家族の絆とワイナリーの再生物語・映画「ブルゴーニュで会いましょう」感想とあらすじ

今回ご紹介するワイン映画は、フランスのブルゴーニュが舞台の映画「ブルゴーニュで会いましょう」です。

ブルゴーニュって超有名なワイン産地ですよね。でも、フランスワインの知識がなくても楽しめますか?

この映画のテーマはワインですが、専門知識がないと分からないという映画ではなく、どちらかと言えば人間関係にスポットを当てたヒューマンドラマだと思います。きっと誰でもすんなりと世界観に入れると思いますよ。

引用元:Amazon

主人公のシャルリは、ブルゴーニュの歴史あるワイナリーの一人息子。家業に縛られることを嫌い、ワイン評論家としてパリで生活していましたが、ある時、妹から実家のワイナリーが破産寸前であることを聞かされます。

父親のフランソワと妹の夫とでなんとか切り盛りしていたワイナリーですが、フランソワは妻と離婚し意気消沈しており、傾いたワイナリーを立て直す気力は到底ない様子。

このままでは、生まれ育ったも同然のワイナリーが、人の手に渡ってしまう…。

評論家としての成功をおさめ順風満帆な人生を謳歌していたシャルリですが、大切なワイナリーを立て直すため、地元に戻ることを決意。ワインづくりに関しては素人同然でしたが、唯一無二のワインをつくり出すため、新しい手法にチャレンジしたり、畑を襲う自然の脅威に立ち向かうなど、試行錯誤していきます。

ところが頑固者のフランソワは、一度はワイナリーを捨てて出て行ったシャルリに対し、かたく心を閉ざしていました。

背を向けてしまった故郷と再び向かい合い、家族のために奮闘するシャルリは、果たしてワイナリーを救うことができるのでしょうか——。

「ブルゴーニュで会いましょう」詳細情報

映画ジャンル ドラマ
テーマ ワインづくり、家族、親子
原題 Premiers crus
制作年/国 2016年/フランス
時間 97分
監督 ジェローム・ル・メール
脚本 ジェローム・ル・メール
出演 ・ジャリル・レスペール
「パリ、ただよう花」(2011年)等に出演。
「イヴ・サンローラン」(2014年)では監督・脚本を務める。
・ジェラール・ランヴァン
「そして友よ、静かに死ね」(2011年)等に出演。
フランスの映画賞セザール賞で主演男優賞、助演男優賞を獲得するなど、
シブい演技に定評のある国民的俳優。
・アリス・タグリオーニ
「ナイト・オブ・ザ・スカイ」(2005年)等に出演。
最新作「アンティークの祝祭」は日本では2020年公開。

フランス映画はあまり見たことがないので初めて見る俳優さんばかりでしたが、みなさんとても雰囲気があって素敵でした!

この作品は、フランス映画至上初、全編ブルゴーニュで撮影されたということでも話題になりました。一面に広がるぶどう畑や中世の建造物など、贅沢すぎる背景から目が離せません。

主演のジャリル・レスペール氏は俳優としても活躍していますが、世界的に注目された映画「イヴ・サンローラン」では監督・脚本を務めるなど、マルチな才能を発揮しています。

原題「Premiers Crus(プルミエ・クリュ)」は、ブルゴーニュで「1級畑」を意味する言葉。ブルゴーニュの畑の格付けの中では、最も高い格付けである「グラン・クリュ(特級畑)」に次ぐ2番目の格付けです。

このことを知ると、あえてタイトルを「プルミエ・クリュ」にしたのはどういう意図があるのか、ちょっと気になりますよね。

残念ながら確かな情報が見つからずお伝えすることはできませんが、世界最高峰のぶどう畑であるグラン・クリュに敬意を表して、あえてひとつ下の階級をタイトルにしたのかもしれません。

「ブルゴーニュで会いましょう」を見た感想

この作品の舞台であるフランスのブルゴーニュ地方は、世界最高峰のワイン名産地。この地方では、代々受け継がれた伝統のスタイルでワインづくりが行われています。

しかしどんなに素晴らしいワインを生み出すワイナリーでも、その品質を保てなくなったり、経営悪化や後継者不足など、様々な理由により倒産や買収を余儀なくされてしまうことがあります。

主人公シャルリの実家も、そんな窮地に陥るワイナリーの一つでした。

妹からの連絡でワイナリーが破産寸前であることを知り、それを救おうと動き出します。しかし彼はワイン評論家としての実力は確かでも、ワインのつくり手としては素人です。にも関わらず大胆に新しい手法に挑戦しようとします。

最初はその姿があまりにもワンマンだから「突然やって来て、経験もないのに自分勝手だなぁ」とマイナスな印象でしたね(笑)

「あなたにワインづくりができるの!?」と懐疑心すらありました!

しかし、そんなシャルリにも徐々に変化がみられるようになります。

華やかな都会パリとは全く環境の違う田舎のブルゴーニュで、汗と土にまみれて畑を耕したり、自然の脅威から懸命にぶどうを守ろうとする、今までにはない姿。

シャルリはパリで成功しただけあって、新しいことにチャレンジする度胸が据わった男だったのです。

例えば、「そんなことする人いないよ」と否定されるシーンでは、「最初は無視、次に笑われ、最後はマネされる。」というガンジーの言葉を用いて反論、とても印象的でした。(見習いたいものです)

見るにつれ、だんだん応援したい気持ちになってきました!

そんな中でネックになるのは、父・フランソワの存在。

ワインづくりは家族あってこそだ。独りじゃ虚しい。」そう語る父親は、息子に出て行かれ、妻と離婚し、孤独で心が疲弊してしまっている様子。ワインづくりへの情熱も空前の灯火ですが、プライドだけは高い頑固親父。シャルリとの心の溝もかなり深いものになってしまっていました。

その溝を埋めていくのは、シャルリのワインへの想いと、行動力。

やることなすこと反対されながらも、新しいワインをつくるために臆することなく挑戦していく姿や、ワイナリーと家族の思い出を守りたいという気持ち。それらがフランソワにも次第に伝わっていきます。

ずっと強張っていたお父さんの表情が、終盤には和らいでいくんです。こちらまでホッとしましたね!

この親子の絆が再生されていく過程も、本作の大きなテーマといえます。むしろこの軸があるからこそ、ワインに詳しくなくても楽しめるストーリーになっているのです。

そしてもうひとつ。

ブルゴーニュの広大なぶどう畑や、歴史ある城や建造物の美しい風景もかなりの見どころですが、それとは裏腹に、自然の脅威を感じるシーンもありました。

多くのワイン産地で重要とされていることは、機械や化学的な肥料のような人工的なものをできる限り排除し、土地の個性をそのままワインにするということ。そのために多大な労力がかけられます。

しかし、自然の脅威には勝てません。劇中では畑が「雹(ひょう)」の被害に遭うシーンがありますが、広大なぶどう畑全てを雹から守る術は、ありません。

自然の恵みをそのまま受け取るワインづくりというものは、自然の脅威すらも受け入れる他ないという、ハードな現実を描いたシーンでした。

自然の脅威に立ち向かっていく主人公の姿からは、臆することなく新しいことにチャレンジしようという気持ちがしっかりと伝わってきました!

ちなみに、シャルリが行った「新しい手法」はずっと昔に行われていたワインの製造法ですが、最近再び注目され復活してきている手法でもあるんです。

ブルゴーニュのワイン用語

「ブルゴーニュで会いましょう」に登場するワイン用語を、わかりやすくまとめました。

見る前に読んで、理解を深めてみましょう♪

ドメーヌ

ブルゴーニュにおけるワイナリーのことを、ドメーヌと呼びます。

詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

テロワール

ぶどうが育つ地域の気候、土壌、地勢などの自然環境のこと。

詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

コルトン

主人公一家のドメーヌ(ワイナリー)があるアロース・コルトン村のグラン・クリュ(特級畑)の名称。

アロース・コルトンには、かの有名な生産者「ルイ・ラトゥール」もあります。

リコリス

本作の重大なキーワードになるリコリス。

別名・スペインカンゾウといい、漢方の甘草の一種です。根の部分を甘味料として食品加工に使われます。

どんなキーワードになるかは、見てのお楽しみ。

まとめ

「ブルゴーニュで会いましょう」は、破産しかけたワイナリーを息子が立て直すと同時に、壊れかけた家族の絆を再構築していく物語です。

ぶどう畑や歴史的建造物が織りなす美しい風景が非常に印象的で、ワインの特別な知識がなくても楽しめる、味わい深い作品となっています。

世界最高峰のワイン産地と言われるブルゴーニュ。実際に日本で手に入るワインは高価で難解なイメージがあるかもしれません。

でも、どんな高級なワインであっても、それをつくっているのは人間であり、そこには人の数だけドラマがあるはず。この映画で、そんなワインづくりをめぐる人々の営みに少し触れることができるのではと思います。

 

映画「ブルゴーニュで会いましょう」を配信している動画配信サービスを調べるには、こちらのサイトが便利です。

 ブルゴーニュで会いましょう(Filmarks映画)

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部

NZワインラバーズ編集部
NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆しています。
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