ワインを通して様々な人間模様を描いた映画「東京ワイン会ピープル」感想とあらすじ

 

ワイン会というものに興味があって、この映画を見てみました!

 

主人公と同世代のなっちゃんにはぴったりの作品ですね。

今回ご紹介するワイン映画は、東京でワイン会に興じる人々の人間模様を描いた映画「東京ワイン会ピープル」です。

東京ワイン会ピープル

 引用元:映画「東京ワイン会ピープル」公式Twitter

2019年に公開され、今年(2020年)4月にBlu-ray、DVDが発売。発売されて間もない新作ということで、ぜひ今チェックして頂きたいところ。乃木坂46の松村沙友理さんのフレッシュな演技を見ることができます。

アイドル主演の恋愛映画というように見えるかもしれませんが、この作品は名だたるワインのプロ達が監修・出演もしているということで、ワイン好きもしっかりと楽しめる濃い内容になっています。

【この記事の登場人物】

 

なっちゃん
Web系の会社に勤める29歳。もっとワインを楽しめるといいな、とワイン勉強中。
岩須
このサイトの監修を担当する、ソムリエ。自身が名古屋で営むバーでは、ニュージーランドワインを豊富に取り揃える。

「東京ワイン会ピープル」詳細情報

映画ジャンル ドラマ
テーマ 恋愛、友情、ワイン会
制作年/国 2019年/日本
時間 101分
監督 和田秀樹
原作 樹林伸
公式サイト 映画『東京ワイン会ピープル』公式サイト

原作者は「神の雫」の樹林伸

樹林伸(きばやし しん)氏は1962年生まれの小説家。今まで自身の作品だけでなく、数々の大ヒット漫画や有名ドラマの原作を手掛けてきました。

ワインに関係のある作品では、漫画「神の雫」の原作が。「神の雫」は2004年から10年続いた大ヒット作で、ジャニーズの亀梨和也主演でドラマ化もされました。

ワインに関連する作品以外では、ミステリーやサスペンスを得意とし、「金田一少年の事件簿」「サイコメトラーEIJI」「ブラッディ・マンデイ」など、誰もが一度は聞いたことのある超有名作品たちを手掛けてきました。

Wikipediaなどで詳細を見てみると「あれ?神の雫と金田一少年の原作者、違う人だよ?」と思うかもしれませんが…

実はこの方、作品のジャンルによって名義を変えているんです。

「神の雫」については亜樹直(あぎ なお)名義で原作を担当しており、こちらはノンフィクション作家の姉とのユニット名義なんだそうです。

 

「神の雫」と「金田一少年」の原作者が同一人物だなんて、全然知りませんでした!びっくりです。

「東京ワイン会ピープル」の原作となった小説は2017年に刊行され、「神の雫」ファンやワイン好きの間で話題となりました。

監督の和田秀樹は変わった経歴の持ち主

和田秀樹(わだ ひでき)氏は、受験アドバイザー、評論家、小説家、精神科医、臨床心理士、大学院教授、など複数の肩書きをもつ人物。

教育、医療、政治、経済など多岐に渡るジャンルで数多くの著書を発表してきた評論家として有名で、コメンテーターとしてテレビ出演もしています。

和田氏は学生の頃に映画の世界に惚れ込み、自分の映画を撮る予算を稼ぐために医師を目指したという、生粋の映画好き。精神科医、評論家として成功した後、2008年に映画「受験のシンデレラ」で監督デビューしました。

このデビュー作はモナコ国際映画祭で作品賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞の4冠を獲得し話題となり、NHKでドラマ化もされました。 監督5作目となる「東京ワイン会ピープル」も再びモナコ国際映画祭に出品され、アンサンブル・キャスト賞(全てのキャストが評価されたという賞)、インディペンデント・スピリット賞を受賞しました。

ワイン愛好家としても有名で、ワインイベントなどへの登壇もしています。

 

いくつもの分野で成功しながら、映画監督という子供の頃からの夢も叶えるなんて、こんな凄い人っているんですね〜。

「東京ワイン会ピープル」登場人物とキャスト紹介

乃木坂46のメンバー、松村沙友理が主演ということでも注目された本作。周りを固めるキャスト陣にも注目してみてください。

桜木紫野 役:松村沙友理(乃木坂46)

松村沙友理

 引用元:映画「東京ワイン会ピープル」公式サイト

村松沙由里(むらまつ さゆり)は人気アイドルグループ、乃木坂46のメンバー。

1992年生まれ。 2013年に初めてテレビドラマに出演。その後演技の経験を重ね、2019年に本作で初めて主演に抜擢。今後女優としての本格的な活動も期待されています。

桜木紫野というキャラクターは、ワイン初心者の普通のOL。部長に誘われワイン会に参加しますが、セレブな雰囲気にいまいち馴染めません。そんな中で、参加者の一人である織田と出逢い、意気投合。

素直な性格の紫野は、豊かな想像力でワインの味わいを表現し、不思議な魅力を振り撒いていきます。

雨宮千秋 役:大野いと

大野いと

 引用元:映画「東京ワイン会ピープル」公式サイト

大野いと(おおの いと)は1995年生まれの女優、ファッションモデル。

2010〜2015年まで雑誌「Seventeen」専属モデルを務めながら、2011年に早くも映画「高校デビュー」で主演に抜擢され話題となりました。

その後多くの作品に主演、出演しています。 雨宮千秋というキャラクターは、主人公・紫野と仲良しの会社の同僚。ワイン会には合コン感覚で参加し、見事イケメン歯科医をゲットしますが、すぐに上手くいかなくなってしまいます。

紫野とは対照的に、見た目の美しさや見栄に振り回されがちな千秋。紫野の助けを借りながら、人間として本質的に成長していきます。

織田一志 役:小野塚勇人(劇団EXILE)

小野塚勇人

 引用元:映画「東京ワイン会ピープル」公式サイト

小野塚勇人(おのづか はやと)は1993年生まれの俳優。EXILEのHIROがプロデュースする「劇団EXILE」のメンバー。2016年の「仮面ライダーエグゼイド」に九条貴利矢(仮面ライダーレーザー)役で出演し多くの人気を獲得しました。

織田一志というキャラクターは、若手IT社長として世間に注目される爽やかな青年。ワインを心から愛し、ワイン会にも積極的に参加しています。

そんな中で出逢った主人公・紫野に惹かれていきます。 しかし紫野と意気投合したのも束の間、会社の粉飾決算の疑いで逮捕されてしまう織田。拘置所の中から紫野と手紙でやりとりし、想いを深めていきますが…。

小野塚自身はこの映画への出演をきっかけにワインにハマったということで、上映記念パーティーでは「この映画を通じて、少しでもワインの良さを僕ら同世代の若い人に知っていってもらえたら」と語りました。

 

メインキャストが若手中心ということで、その世代への訴求力は高いと思います。小野塚さんの言う通り、この映画をきっかけにワインに興味を持つ若者が増えて欲しいものですね。

ワイン会メンバー

織田は逮捕されてしまいますが、紫野には自分の仲間が集まるワイン会に参加して欲しいと伝えます。

そのワイン会のメンバーは織田と同じく、心からワインを愛する人々。拘留されている織田の代わりに、紫野にワインの世界の奥深さを教えてくれます。

  • ロジェデュカス楓 役:藤岡沙也香 元宝塚歌劇団花組の娘役で、現在も舞台を中心に活躍中。 楓は女優として華やかな世界に生きながら、どこかしら影を持つ女性。

  • 西義和 役:鯨井康介 2.5次元舞台を中心に様々なメディアで活躍する俳優。 西は穏やかな性格の後輩的存在。

  • 布袋裕二 役:水上竜士 映画やVシネマの脚本を手掛けながら、俳優としても数多くの作品に出演。 布袋はワインで投資に成功した資産家。楓に想いを寄せる。

  • 古澤美登里 役:須藤理彩 数多くの作品に出演してきたバイプレーヤー。 古澤は自身のクリニックを持つセレブ医師で、織田の面会に行くなど、仲間想いなお姉さん的存在。

超有名ソムリエがゲスト出演

田崎真也

田崎真也

 引用元:映画「東京ワイン会ピープル」公式サイト

言わずと知れた超有名ソムリエ。世界最優秀ソムリエコンクールに、日本人として初めて優勝した人物。国際ソムリエ協会の会長を務めた経験を持ち、現在は日本ソムリエ協会会長を務めながら、評論家、ワインタレントしても活躍中。

劇中では長尺ワンカットでワインのサーブを披露しています。

高野豊

高野豊

 引用元:映画「東京ワイン会ピープル」公式サイト

長野県出身のマスターソムリエ。地元で江戸時代から続く酒屋に生まれる。NAGANO WINEのブランド向上の立役者。現在はワインのみならず酒類全般の商品開発や、酒の専門家に対するコンサルティングなどを手掛けています。

さりげないシーンで只者ではないオーラを放ちながら登場します。お見逃しなく。

浦川哲矢

浦川哲矢

 引用元:映画「東京ワイン会ピープル」公式サイト

星野リゾートで出されるワインのセレクトや、漫画「神の雫」の監修などを行うなど、ワインに関する様々な事業に携わっています。

劇中では織田行きつけのバーの店員を、プロフェッショナルの雰囲気たっぷりに演じています。

「東京ワイン会ピープル」を見た感想

序盤は、ワイン会でこれみよがしに知識を披露するセレブ達の立ち振る舞いに、違和感を覚えるかもしれません。

見る前から、「東京ワイン会ピープル」というだけあって、キラキラした人たちの恋バナがメインなのかな?という印象もありました。

ですが、実際に見ていくと、この映画のメインテーマはそうではないことが分かるはずです。

たしかに、普通のOLである紫野が織田との出逢いからセレブのワイン会に参加するようになるという流れがあり、高級ワインがポンポン開くような業界人の集まるパーティーや、ワインオークションなど、いかにもなシーンがたくさん出てきます。

しかしその中にも、紫野が表現力豊かにワインの魅力を語るシーンや、1本のワインに隠された生産者のメッセージなど、ワイン好きがちゃんと楽しめるシーンがいくつもありました。

特に紫野はとても魅力的な主人公。彼女はワインの香りや味わいから得たインスピレーションを脳内でイメージ化し、それをそのまま口に出すことができる人なんです。

普通のワイン初心者が詳しい人に囲まれたら、何も言えなくなるか、彼らに倣って似たような感想しか言えなくなってしまうでしょう。

そんな状況でも彼女は自分だけの言葉でワインの味わいを表現することができる、しかもそれが妙に的を射ているという、確かな味覚と嗅覚、素晴らしい表現力を持っています。

東京ワイン会ピープル

引用元:「東京ワイン会ピープル」公式Twitter

 

こんな人とワイン会をしたら楽しいんだろうなぁ〜って思いました!

そして恋愛要素といえば紫野と織田の関係ですが、どんなふうに深めていくのかと思いきや「文通」なんです。

キラキラしたセレブの恋愛とは懸け離れた、ピュアで素朴な恋愛。でもそれが紫野のキャラクターとよく合っています。 登場人物の中には、現実はつらいけれど気の合う仲間とのワイン会で楽しもう、という人もいれば、愛していたワインに裏切られ深い闇を背負ってしまった人など、それぞれの事情を抱えながらワインと共に生きている人々がいました。

そこに巻き込まれた紫野の同僚の千秋も、実は秘密を抱えて生きていました。とある出来事から自分のネガティブな部分に負けそうになる千秋を、紫野はワインを通じて励まします。

年齢、性別、社会的立場など全く違う人々が、ワインで繋がったり、離れたり、癒されたり、悩んだり…それが「ワイン会」というものなんだ、と感じました。

 

ワインには人生を変えるくらいのちからがあるんだなと、つくづく思いましたね。

 

私も、ワイン会で素敵な人と出逢いたいです!

 

応援してますよ(笑)

まとめ

「東京ワイン会ピープル」は、ワインの世界の奥深さと、ワインと生きる人々の人間模様を描いたヒューマンドラマ。

恋愛だけでなく、若者の内面的な成長や成功者の内なる苦悩、ワイン業界のちょっとした裏側も描かれていて、若い人に限らず老若男女が楽しめる映画です。

見終わった後には、高級ワインをバンバン開ける…とはいかなくても、気の合う仲間とゆっくりワインを楽しみたいな、という気持ちになるはず。

もちろん、おうちワイン会で見るのもおすすめです。

映画「東京ワイン会ピープル」を配信している動画配信サービスを調べるには、こちらのサイトが便利です。
 

当サイトでレビューした15本の映画記事をまとめました。こちらもぜひ御覧ください!

ワイン映画・おすすめ15選!ソムリエのコメントとともにご紹介

この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
1 / 4