ワインを飲みながら休日に。映画「プロヴァンスの贈りもの」感想とあらすじ

今回ご紹介するのは、2006年のアメリカ映画「プロヴァンスの贈りもの」です。

 

ラッセル・クロウってラブストーリーも出てるんですね!いかつい、アクション系のイメージでした。

 

たしかに、「グラディエーター」のイメージが強烈かも!実際、経歴を見てみると、恋愛映画への出演はそれほど多くないようですね。

プロヴァンスの贈りもの

 引用元:Amazon

ロンドンで金融トレーダーとして活躍する主人公・マックスは、優秀なトレーダーとして有名でしたが、そのやり口はルール違反すれすれの過激派。同業者からは嫌われ、上司からは圧をかけられ、ギスギスした世界で生きていました。

ある日、フランスに住む叔父・ヘンリーが亡くなったという知らせが。マックスは遺産相続のために久々の休暇をとり、叔父の邸宅とワイナリーのあるプロヴァンスを訪れます。

ヘンリーとは長年疎遠になっていましたが、修繕しながらその家で過ごすうちに、子供の頃の思い出や、叔父が授けてくれた様々な格言の記憶が、次々と蘇ってきます。

殺伐とした都会での生活は、本当に自分の求めていたものなのか…。遺産は全て売り払うつもりだったマックスの心に、かすかな迷いが。

そんななか、町のレストランで働く美しい女性・ファニーに恋してしまったり、ヘンリーの娘だと名乗るアメリカ人女性・クリスティが訪ねてきたりと、新しい出会いも彼の気持ちに変化を与えていきます。

果たしてマックスは、叔父の家とワイナリーを売り払ってしまうのか、それとも…。

全編にわたり、南仏プロヴァンスのダイナミックな自然や美しい町並みが背景になっていて、映像の美しさに思わずうっとりしてしまいます。また、クスッと笑えるコメディシーンや、BGMに使われている小粋なオールディーズなども、良いアクセントになっています。

【この記事の登場人物】

 

なっちゃん
Web系の会社に勤める29歳。もっとワインを楽しめるといいな、とワイン勉強中。
岩須
このサイトの監修を担当する、ソムリエ。自身が名古屋で営むバーでは、ニュージーランドワインを豊富に取り揃える。

「プロヴァンスの贈りもの」詳細情報

映画ジャンル ロマンティック・コメディ
テーマ 恋愛、仕事、家族
制作年/国 2006年/アメリカ
時間 118分
監督 リドリー・スコット
原作 ピーター・メイル
出演 ラッセル・クロウ マリオン
・コティヤール フレディ
・ハイモア 他
 

タイトル原題は「A Good Year」。これはワイン用語で「当たり年」という意味。非常に良質なワインが出来上がった年のことです。

「プロヴァンスの贈りもの」監督と原作者の紹介

公開当初、監督も主演俳優も超有名ということで、日本でもワインファンだけでなく、多くの人に注目されました。まずは、監督と原作者を紹介していきます。

監督:リドリー・スコット

1965年生まれのイギリス人監督。BBCでディレクター業を経験したのちに独立し、映画監督となりました。

90年代に「エイリアン」「ブレードランナー」「テルマ&ルイーズ」、2000年代には「グラディエーター」「ハンニバル」、近年ではマット・デイモン主演の「オデッセイ」が大ヒットするなど、長きにわたりヒット作を生み出し続けています。

「プロヴァンスの贈りもの」で主演を務めたラッセル・クロウとは、2000年公開の「グラディエーター」でアカデミー賞で作品賞、主演男優賞など5部門を獲得して以来、何度もタッグを組んできました。

歴史アクションスペクタクル、という壮大な作品だった「グラディエーター」に対して、「プロヴァンスの贈りもの」は現代ラブストーリーということで大きなギャップがありましたが、実はスコット氏はプロヴァンスにぶどう畑を所有するほどのワイン好き。そういう意味では「監督の趣味全開」な作品といっても良いのではないしょうか。

原作:ピーター・メイル

フランスのプロヴァンス地方を舞台、もしくはテーマにした著書で有名なイギリス人作家。

監督リドリー・スコットとは旧知の仲で、「プロヴァンスの贈りもの」もベースとなるアイディアをスコット氏がメイル氏に持ちかけたところから始まった作品なんだそう。

メイル氏はもともと大のプロヴァンス好きで、何度も訪れるうちに実際に移住してしまったほど。その著書は現地の雰囲気を活き活きと感じられるものばかりです。

中でも「南仏プロヴァンスの12ヶ月」は日本語訳も刊行されており、ファンの多い作品です。

「プロヴァンスの贈りもの」出演者の紹介

メインの出演者を紹介していきます。

ラッセル・クロウ

 

オスカー俳優のラッセル・クロウがニュージーランド出身ということは、意外と知られていないかもしれません。

ラッセル・クロウの出身地であるウェリントンは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの監督、ピーター・ジャクソンの出身地でもあり、現在、彼の映画製作会社の本拠地として、映像製作関連のスタジオやオフィスがたくさんあります。また、自然豊かな海辺の町ということで、ロケ地としても有名。映画「ロード・オブ・ザ・リング」3部作のロケが行われたことでも知られます。

 

ウェリントンは、映画の都ハリウッドになぞらえて「ウェリウッド」と呼ばれるほど、NZ随一の映画都市なんですよ。

そんな地で産まれたラッセル・クロウは、ニュージーランドとオーストラリアを行き来しながら育ちます。オーストラリア在住時には何度か子役としてドラマ出演を経験。高校を中退しロックバンドで活動するなど紆余曲折を経て、1990年に初主演作で、本格デビュー。

数々の主演作の中で最も有名といえる作品は、アカデミー賞で主演男優賞を獲得した「グラディエーター」(2000年)、グラミー賞で主演男優賞を獲得した「ビューティフル・マインド」(2001年)です。

「プロヴァンスの贈りもの」の他にもリドリー・スコット監督作品に多く出演し、二人は盟友とも呼ばれています。

マリオン・コティヤール

1975年生まれのフランス人女優。

両親共に俳優、兄弟も脚本家、芸術家という一家に生まれ、演劇学校を首席で卒業するなど、エリートなイメージがあります。

「プロヴァンスの贈りもの」の翌年2007年、実在のシャンソン歌手エディット・ピアフの伝記映画「エディット・ピアフ〜愛の讃歌」で主演を務め、アカデミー賞主演女優賞をはじめとするいくつもの賞を受賞し、世界的に大ブレイクしました。

その後も賞レースに頻繁に名前が上がる実力派女優として活躍していて、日本でも非常に人気があります。

フレディ・ハイモア

1995年生まれのイギリス人俳優。

子役時代のその顔を一目見れば「チャーリーとチョコレート工場」の子だ!と誰もが思うはず。

「プロヴァンスの贈りもの」は「チャーリー」の翌年の作品ということで、当時の可愛らしい姿を見ることができます。

その後も繊細な演技力が評価され「奇跡のシンフォニー」「スパイダーウィックの謎」などに主演し、子役として世界的に人気を博しました。

近年では、なかなか日本公開までに至らないものが多いですが、2017年スタートの人気ドラマシリーズ「グッド・ドクター」で主演を務めるなど、俳優としてのキャリアを重ねています。

2020年現在、28歳ということでまだまだ今後が期待される存在であることは間違いありません。

 

デビューは1999年…ということは既に芸歴21年!子役って凄いなぁ。

プロヴァンス
 

「プロヴァンスが美しいイメージなのは分かるけど、実際どんな場所?」と思う方は多いかもしれません。簡単にまとめてみました。

人気のリゾート地

プロヴァンス地方は、地中海に面したフランス南東部に位置しています。
プロヴァンス地方 地図
 古い建物や町並みの中で今も人々が生活していたり、緑も豊富で、風光明媚な観光地として有名です。 原作者のイギリス人作家、ピーター・メイルもその魅力にとりつかれた一人で、何度もヴァカンスで通ううちに住み着いてしまったそう。 映画「プロヴァンスの贈りもの」のレビューをネット上で見ていくと、実際に現地へ行ったことがあったり住んでいる方から「とても自然なプロヴァンスの姿だ」「現地の様子がリアルに描かれている」というような、高い評価が寄せられています。
 

この映画を見ればきっと「プロヴァンスに行ってみたい!」となるに違いありません。

 

原作が日本語訳されているみたいなので、私はまずそれを読んでみようかな♪

ワイン産地としてのプロヴァンス

プロヴァンス地方は、フランスの中でも古くからぶどうの栽培とワイン醸造が行われてきた地域です。

地中海性気候ということで、夏は日差しが強く乾燥していて、ぶどう栽培に適しています。

そしてこの地域の気候で最も特徴的な点は、ミストラルという冷たく乾いた強風が吹くことです。特に冬から春にかけての寒い時期には頻繁に吹き荒れ、車をひっくり返すほどの強風になることもあるとか。

そうなると人間の生活には悪影響がありますが、反対にぶどう畑にとっては、この乾燥した風がカビなどの病気の原因となる霜の害から守ってくれるのです。

プロヴァンスのワインを語るうえではずせないのは、ロゼワイン。この地方のワイン生産量全体の89%をロゼが占めていて(2020年現在)、ワイン業界では、「プロヴァンス=ロゼワイン」というイメージが確立されています。

すっきりとした辛口のロゼワインは、郷土料理である「ニース風サラダ」や「ブイヤベース」によくあいます。

また、このプロヴァンスのロゼは、現在、イギリスやアメリカでたいへん流行しています。特に支持しているのは、ミレニアル世代。夏場にテラス席で飲むおしゃれワインとして、ここ数年で、若者の間ですっかり定着しています。

「プロヴァンスの贈りもの」を見た感想

 

見た感想は…「プロヴァンス、いいなぁ。」これに尽きますね〜。

 

まあ、遺産であんなに美しい場所の家とワイナリーがもらえる境遇の人ってそうそういないとは思いますが…

 

夢くらい見させてください!(笑)

タイトル画像は恋愛映画のイメージになっていますが、実はその他の要素も多く盛り込まれています。

むしろ、主人公がヒロインと親密になる過程よりも、新しい環境とそこで出逢った人々と触れ合ううちに自らの人生を考え直すという、ヒューマンドラマ的な要素が強いように思えました。

その上、プロヴァンスが舞台という設定が、かなり強いアクセントになっています。

 

ワイン生産者に関わるストーリーですが、専門知識は一切必要なくて見やすいので、安心してご覧下さい。

ワイン映画にしては珍しく「とても飲めないほど不味いワイン」が登場することも面白く、しかもそのワインには実は秘密があって…という展開も楽しみに見て頂きたいところ。

そのワインをつくってきた生産者のキャラクターも、泥臭いけれど畑への愛が溢れていて印象深いので、注目してみてください。

 

サブキャラもみんな良い味出してました♪個人的には、生産者のおじさんの奥さんのキャラがすごく濃くて、面白かったです!

大きな苦難やすれ違いなどが起きるわけではありませんが、決して単調ではなく、全体的にポップでテンポの良い展開が飽きさせません。

せわしない都会・ロンドンと、ゆったりと時間が流れる田舎・プロヴァンスとの対比も上手く描かれています。

そして、男臭いアクションやサスペンスものを得意とするリドリー・スコット監督作品だけあって、男性が共感できる要素も多いです。

 

出てくる女性がみーーんな、超美人で、セクシーでした!

 

確かにそうですけど、そこばかり見ているわけじゃありませんよ(笑)

まとめ

映画「プロヴァンスの贈りもの」は、個性豊かな登場人物たちと美しい風景がおりなすヒューマンドラマ。

まるで、自分もプロヴァンスで休暇を過ごしているような気持ちになれる作品です。

映画「プロヴァンスの贈りもの」を配信している動画配信サービスを調べるには、こちらのサイトが便利です。
 

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この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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