2020年ボジョレー・ヌーヴォー解禁日間近!世界の新酒もご紹介
今年もボジョレー・ヌーヴォーの解禁日が近づいてきました!
みなさんは、もう予約されましたか?
今回はそのボジョレー・ヌーヴォーに関する豆知識と、意外と知られていない世界の新酒(ヌーヴォー)をご紹介します!
そもそもなんですが、「ヌーヴォー」ってどういう意味なんですか?
「ヌーヴォー」とはフランス語で“新しい”という意味で、ワインの世界では「その年に収穫したぶどうを使った新酒」を指すんですよ。
採れたばかりのぶどうでつくったワインなので、フレッシュでフルーティーな香りと味わいが特徴です。
本記事でお伝えする世界の新酒の中には、「ニュージーランドワイン」も!NZは南半球に位置する国なので、世界の中でもいち早くヌーヴォーが楽しめるのです。
この記事を読んで、今年は色んな国の新酒を試してみましょう!
もくじ
2020年の「ボジョレー・ヌーヴォー」解禁日はいつ?
まずは定番のボジョレー・ヌーヴォーの豆知識からお伝えしますね。
ボジョレー・ヌーヴォーは、「解禁日」が設けられているワイン。毎年11月の第3木曜日の午前0時に、お店での提供が解禁されます。今年(2020年)の解禁日は、11月19日です。
ちなみに「ボージョレ」とも言い、カタカナで表記する際には「ボージョレ」を使用する場合もあります。
ボジョレー・ヌーヴォーとは?
ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais Nouveau)とは、フランスのブルゴーニュ地方南部のボジョレー地区で、「ガメイ」というぶどう品種を使ってつくられるワイン(新酒)のことです。赤ワインが有名ですが、ロゼワインもありますよ。
ボジョレー・ヌーヴォーの製法は?
ボジョレー・ヌーヴォーは、マセラシオン・カルボニックまたは炭酸ガス浸潤法と呼ばれる製法で仕込まれます。
一般的にワインづくりは「除梗(じょこう)」といって、ぶどうの梗(こう)と呼ばれる部分を取り除く作業や、ぶどうをつぶす作業からスタートするのですが、このマセラシオン・カルボニックという製法ではぶどうを房ごと密閉タンクに入れ、炭酸ガスが充満する中で発酵させます。そうすることで渋みが少なく、ライトな飲み口のワインになるのです。
この製法でつくられる新酒にはその年のぶどうの出来の良し悪しがダイレクトに反映されます。その為「ボジョレー・ヌーヴォー」が美味しいと、その年のブルゴーニュ南部のワインにも期待が高まるのです。
ボジョレーの解禁日の豆知識
今ではボジョレー・ヌーヴォーには解禁日があることはよく知られていますが、実はその制定には様々な経緯がありました。
もともとボジョレー・ヌーヴォーは、ボジョレー地区の収穫祭で飲まれる地酒でしたが、次第にその人気は世界の国々にも広がっていきました。
しかし、その爆発的な人気の影で、ある問題が起きるようになったのです。
ある問題ってなんですか!?
自分たちのつくるワインを少しでも早く出荷して販売しようとする生産者たちが増え、品質の悪いワインも出回るようになってしまったんです。
そこでボジョレー・ヌーヴォーの品質を守るために、解禁日が定められるようになったというわけです。
1967年にはフランス政府が公式にその解禁日を11月15日と定めました。解禁日を設けることによって、ワインの品質は安定したものの、今度はまた別の問題が浮上。
土日・祝日に休みを取る会社が多いフランスでは、せっかく解禁日を設けても、その日が土日・祝日と重なる年にはワインの運搬や販売ができない場合が多かったのです。そのような問題を解決するためにも、1985年に解禁日が現在の「11月の第3木曜日」と定められたのでした。
ちなみに、その人気の火付け役として知られるのは、ボジョレー地区のワイナリー経営者である「ジョルジュ・デュブッフ氏」。単なる地酒に過ぎなかったボジョレー・ヌーヴォーを、魅力あるワインとしてフランス全土に売り込み、さらに世界に向けてプロモーションを展開しました。
ボジョレー・ヌーヴォーの最大の輸出国は「日本」
日本ではワインの一大イベントとして盛り上がる「ボジョレー・ヌーヴォー」ですが、それは世界でも共通なのでしょうか?
実はボジョレー・ヌーヴォーの輸出先として長年首位をキープしているのは日本なんです!
生産されるワインの半分以上は日本向けに出荷されていて、つまり、日本は最も“ボジョレーの人気が高い国”と言えるのです。
では、なぜ日本でそれほどに人気が出たのか。それは、日本が日付変更線に近い国で、本場フランスより約8時間早くボジョレーが飲めるということが影響しています。
「最も早くボジョレーが飲める!」というようなキャッチコピーが初物好きの日本人にうけ、バブルまっただ中の日本で大ヒット。普段ワインを飲まない人でも、年に一度はボジョレー・ヌーヴォーを飲む、そんな季節の風物詩的なアイテムとなりました。
現在、ボジョレー・ヌーヴォーの日本への出荷量はピーク時の半分くらいになっていますが、ワインにそれほど力を入れていなくても “ボジョレー・ヌーヴォーだけは仕入れる” というお店もあり、まだまだ秋の風物詩としての役割は健在と言えると思います。
へ〜!ボジョレー・ヌーヴォーの輸出先は日本がトップなんですね!初めて知りました。
そうなんです。一時期に比べるとだいぶん人気は落ち着いた感じもありますが、それでも「飲食店にとってあまり目立ったイベントのない11月」には、ボジョレー・ヌーヴォーは欠かせない存在です。
最近では、“ボジョパ”(ボジョレー・パーティー)という言葉を使って、若者たちに気軽に飲んでもらおう、なんていう試みもありますね。
「ボジョレー・プリムール」とは!?
ボジョレー・ヌーヴォーと、ほとんど同じ意味を持つワインに「ボジョレー・プリムール(Beaujolais primeur)」というものがあります。
「プリムール(primeur)」と表記されているものを見かけることも少しずつ増えてきたので、こちらも簡単に説明させてください!
プリムールとはフランス語で「初めての」「一番目の」などという意味。
ワインの表現として使われる場合は、
- 「(ワインの)先物取引」
- 「ヌーヴォー(新酒)」
という2つの意味があります。
前者の「プリムール」とは、ボルドー地方で採用されているワインの販売システムで、瓶詰め前の熟成中のワインを予約購入できる先物取引のことを指します。一方、ボジョレー地区のワインの場合は、後者のヌーヴォー(新酒)という意味で使われることがほとんどです。
つまり「ボジョレー・プリムール」は、ボジョレー・ヌーヴォーと同義ということになります。
ちなみに実際に販売されているワインにはボジョレー「ヴィラージュ」ヌーヴォーというように「ヴィラージュ」と表記されているものもあります。これは、ヴィラージュという名称を名乗ることができる特別な地域のぶどうを使っていることを指します。つまり、「ワンランク上の限定ワイン」と捉えるとよいでしょう。
ボジョレー・ヌーヴォー以外のヨーロッパの新酒
ボジョレー以外にも、世界には様々な新酒があります。
フランス(ボジョレーを除く)
フランスではボジョレー以外にも、新酒を生産している地域が各地にあります。そしてその地域ごとに、“新酒”として販売しても良いワインの種類などが定められているのです。
日本でボジョレー以外で手に入るフランスの新酒としては、マコンを中心とした地区「マコネ」のシャルドネを使ったヌーヴォーが有名です。
このように生産地域やぶどう品種などの細かい決まりがあるのは、ヌーヴォーに限らず、フランスのワインの特徴とも言えます。細かいルールのおかげで、品質が安定しやすいというメリットがあり、それゆえ、毎年の出来映えの比較もしやすくなります。
イタリア:「ノヴェッロ(Novello)」
ハロウィンの前日の10月30日に解禁を迎えるのはイタリアの「ノヴェッロ」。
このイタリアの新酒のおもしろい所は、ざっくりとしたルールがあるだけで、産地やぶどう品種に関する制約がないことです(最低限の決まりは、マセラシオン・カルボニック製法のワインを40%以上含めることなど)。つまり、フランスのヌーヴォーと違い、ノヴェッロは、地域や品種の多様性を楽しむことのできる自由度の高い新酒と言えます。
ノヴェッロって、ハロウィンの前日に解禁されるんですね!ハロウィンパーティーにもバッチリですね♪
そうですね!ハロウィンパーティーのお酒に迷ったら、ちょうどシーズンがぴったりのノヴェッロを選ぶのもいいかもしれませんね。
ちなみに地元の人たちがこのノヴェッロに合わせるおつまみは、焼き栗が定番!
またイタリアでは、同じ「ノヴェッロ」でも今年収穫されたばかりの初摘みオリーブでつくられた「エクストラ・ヴァージン・オイル」を指す場合もあります。10月下旬頃から販売されるこのオリーブオイルのヌーヴォーは、日本でも人気が出てきています。
オーストリア:「ホイリゲ(Heuriger)」
オーストリアで名物の新酒は「ホイリゲ」。「聖マーティンの日」で収穫祭が行われる11月11日に解禁され、その日から1年未満はホイリゲとして販売できることとなっています。
ホイリゲはワイングラスではなく、豪快にジョッキで飲むのが定番のスタイル。
また、このホイリゲには“新酒”という意味の他に「居酒屋」という意味があります。もともとは、農家が自家製の新酒をおつまみといっしょに出していていたことから、転じて「ホイリゲ(新酒)を出す場所」=「ホイリゲ(居酒屋)」として浸透したと言われています。
現代のホイリゲでは、自家製ワインと共に「シュランメル」というバイオリンやアコーディオンなどで演奏されるウィーンの伝統音楽を楽しむこともあります。
ジョッキでワインを飲むというのも、驚きです!気取らずわいわい新酒が飲めるって良いですね♪
このホイリゲ(新酒)ができあがると、日本酒の酒蔵が杉玉を吊すように、店の軒先に、モミの木などの小さな枝を束ねたものが吊されるんですよ。
このモミの木が、新酒ができた合図。
その他の新酒
ドイツ:「デア・ノイエ(Der neue)」
赤、白、ロゼなどがありますが、白ワインが主流です。その多くは、中でも収穫が早い「ミュラー・トゥルガウ」からつくられるワイン。味わいも、辛口〜やや甘口まで様々。解禁日は11月1日です。
スペイン:「ビノ・ヌエボ(vino nuevo)」
オーストリアと同じく「聖マーティンの日」である11月11日に解禁されます。ワインはテンプラニーニョからつくられる赤ワインが主流です。この解禁日にあわせて、国内で様々な催しものが開催されます。
日本の新酒「山梨ヌーボー」
実は、日本にもヌーヴォーと呼ばれるワインがあるんですよ。
日本で「ヌーヴォー」として販売されているのは「山梨ヌーボー」です。
山梨ヌーボーとは、山梨県内のワイン醸造業者でつくる組合「山梨県ワイン酒造組合」が同県と定めた新酒です。山梨県内で収穫、醸造された甲州とマスカット・ベーリーAの新酒ワインのみが「山梨ヌーボー」と呼ばれ、11月3日に自主解禁日が設けられています。その解禁日には毎年「山梨ヌーボーまつり」が開催されていましたが、今年は新型コロナウイルスの影響で中止となっています。
ちなみに「山梨ヌーボー」ではありませんが、食用品種として知られる「デラウェア」をつかった面白い新酒もあります。山梨の「ドメーヌQ」がつくる「ヌーヌーボー」というワインで、通常よりかなり早い7月上旬頃に収穫され、毎年、7月末頃にはワインとして販売されています。
世界でいち早く飲める新酒「ニュージーランド・ヌーヴォー」!
秋の新酒の解禁日が待ちきれない!という人には、「ニュージーランド・ヌーヴォー」がおすすめです。
南半球に位置するNZでは2〜4月にぶどうの収穫のピークを迎えます。解禁日などの特別なルールはないものの、7月頃になるといくつかのワイナリーがヌーヴォー用の商品の販売をスタートします。
ヌーヴォーとして売り出されるものは、主にNZの代表的な品種であるソーヴィニヨン・ブランです。その他にも、赤ワインの代表品種であるピノ・ノワールでヌーヴォーをつくる生産者もいます。
ソーヴィニヨン・ブランはもともと、パッションフルーツやトロピカルフルーツなどの弾けるような果実味と、清涼感たっぷりでシャープな酸が特徴です。
その「ヌーヴォー」は、果実のみずみずしさがあって、さらっとした味わいのものが多く、夏のアウトドアにぴったりです。
夏に似合うヌーヴォーっていいですね!
ピクニックやキャンプに持って行きたいなー♪
もっと詳しく「ニュージーランド・ヌーヴォー」について知りたいという方は下記の記事をご覧下さい。
▶2020年ニュージーランド・ヌーヴォー、7月より各ワイナリーが販売開始!
日本で手に入るニュージーランド・ヌーヴォーの銘柄は、「シレーニ」や「ヴィラマリア」があります。どちらも、お手頃な価格ですよ。
2020年のNZヌーヴォーはほとんど販売が終わっていますが、来年の夏はぜひ体験して頂ければと思います!
シレーニ エステート(Sileni Estates)
日本に輸入されるNZワインの中で上位の輸入量を誇る「シレーニ」では、7月1日よりヌーヴォーの販売が解禁されます。
シレーニから販売されるヌーヴォーは、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールの2種類です。
▶シレーニ・ヌーヴォー ピノ・ノワール|エノテカ オンラインショップ
▶シレーニ・ヌーヴォー ソーヴィニヨン・ブラン|エノテカ オンラインショップ
2020年のヌーヴォーは完売している場合があります。
ヴィラマリア(Villa Maria)
国内外から高い評価を受け、日本でも定番のNZワインといえる「ヴィラマリア」は、7月1日にヌーヴォーの販売を開始しています。
「ヌーヴォー」として売り出されているは、ソーヴィニヨン・ブラン1種類です。
▶ヴィラマリア プライベートビン ソーヴィニヨン・ブラン2020|Amazon
2020年のヌーヴォーは完売している場合があります。
今年はボジョレーだけでなく、世界の新酒を楽しもう!
今回は「ボジョレー・ヌーヴォー」と世界の新酒をお伝えしました。
今年は、なかなか遠出ができない方も多いと思います。そんな方でも、世界のワインがあれば、そのワインの背景に思いを馳せて、ちょっぴり旅行気分を味わえるかもしれません。
また、採れたばかりのぶどうからつくられた新酒は、軽やかな味わいで、家庭料理との相性もよいものばかり。この時期のおうち時間を楽しくするためのアイテムのひとつとして、「世界の新酒」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
この記事の筆者

- NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆しています。
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監修

- ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
ボクモ(BOKUMO)
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