なんだなってことは、なんとなく推察できますよね。

 

うん、これなら探しやすいと思う!岩須さんが「初心者はニューワールドから始めよう」っていうの納得です!

 

でしょうでしょう(笑)

では続いて、ワイン伝統国フランスのラベルを見ていきましょう。

フランス(ボルドー地方)のラベルを見てみよう

 

じゃーん。

フランスの代表的な産地、ボルドー地方のラベルはこんな感じです。

ラベルフランス

名称はすべて架空のものです。

 

なんか急に文字量多い…

 

そして筆記体!(汗)
辛い〜

 

そうですね、フランス語ですしね(笑)
ここでもわかりやすいように番号をふっておきました。

①収穫年
②シャトーやドメーヌの名前(ワイン名)
③格付け
④AOC
⑤瓶詰め者
⑥原産国
⑦アルコール度数
⑧容量

 

まずは産地だけど、①〜⑧のどこにも産地なくないです?

 

そう思いますよね。

主にフランスの場合は予備知識がないと、産地がどこに書いてあるかがわからないんですよね。

この架空のラベルを見てもどれが産地なのかっていうのは、お二人のような初心者の方には、まずわからないと思います。

 

消費者に優しくないな!

 

の原産国に「プロデュース オブ フランス」って書いてあるから、フランス産だってことはわかるんですけど…。
それ以外に、どこが産地を特定できるポイントなのかっていうのがぜんぜんわかんないなー。

 

そうですよね。

フランスワインを飲むときは、まずそれを知ることが大事なんです。

決まり事が多くて、ちょっと小難しいフランスワイン

 

その答えはのところに書いてあります。

フランスにはワインに限らず、その地方の特産品を統制するための法律AOC(エーオーシー)とかAOP(エーオーピー)というものがあります。これは「アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ」の略で、この「ドリジーヌ」の部分に産地名が入ります。

アペラシオン・産地名・コントロレ。

なので、まずAとCの間のところに産地がくるよってことを覚えましょう。
これがフランスワインを知る上では最も重要です。

 

じゃまず、AOCかAOPっていう文字をラベルの中で探せばいいのか。

 

はい、そうですね。
ここでは「メドック」って書いてあるのがわかりますよね。

で、メドックっていう場所がフランスの中にあるんだな、ってことがわかれば、このメドックをググればいいんです。どこかなって。

 

ググって良いんですね!

 

もちろん(笑)
Googleで検索するとメドックはどこなのかでてきます。でフランスの中のこの地方なんだ、ってことまではわかりますよね。

 

で、次は「品種」ですけど、このボルドーのラベルだと品種の項目がないですよね??
これもどこかに隠れてるんですか?

 

品種もわかりづらいな…
てか今のところラベルからは何にもわかんないです!

 

そうですよね(笑)

例えば、日本のお米だと新潟の魚沼ではコシヒカリしか作っちゃいけませんっていう法律はないですよね。

 

そんなんあったら困りますね。

 

けれどフランスには、“フランスのボルドー地方のメドックという地名を名乗りたいのなら、このぶどう品種しか使っちゃいけません”っていう法律があるんです。

 

なにそれ…
すごいですね…!

 

それぐらいガチガチにフランス政府はワインや特産品に対して法制をしているんですよ。
例えば赤ワイン用ぶどう品種だと、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、などなどっていうふうに使っていい品種が決められているんですよね。

 

そうなると…
えっと、どうなるの?(笑)

 

そうなると、メドックだからこういう味わいなんだな、ってことがわかるんです。メドックといえばこの品種って決まってるんでね。

なので基本的にフランスワインは、ラベルにぶどうの品種は書かれていないことが多いです。

 

わたしたちみたいな初心者には、難しすぎるな…

 

そうですよね。
フランスワインを知ろうと思うと、アペラシオンとコントロレの間の産地名をまず覚えて、そこでの特徴は何かってことを探る。そうやって、その産地の個性を掴んでいく。

なので…まあ〜けっこうな時間がかかりますね、フランスワインは。

 

なるほどなー。
だから、ラベルに産地を書いておけばぶどうの品種はいらないよね、ってことか。

 

書かなくてもわかるでしょ?
みんな知ってるよね?って言われてる感じですね(笑)

 

「フランスワインは勉強必須」っていう意味がよくわかりました…

ワイン勉強

ニューワールドのラベルはわかりやすい!

 

ニューワールドのラベルのわかりやすさも実感できたね。なんかワインのハードル下がってきた感!

 

英語ならある程度読めるしね。いける気がしてきた。

 

良かった良かった(笑)

ニューワールドのラベルは基本的に英語で表記されてますし、なんといってもシンプル。表記されていることをしっかりチェックすれば、初心者でも買いやすいと思います。

ラベルの見方がある程度わかるようになれば経験値も増えてきて、そのうち売っているワインがだんだん読めるようになってきます。
そうなると俄然、ワイン選びが楽しくなってきますよ!

ワイン楽しい

ラベルは読み解くものではなく「自分の好みのものを示してくれるもの」

 

ここで一点注意してほしいのが“ラベルを完璧に読み解くのは無理”ということ。

じゃ、ラベルは何のためにあるのか?といったら、最初のうちは「自分の好みの一本を見つけるために存在している」というふうに思ったほうが良いですね。

ワインショップに行って一個一個のラベルの意味がわかることなんて、かなりハードルの高いことなんです。それを目指そうと思うとうんざりしちゃうんで。

まずは産地とぶどう品種。

この2点をしっかり見て、覚えていきましょうね。

 

よーし、まずはNZのソーヴィニヨン・ブラン買ってみるか!

 

ワイン、楽しくなってきたね!

ワインを「選ぶ」まとめ
  • 自分好みのワインを見つける手がかりになるのは、産地と品種。
    どこで作られたワインなのか、なんのぶどうからできているワインなのかをチェックしてみましょう。
  • ワインを効率よく覚えていくには、ひとつの品種の飲み比べが近道。
    白ワインは、NZのソーヴィニヨン・ブラン、赤ワインは、NZのピノ・ノワールから始めてみましょう
 

岩須さんありがとうございました!

 

こんどはワインの飲み方についても聞きたいです!

 

はいはい、いつでもどうぞ〜

はいはい、いつでもどうぞ〜

おしまい。

続いては、【ワインを飲む編】第一回をご覧ください!

この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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