ニュージーランドワインってどんなワイン?

「今、ニュージーランドワインが世界のワインファンを虜にしている」

これは事実です。

でも、いきなりそう言われても「本当に?」と思う方が多いかもしれないですね。

日本では、ワインの国と言えば、まずフランスを思い浮かべる方が多いでしょう。そのほか、酒屋さんやスーパーマーケットのワイン売り場で目立っているのは、チリ、イタリア、スペイン、オーストラリアあたりのワインで、ニュージーランドワインを見かける機会は少ないかも知れません。

データ上でも、日本に輸入されるワインの国のランキングではニュージーランドは11位と、まだまだ控えめな存在と言えるでしょう。

しかし、世界での存在感となると話が違ってくるのです。

「ニュージーランドワインは一度飲んだら忘れない味だ!」

「この店はニュージーランドワインを置いているなんてセンスがいいね。」

「特別な日はニュージーランドワインが飲みたい」

今、そんな声が世界中から上がるようになっているのです。

なぜか。

それは、ニュージーランドワインの個性が、他の国と比べて明らかに際立っているから。

個性が際立っているということは、脳に味わいの記憶が残っているということです。世界のワインファンに、「ニュージーランドの味」=「強い個性を持っている味」として記憶されているとも言えます。

さて、その強い個性とは何か。

それはずばり「ソーヴィニヨン・ブランがもつ香りと味わい」です。

ニュージーランドで育てられたソーヴィニヨン・ブラン(白ワイン用品種)で作ったワインは、強烈なインパクトを持っているのです。

グラスから立ち上る香りを嗅いだ瞬間、まるで果樹園の中にいるような、たくさんのフルーツの香りが飛び込んできます。

そしてひとくち口に含むと、その弾けるような果実味に誰もがあっと驚きます。まるでグレープフルーツやハーブが原料に使われているのかと思えるほど、力強いフルーティーさとジューシーさ、そしてハーブの清涼感があります。

この特徴的な香りと味わいは、他の国のソーヴィニヨン・ブランとは一線を画すもの。ですから、ワイン業界では

「世界中にあるソーヴィニヨン・ブランの中でも、ニュージーランド産のものは特別な存在である」

と認識されています。

さらに最近では赤ワインでも、フランスに勝るとも劣らない高級なものがいくつもあり、それらはフランスよりも手頃な価格で流通しています。

かつてヨーロッパのワインしか飲まなかった人たちが、近年ニュージーランドワインを選ぶようになってきており、世界各国のスーパーマーケットやレストランが「うちの店にも置きたい」とニュージーランドワインを大量に仕入れています。

そしてそのニーズを受け、ニュージーランドワインの輸出量はぐんぐん伸び、現在では全生産量の8割が輸出されるまでになっています。

それでは、その世界を魅了するニュージーランドワインの「歴史」についても少し触れてみましょう。

ニュージーランドワインの歴史

まず驚くべき事実は、ニュージーランドが世界に通用するワインを生み出すようになってから、まだ40年ほどしか経っていないということ。

ヨーロッパのように代々ワインづくりを継承している作り手は少なく、ほとんどが初代や2代目のような比較的新しい生産者です。

1970年代までのニュージーランドは、酪農と牧畜が産業の中心でした。乳製品や食肉は有名でしたが、ワイナリーは数えるほどしかない状態。もちろんワインの輸出もほとんどされていませんでした。

しかし、そこから40年でワイナリーの数は急激に増え(現在670を超えています)、今ではワインの輸出額は年間1300億円を超えるまでに成長し、国を支える産業にまで成長しています。

その背景には・・・

  • ぶどう作りには寒すぎると言われていたニュージーランドで、1970年代にぶどうをつくるのに適した広大なエリア:マールボロが見つかった。
  • そのマールボロで、先述した「世界を魅了するソーヴィニヨン・ブラン」が大量生産されるようになった。
  • ヨーロッパの伝統国に追いつくために、一生懸命勉強をして技術を高めている生産者が多く、高品質なワインが次々に生まれるようになった。

こんな要因から、ニュージーランドは今日のような名声を得ることになったのでした。

初級者は、ニュージーランドワインで「ぶどう品種」を覚えよう

ワインはぶどう100%のお酒。基本的に水は入っていません。

つまりワインの香りや味わいは、その原料がどんなぶどうかによって決まります。

やや難しいイメージのあるワインの世界ですが、実は、ひとたびその原料のぶどうの「品種」「国」を意識しながら味わう習慣がつけば、その違いがだんだん分かってきます。

このとき、お薦めしたいのが「同じ国のワインで、違う品種のものを選んで経験値を高める」というやり方。

日本は世界各地からワインを輸入している国です。

いろんな国のワインを楽しめること自体は良いのですが、それを「ラベルがよさそうだから」「値段が手頃だから」といった理由だけで選んでしまうと、系統立てて覚ることができません。これでは、酔っ払った回数が増えるだけで、なかなかワインの知識は上がっていきません。

そこでひとまず国を絞りましょう。

ひとつの国で作られているワインの中でいろんな品種を飲んでみるというのが、ワインが得意になる近道です。この方法ならば、「この国のこの品種はこんな特徴がある」という特徴がわかりやすく頭に入ります。

そして、その方法を実践する上で、ニュージーランドワインは最適と言えます。

なぜなら・・・・

まず第一に、基本的にブレンドワインが少ないから。単一の品種で作られたワインが多いので、品種の個性をぶれずに捉えやすいのです。

第二に、ひとつひとつの品種がわかりやすいキャラクターを持っていることが挙げられます。難解でトリッキーな味わいのワインが少ない国とも言えます。

第三に、ニュージーランドで育てられている品種は、世界中で育てられているようなメジャーな品種ばかりであることも大きいです。ニュージーランドで基礎を固めれば、その知識を他の国に応用しやすいというメリットもあります。

ぜひ、このサイトを活用しながら、ニュージーランドワインで、ワインの基礎知識のインプットに挑戦してみてください。

このページではその基礎知識をさらに深掘りしていきましょう。

ぶどう品種や、産地にはそれぞれリンクが貼ってあるので、気になる方は是非そちらから飛んで続きを読んで下さいね。

ニュージーランドのワイン用ぶどう品種

先述しましたが、最重要な白ワイン用ぶどう品種は、ソーヴィニヨン・ブランです。ニュージーランドワインの75%はソーヴィニヨン・ブランという圧倒的なシェアを誇ります。

ちなみに、日本のお米の代表品種コシヒカリでもシェアは全体の35%です。いかにソーヴィニヨン・ブランが国を代表する品種かがうかがい知れるでしょう。

品種(白) 特徴
ソーヴィニヨン・ブラン 柑橘類やハーブの香り。
とてもフレッシュで爽やか。
ニュージーランドワインの代名詞的な品種。
全体の生産量の73.8%を占める(2020年)
シャルドネ 世界人気No.1の白ワイン用ぶどう品種。
ニュージーランドでは、
ソーヴィニヨン・ブランの影に隠れるも、
高級なワインの原料として人気。
ピノ・グリ はちみつのような香りで、
ニュージーランドでは、
ややコクのあるスタイルで作られる。
リースリング 青リンゴや灯油など特徴的な香り。
強い酸味。甘口〜辛口まである。
ゲヴュルツトラミネール ライチやパイナップルの香り。
個性的な香り。甘口〜辛口まである。

続いて、赤ワイン用ぶどうです。

生産量は白ワイン用ぶどうと比べると少量ですが、高品質なものが多く産出されています。

なかでもピノ・ノワールは世界のワイン愛好家や評論家などからも高い評価を受けています。

品種(赤) 特徴
ピノ・ノワール エレガントで繊細な味わい。
セントラル・オタゴが代表的な産地。
品種全体の7.7%。
メルロー 赤ワインでよく使われるブレンド品種。
上品でまろやかな味わい。
サンジョヴェーゼ イタリアの代表的な品種で、味わいは多岐にわたる。
シラー スパイシーで力強い、野性味のあふれるぶどう。
オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれる
カベルネ・フラン カベルネ・ソーヴィニヨンの祖先。
柔らかく、スムーズでやや軽い口当たり。
カベルネ・ソーヴィニヨン 赤ワインの代表的ぶどう。
タンニン(渋み成分)が豊富で、骨格がしっかりしている。
プティ・ヴェルド 濃くて渋いぶどう。
単体ではほとんど使われない。
赤ワインのブレンド用の補助品種。
マルベック 黒ワインとも呼ばれるほど濃い味わいが持ち味。
アルゼンチンで大きく成功した品種。

ニュージーランドのワイン産地

ニュージーランドには、北島と南島があります。南半球に位置するので、太陽が登る方角や、四季もすべて日本とは逆。

気候で言えば、北島の方が南島より「温暖」です。

ニュージーランドの観光情報などワイン以外の情報

最も重要なワインの産地は、南島のいちばん北にある「マールボロ地方」です。

マールボロは、ニュージーランドワインの7割以上を生み出す最重要産地です。

日本で手に入るニュージーランドの大半はこのマールボロ地方のワイン。ニュージーランドといえばマールボロ、と言われるほどメジャーな地名なので、ぜひ覚えておいてください。

マールボロを覚えることが出来たら、次のステップです。ちょっとマニアックになりますが、ラベルにマールボロ以外の地名が出てきた時には下の表からその特徴をご覧ください。

ちなみに、日本では「山梨県産・勝沼地区のワイン」というように、「都道府県名」と「地区」で産地を区分することが多いですが、ニュージーランドではちょっとだけ違います。

日本における「地方名」と「都道府県名」を合わせた感じの区分(甲信越地方の山梨県のようなイメージ)がリージョンと呼ばれ、それが単に「○○地方」と表記されます。つまり「代表的なリージョンはマールボロ地方である」という使われ方をします。

日本における「△△地区」は「サブリージョン」と呼ばれ、「マールボロのサブリージョンには、ワイラウバレー、サザンバレー、アワテレバレーがある」というように使われます。

ニュージーランドのワイン産地

では、ここからは産地を詳しく見てみましょう。

まずは北島から。

北島には5つのワインのリージョン(地方)があります。ニュージーランド最大の都市オークランドや、首都機能のある町ウェリントンがあるのもこちらの地方。

北島 特徴
ノースランド地方 初めてぶどうの樹が植えられた地域。
かなり温暖。
オークランド地方 ニュージーランド最大の都市。
リゾート地としても知られる
ワイヘキ島は、「ワインの島」とも言われる。
ギズボーン地方 最東の産地。
シャルドネの栽培で有名。
ホークス・ベイ地方 マールボロに次ぐ第2位の産地で、
北島の中で最大の産地。
ニュージーランド全体生産量の、約9.3%(2019年)
日照量が豊富で、赤ワイン用ぶどう品種の生産が盛ん。
ワイララパ地方 この地方の中にあるマーティンボロという地域は、
ピノ・ノワールの名産地として知られる。

続いて、南島。

南島には4つのリージョンがあります。

この地域には南北に伸びる標高の高い山々(サザンアルプス)があり、それらが雨雲を遮ってくれるので、ぶどうが育ちやすいのです。

南島 特徴
マールボロ地方 押しも押されもしない
ソーヴィニヨン・ブラン産地として世界的に有名。
ニュージーランド全体の生産量の、
77.7%を占める国内最重要産地。
ネルソン地方 マールボロの西側、日照量が豊富。
フルーツの栽培や、
ビールの原料ホップの産地としても有名。
カンタベリー/
ワイパラ地方
広い地域にワイン産地が点在している。
数々の醸造家を送り出している
名門校リンカーン大学がある。
セントラル・オタゴ地方 フランス・ブルゴーニュ地方にも負けない
上質なピノ・ノワールを生み出し、
世界的に注目を集めている。
またアロマティックな白ワインも、
高品質なものが多い。

 

「1日の中に四季がある」と言われる奇跡の気候

上記のように、ワイン産地にもさまざまな個性がありますが、ニュージーランド全体を貫くの気候のイメージは「やや冷涼で、過ごしやすい気候である」ということです。

ニュージーランドのワインづくりが急速に広まったのには、やはりこの気候がぶどう作りにマッチしたということが大きな要因としてあげられます

中でも・・・・

1日の中に四季があると言われるほど、寒暖差が激しい

これが、ぶどうを育てるために最高な条件となっているのです。

ニュージーランドでは、夏でも朝と晩は長袖が必要なほど、日が落ちるとかなり涼しくなります。

ぶどうは暑いところで一気に熟してしまうと、酸味が抜けてあまり美味しくなりません。夏の太陽をしっかり浴びながらじわじわ成長できる環境が好ましい植物なのです。

昼の間に光合成でしっかり養分をつくり、夜になって気温が下がるとぶどうの樹の活動が止まる。そして、昼間に貯めた養分を逃がすことなく、次の朝を迎え、また晴れた日中に養分をつくる。

その最高のサイクルを生み出すことが出来るのが、昼夜の寒暖差がある場所というわけです。

とはいえ、1970年代までは、昼夜の寒暖差という好条件はあるものの、やはり全体としては冷涼すぎると言われ、この気候でうまく育つ品種がなかなか見つかっていませんでした。

しかし、冷涼な場所を好む品種「ソーヴィニヨン・ブラン」が「マールボロ」に植えられて成功したことをきっかけに、ニュージーランドでも良質なワインをつくることが出来ることが証明されたのでした。

後発国だからこそできる、自由な発想のワインづくり

ワインづくりの歴史が浅いニュージーランド。最初にぶどうが植えられたのは、200年ほど前で、商業的なワインが作られるようになってからはまだ40年ほどしか経っていません。

しかし、この歴史の浅さがワインの世界で不利な立場にいるのかというと、全くそういうわけではありません。ニュージーランドでワイナリーを営む人は、ヨーロッパに追いつこう、いや追い越そうという野心的な人がたくさんいて、彼らは、伝統にとらわれないワインづくりを行っています。

主にヨーロッパでは、何千年あるいは何百年もの時間をかけて、今のワインの製法が確立されてきました。それゆえ、古くからの伝統的な製法と、栽培や醸造が科学的になった現代のテクノロジーを使った製法が混在しています。

ニュージーランドの多くのワイナリーは、その現代のテクノロジーにフォーカスし、非常に合理的にワインを作っています。

ここで「合理的」というのは、機械的という意味合いでなく、さまざまな土地で研究された結果をもとに、自分たちのスタイルを決めるという意味です。

どこにぶどうを植えるかにはじまり、どんな品種でどんなワインをつくるか、そしてそのワインをどう売るかを、一生懸命勉強し、研究データとにらめっこしながら、自分たちの味を追い求めています。

あるニュージーランドのワイン関係者は言っていました。

「僕たちはワインというパーティーに遅れて参加したんだ。だから、追いつかなきゃと一生懸命取り組むのは当たり前なんだよ。」

スクリューキャップの採用率は99%以上

ワインの栓は、伝統的には天然コルクが使われていましたが、今は、合成コルクや、コルク抜きを使わなくても開栓できる「スクリューキャップ」もかなり多く見られるようになりました。

ニュージーランドでは、このスクリューキャップが99%以上の割合で採用されています。

それは、天然コルクには「ブショネ」と言って悪臭を放つものが紛れてしまうというリスクがあるため、そのリスクが極めて低い方が良いという判断をほとんどのワイナリーがしているから。

合理性を求める新しいワイン産国ならではの特徴とも言えます。

ただし「スクリューキャップだと瓶の中でちゃんと熟成をしないのではないか」という議論もあります。

しかし、実際には何年も貯蔵しておいたスクリューキャップのワインがしっかりと熟成をしていたという事例もたくさんあり、ニュージーランドではたとえ高級ワインであっても、スクリューキャップを採用しているというワイナリーもあります。

ブティックワイナリーだらけの国

ニュージーランドのワイナリーは、9割近くがブティックワイナリーと呼ばれる小規模な家族経営のワイナリーです。

ブティックワイナリーならではのメリットは、ぶどうの樹の世話や収穫、選定、醸造など、細部にまで気を配ることができること。それゆえニュージーランドでは、高品質でそれぞれのワイナリーが個性を発揮したワインが多く生み出されているというわけです。

ただし、規模が小さく手間暇をかけるということは、値段もある程度は高くなってしまいます。こだわりのブティックワイナリーのワインを味わうならば、日本では2,000円以上の価格帯になることが多いようです。

大自然の中でオーガニックなワインをつくる

ニュージーランドワインをつくる生産者のうち、94%以上はオーガニックやサスティナブルのワイナリーです。「BioGro(バイオグロ)」というニュージーランド独自の厳しいオーガニック基準を満たしているワイナリーも多く、農薬に頼ることを極力避け、自然の力を活かした有機栽培がさかんに行われています。

ニュージーランドの大自然と、その大自然の恩恵であるオーガニックなワインは、ぴったりとイメージが重なることもあり、世界的にオーガニック志向が高まり続ける今、価値が高いアイテムとして受け入れられています。

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部

NZワインラバーズ編集部
NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆しています。
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