ワインと人生を重ね合わせるロードムービー「サイドウェイ」の感想とあらすじ

今回ご紹介するワイン映画は、カリフォルニアが舞台のロードムービー「サイドウェイ」です。

2004年に製作されたこの作品は、当時アカデミー賞で脚色賞、ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞するなど、世界的に注目されました。今でも、ワイン好きだけでなく多くの映画ファンから愛されています。

ワイン好きの間ではド定番の映画だと聞きました!

一般的に知名度も評価も高い映画ですし、ワインに興味があれば、より楽しめると思いますよ。

引用元:Amazon

主人公のマイルスは小説家を目指す中年の英語教師。ワインオタクゆえに、ついついうんちくを披露してしまいがち。

親友のジャックはいまいち売れない俳優。チャラついた性格だが世渡り上手で、良家のお嬢様と結婚することに。

そんなジャックの結婚祝いに、二人はカリフォルニア州 サンタ・バーバラのワイナリー巡りの旅に出掛けます。

マイルスは親友の為に次々とワイナリーやお気に入りのレストランを訪れ旅をアテンドしますが、なによりもジャックの目当ては「オンナ」。無類の女好きの彼は、旅先で行きずりの女性と遊ぶことしか頭になかったのです。

一方、繊細な性格のマイルスは2年前に離婚した相手のことをまだ引きずっており、歳月をかけて書き上げた小説の評価も得られず、人としての自信すら失いかけています。

見た目も中身も凸凹な二人の旅先には、新しい出会いと波乱が待っていました。

「サイドウェイ」詳細情報

監督・脚本のアレクサンダー・ペインは、風刺やブラックユーモアを巧みに織り交ぜる作風に定評を得ており、何度も国際的な賞を獲得しています。

2002年の「アバウト・シュミット」では、主演のジャック・ニコルソンがゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞し、話題作に。そして2004年に本作で、2011年には「ファミリー・ツリー」で、二度のアカデミー脚色賞を受賞しました。

「サイドウェイ」が世界的にヒットしたことで、舞台となったサンタ・バーバラは人気爆発。劇中には実在するワイナリーとそこでつくられるワインが数多く登場し、ワインファンの注目を集めました。

2009年には日本でリメイク版「サイドウェイズ」が製作され、こちらは小日向文世が主演。カリフォルニアのワイン名産地である「ナパバレー」を舞台にした作品となっています。

映画ジャンル ロードムービー
テーマ 大人の青春、恋愛、人生について
原題 Sideways
制作年/国 2004年/アメリカ
時間 130分
監督 アレクサンダー・ペイン
脚本 アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
出演 ・ポール・ジアマッティ
(「PLANET OF THE APES 猿の惑星」、
「アメリカン・スプレンダー」等)
・トーマス・ヘイデン・チャーチ
(「スパイダーマン3」等)
・ヴァージニア・マドセン
(「キャンディマン」、
「赤ずきん」、「ジョイ」等)
・サンドラ・オー
(「グレイズ・アナトミー恋の解剖学」
ドラマシリーズ等)

サンドラ・オーは「グレイズ・アナトミー」のクリスティーナ役。私もこのドラマには当時ハマっていたので、印象的な役者さんです。

「サイドウェイ」を見た感想

主演のポール・ジアマッティの見た目と醸し出す中年の雰囲気のせいか、全体的に哀愁漂う雰囲気の映画です。

原題の「Sideways」は「わき道」という意味。

人生このままでいいのかな?と悩みながらも流されつつある二人の中年男性が、旅というわき道で図らずも人生の岐路に立たされる、「人生のわき道」を描いた物語。劇的な展開があるわけではありませんが、誰もが経験しうる等身大の悩み、煩悩、後悔など共感できる部分が多く、思わずしみじみと見てしまいました。

男性二人がメインなので、視点はやや男性寄りかもしれません。「あるあるだな」とか、身につまされる思いになる方もいるかも…。

二人の恋の相手になるマヤステファニーも重要な役どころですが、感情移入できる場面は少なめ。女性視点で見ると、「男って…」と思わず呆れ顔になってしまうかもしれません。人によっては「可愛いなぁ」と笑えるかも。

マイルスの情けない姿や女々しい姿が、ちょっと可愛く見えちゃいました。

ジョージについては、結婚直前に浮気目的の旅に出るなんて最低!としか思えないのですが、当然痛い目に遭うので、スカッとしました(笑)

ゴルフ場で他の客とやり合ったり、女に殴られた傷を交通事故と言い張るためにわざと車のフロントを潰したり、、、ネタバレになるので書ききれませんが、コミカルなシーンもたくさんあります。

また、こっそりワイナリー内をうろついたり、夕暮れの草原に座り込んでワインを飲むシーンなどは、ちょっと憧れる素敵なシーンです。

ゆったりとした展開の中にもメリハリがあり、最後まで飽きることなく楽しめる作品だと思います。

ワインに関する会話シーンは多くありますが、中でも印象的なのはマイルスとマヤがワインについて語り合うなかで、人生とワインを重ね合わせるようなセリフ。

この映画の全てがそこに詰まっているとも言えるシーンなので、ぜひ注目して見てください。

すごく気になってしまったんですけど、最初から最後まで飲酒運転が激しいですよね…。

堂々とグラスに注いだワインを飲みながら運転している姿には、驚く方も多いでしょうね(笑)

現在では、アメリカでの飲酒運転は取り締まりが厳しくなってきているそうですが、日本ほどではありません。日々の移動距離が日本とは比べものにならないほどの車社会なので、取り締まりきれない部分があるようです。

もちろん日本では、ワインのテイスティング1杯程度でも飲酒運転とみなされるのでご注意を。山梨や長野など日本のワイン名産地も、車がないと移動できない地域がほとんどです。バスや乗り合いタクシーなどで楽しめるワイナリーツアーがあれば、ぜひ参加したいところですね。

ワイン産地「サンタバーバラ」について

カリフォルニア州にあるサンタバーバラは、ロサンゼルスから西へ150kmの場所に位置する港町。以前からビーチリゾートとして人気の地域でしたが、「サイドウェイ」の撮影地になったことで人気が沸騰しました。

今ではナパバレー、ソノマに匹敵する名産地になり、100を超える数のワイナリーがあります。

日照時間が長く、昼間にたっぷり太陽光を浴びたぶどうは、夜には太平洋から吹く冷涼な風を受けて冷却されます。こうした寒暖差によりぶどうはしっかりと完熟し、芳醇な味わいのワインになっていくのです。

主にピノ・ノワールシャルドネの名産地といわれますが、海に近い西側と山に囲まれた東側とでは気候や土壌が異なり、シラーカベルネ・ソーヴィニヨンなど様々な品種がつくられています。

続いては、サイドウェイの劇中に登場するワイナリーをピックアップしてご紹介します。

サンフォード(Sanford)

劇中で二人が最初に訪れるワイナリー。サンタ・リタ・ヒルズの丘陵地帯にあり、非常に良質なピノ・ノワールの作り手として有名です。

ピノ好きのマイルスも「あそこはいいピノ・ノワールを作っている」と言っていましたね。

サンタ・リタ・ヒルズの気候はフランスのブルゴーニュに非常に似た、昼夜の寒暖差が激しい気候が特徴のため、ピノ・ノワールとシャルドネの栽培に適しているんです。

その特徴にいち早く気付きぶどう畑を開墾したのが、このワイナリーの設立者であるリチャード・サンフォード氏。1971年のサンフォード設立から30年後、2001年にサンタ・リタ・ヒルズはワイン指定栽培地域(AVA)として認められ、更に躍進を続けています。

この地域には他に「メルヴィル」「シースモーク」など、作中にも登場する有名ワイナリーがあります。

ファイヤーストーン ヴィンヤード(Firestone Vinyard)

マイルス、ジャック、マヤ、ステファニーの4人でワインセミナーを途中でこっそり抜け出し、ワイナリーの中を散策するシーンを撮影したワイナリーです。

このワイナリーのあるサンタ・イネス・ヴァレーという地域にはふたつの特徴があり、大西洋に近い西側ではピノ・ノワールとシャルドネなどのブルゴーニュ品種が、山に囲まれた東側ではシラーなどのローヌ品種が主に栽培されています。

1970年代初頭にこの地域で最初にワイン用ぶどうの栽培を始めたのが、ファイヤーストーンの設立者であるレオナード・ファイヤーストーン氏です。それ以来サンタ・イネスは数多くのワイナリーが集まる有名産地となり、ファイヤーストーンはその中でも老舗として今も高い評価を得ています。

フェス パーカー(Fess Parker)

劇中では「フラス キャニオン」という名前で登場しました。

他のワイナリーが実名で登場するなか、なぜここだけ名前が変えてあったのかというと、劇中の「フラス キャニオン」はマイルスが非常に嫌う、商業的なワインを作っているワイナリーというイメージで登場したからだと思われます。

観光バスで大勢の客が訪れ、華美な装飾のテイスティングルームにロゴ入りのTシャツなどのグッズも取り揃え、大衆受けするワインを売っているワイナリーという雰囲気が強調されていました。

商業的なワインというのは、こだわりの強いワインファンからするとちょっとマイナスなイメージがあり、普通ならそんなシーンにはあまり使われたくないところ。

それにこのワイナリーのシーン、マイルスがとんでもないことをしてしまったり、あまり良くないことが起きますもんね…。

設立者のフェス・パーカー氏は、若い頃に俳優として活動していたそうです。そのため映画製作に理解があり、ロケ地としてワイナリー施設を借すことを承諾したという経緯があったのかもしれません。

「フェス パーカー」は1989年設立。現在はサンタ・バーバラに広大なぶどう畑を持ち、いくつものレーベルに分かれたバリエーション豊かなワインを世界中に送り出しています。

劇中の「フラス キャニオン」のワインはマイルスに酷評されていましたが、それはもちろんフィクション。実際の「フェス パーカー」は、シラーを中心としたローヌ系品種を得意とし、国際的に高い評価を受けているこだわり派のワイナリーです。

ロケ地になった綺麗なテイスティングルームはもちろん、スパや宿泊施設も人気。リゾート地ならではの利点を活かした展開をしているワイナリーです。

まとめ

「サイドウェイ」は、ワインの成熟と人生を重ね合わせるようなシーンにしみじみとしつつ、クスッと笑えるシーンも散りばめられた、「人生のわき道」を描いたロードムービーです。

風光明媚なリゾート地でもあるサンタ・バーバラを舞台に、実在するワイナリーがいくつも登場し、実際に行ってみたいという好奇心もそそられます。ワイン好きなオトナにぴったりの作品ですね。

サンタ・バーバラ産のちょっと良いワインを開けて、ゆったりとした気分で見てみてはいかかでしょう。

 

映画「サイドウェイ」を配信している動画配信サービスを調べるには、こちらのサイトが便利です。

サイドウェイ(Filmarks映画)

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部

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NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆しています。
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監修

NZワインラバーズ編集部

岩須 直紀
ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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