ロックダウン中のニュージーランドでメディアが明るい話題を提供

新型コロナウイルスの再拡大で国全体がロックダウン中のニュージーランド。

大変な状況にある中で、少しでも明るい話題を、と各メディアがロックダウン中のおもしろエピソードや、活躍している人たちを紹介しています。

コロナ対策大臣の言い間違い

コロナ対策大臣のクリス・ヒプキンズは、会見で

“Stretch your legs” (足を伸ばして)

というところを

”Spread your legs”(足を広げて)

と言い間違い。Spreadという単語は”Spread virus”(ウイルスの広がり)の広がりにも使われるため、うっかり”Stretch”と”Spread”を言い間違えてしまったよう。

これには多くのKiwiたちが即反応!

“大臣に言われたんで!”

と足を広げる動画や写真がSNSに多く投稿されました。#SpreadYourLegsNZ のハッシュタグでTwitterをご覧いただくと、NZの人たちだけでなく、脚を広げた犬や猫の写真も投稿されています。

このエピソードは海外のメディアも紹介。こちらはSNSに投稿された足を広げた写真もまとめられたカナダの記事。

言い間違いをした直後のヒプキンズ大臣は

後からさんざん笑われるんでしょうね。

と苦笑い。後日、

(自分の言い間違いが)たくさんの笑いを提供できたと思うので、今度はみなさんがワクチンを打つことでお返ししてください。

とコメントしました。

TV司会者が警察に止められる

最近朝の情報番組の新しい司会者となったライアン・ブリッジさんは早朝4時前に出勤途中、警察に止められました。帽子を被った頭にさらにパーカーを被るという少し怪しい出立ちだったブリッジさん、乗っていたBMWが自分の車だと言っても警察に信じてもらえません。かつBMWが他人(と言ってもブリッジさんのパートナー)の名前で登録されていたため、状況はさらに怪しくなってきました。

そこで、勤務先の放送局がある近くのビルを指さしましたが、警官にはテレビに出ている司会者だとは気づいてもらえず。仕方なく、ブリッジさんは

“ちょっと恥ずかしいんですが・・・。”

と、自分自身をGoogleで検索。警官に検索結果の画面を見せ、やっと自分が誰か、そして仕事に向かっていることを理解してもらえました。

この出来事を早速自分の番組でネタにするブリッジさん。ちなみに警察に止められたのはこれで2回目だそう。

警官はとてもいい人でした。警察はしっかり任務を果たしています。

とコメント。ロックダウンで不必要な外出が許可されていないニュージーランドらしいエピソードでした。

ロックダウン・ヒーロー

大手メディアのNZ Heraldは”ロックダウン・ヒーロー”と名付けたコーナーを展開。読者からも情報を募り、ロックダウン中に活躍したり、地域に貢献している人を紹介しています。

小児病棟へ寄付

レベッカ・ハギットさんは、自分で周りから寄付を募り、小児病院に入院する子供に付き添う親たちに食べ物などを寄付しました。

ロックダウン中は入院中の子供に付き添える人が、決まった人ひとりのみに限られるため、誰かと交代することもできない親たちは休憩もままならない状態。ハギットさんは自分の娘が肝臓移植のために六ヶ月も入院していたことから、看病の苦労を身に染みて感じており、今回の寄付に至ったとのことです。

ハギットさんは

親たちは子供につきっきりで付き添うためなら、一週間トーストだけで過ごすことになったとしても構わずそうするでしょう。

と看病に徹する親たちの心情を察し、

必要なものをたくさん集めて送りましたが、ビスケットなどの美味しいお菓子も入れました。これで少しでも元気になってもらえて、励ましになればと思います。

と語りました。

レストランが無料で食事を提供

1960年代にオープンしたオークランドの”トニーズ”は60年近く地元から愛される最も古いレストランの一つ。そのトニーズはロックダウンによる休業で大きな損害が出ているのにもかかわらず、ロックダウンの間、必要とする人に無料で食事を届けています。

家から出られなかったり、家族に食事をさせられない人たちがいる。

と、レストランオーナーのクリス・シンクレアさんは語ります。

シンクレアさんの行動に共感した地元の人たちから、卵や野菜など食材の寄付が集まりました。中には食事を凍らせておく大きなフリーザーを提供してくれた人も!

この街の人たちの寛大さには驚いている。レストランの常連の中にはロックダウン中私たちと同じように店を開けられない経営者たちがいる。この大変な時だからこそ、みんなで力を合わせないといけない

と、シンクレアさん。

こちらはお店の看板メニュー、カーペットバッグステーキ。もともとイギリスの労働者たちに親しまれたメニューで、リブロース肉に切り込みをいれて、そこに牡蠣を挟んで焼いたもの。1950年代から60年代、ちょうどトニーズがオープンした頃にニュージーランドやオースラリアで人気に。時代とともに、カジュアルなものから高級な一皿になりました。ぜひ訪れて欲しいレストランの一つです。

植物交換で地域に一体感を

感染拡大が始まった直後に行われた昨年ロックダウンでは、みんなで乗り越えようという思いを表すため、窓際にテディベアを置く人が多く見られました。ロックダウン中、近所を散歩することは許されていたので、子供連れが散歩中に窓際のテディベアを見つけるのを楽しんだそうです。

今回のロックダウンでも、同じように地域を楽しませようと、新しいアイディアを思いついた家族がいます。

温泉で有名な北島の人気観光地、ロトルアに住むダーネラ・エパライマさんは3歳の娘のナタリアちゃんと、植物エクスチェンジを始めました。もともと植物が大好きだったエパライマさんは、ナタリアちゃんと一緒に観葉植物を挿木したものをたくさん用意し、それを家の前に看板と一緒に並べました。看板には

「プラントエクスチェンジ〜1つ植物を持ってきて、1つ持って帰ってください」

と書かれています。そう、このプラント(植物)エクスチェンジ、近所の人と植物を交換しようというものなのです。最初は単に植物をタダで持って行ってもらおうと考えたそうですが、交換する方が面白いかも、とこの試みを始めました。

娘のナタリアは交換された植物が元のものより大きいと大喜びしました。窓際に置かれたテディベアと同じでとにかく楽しくて。地域に明るさを広げてくれてると思います。

とエパライマさんは語りました。

とうとう感染者が合計551人となったニュージーランド。ロックダウンの効果がそろそろ出始め、感染者数が減少に向かってもいい頃ですが、ロックダウンはまだまだ続きます。

この記事の筆者

石黒
石黒 沙弥
高校・大学時代を過ごしたNZを故郷と愛する。購入するワインは100%NZで、常備しているのはSILENIのソーヴィニヨン・ブラン。マーマイト大好き。歴代彼氏の半分以上がKiwi。
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