オークランド|ワイン生産者たちの原点

ニュージーランド最大の都市、オークランド(Auckland)

2つの港に囲まれていることから「帆の街」と呼ばれ、たくさんのヨットが停泊する様子はとても美しく、フォトジェニックな風景が広がります。

市街地ではグルメやショッピングが楽しめ、郊外では自然のアクティビティも体験できるので、世界中から多くの観光客が訪れます。日本からの直行便が唯一ある都市でもあり、知名度も高く、ニュージーランドの首都と間違える人も多いですよね。

暮らしやすい都市の世界ランキングでは毎年上位で、日本からも留学やワーキングホリデーで訪れる人が多くいます。

そういえば私の友達も、オークランドにワーキングホリデーに行っていました。

NZの中では日本人に一番馴染みのある地域ですよね。オークランドが首都だと勘違いしている人もいますが、NZの首都はウェリントンです。

地元で水揚げされる新鮮な牡蠣やロブスター、タイやヒラメなどを使った料理が人気で、ニュージーランドワインとの相性も抜群です。

 

オークランドまでのアクセス

  • 日本(成田、関西)からオークランド空港まで、直行便で約10時間30分
  • オークランド空港から市街地までは、スカイバスで約50分

そんなオークランド近郊はニュージーランドを代表するぶどうの生産地でもあり、素晴らしいワイナリーが多く存在します。

そして意外にも、ニュージーランドの中ではワインの歴史は古く “ワイン生産者たちの原点” とも言われている地域です

それでは、国際都市と大自然が融合する地域、オークランド近郊のワインの魅力を探っていきましょう。

オークランドのワインづくりの歴史

オークランド近郊は北島の中でも北部に位置し、国内では比較的温暖な気候の地域です。

国際色豊かで、観光都市としてのイメージが強いオークランドですが、ワインづくりでは古い歴史があります。

オークランド近郊のワインづくりは、20世紀初めにダルマチア(現在のクロアチア)からの移民がぶどうの樹を植えたことから始まりました。

老舗ワイナリーの「バビッチ」も、ダルマチアからの移民であったジョシップ・ペトロフ・バビッチによってつくられたワイナリーです。

その後、1970年代にマールボロ地方のぶどう生産量が飛躍的に伸びるまでは、ニュージーランドでは主要な産地として名を馳せていたのです。

このような歴史的背景もあり、都市機能を抱えたオークランド近郊には現在でも大規模ワイナリーの本社が多くあります。

また小規模ワイナリーも100以上あり、ワイナリーツアーやワインフェスティバルなど積極的に開催されています。

そしてこの地で創業したワイナリーが、ニュージーランド各地にぶどう畑とワイナリーを広げていったことから、この場所は「ワイン生産者たちの原点」と言われているのです。

オークランドのワインの特徴は?

オークランド近郊で生産されている主な赤ワイン用ぶどう品種は、

ニュージーランドといえば、さらっとしたエレガントな「ピノ・ノワール」が注目を集めていますが、ここオークランドでは濃厚で長期熟成可能なボルドーブレンドをお手本にした赤ワインが作られています。

またワイヘキ島のシラーは、近年世界的に高い評価を受けている品種です。

白ワイン用ぶどう品種は、

などが主要です。

ボルドー系の白といえば「ソーヴィニヨン・ブラン」ですがここオークランドでは、シャルドネが高い品質を誇っています。本場フランス、ブルゴーニュのものにも勝るとも劣らない、プレミアムなワインが生み出されています。

温暖多湿な気候でつくられるぶどう

オークランド近郊は、ニュージーランドの中では温暖な地域。

降水量は多く、湿度も高めなのが特徴です。

気温は、

  • 夏…最高気温23℃
  • 冬…最低気温7℃

ほどで、一年を通して極端に暑くなったり寒くなったりということはありません。

年間降水量は1,240mmと東京が約1,500mmであることと比べてるとあまり多くは感じませんが、特に冬の間は雨が多く、土砂降りの日もあるほど。

このような温暖で多湿な気候では、ぶどうが病気になるリスクも高いのです。

ぶどうが病気にならない様に、生産者達はこまめにツルや葉を間引いたり丁寧な手入れを行います。ぶどうの実に効率よく陽の光を当てることで、湿気によるカビや害虫の発生を防ぐ為です。

機械に頼らないこのような管理方法は非常に手が掛かかりますが、生産者達は少しでも品質の高いものを作り出そうと努力を惜しみません。

個性豊かな生産地域

オークランド近郊の広大な土地には、多くの上質な小規模ワイナリーが集まっています。

この地方のサブリージョンは、以下の3つに分かれます。

産地 特徴
クメウ NZを代表するシャルドネ生産者「クメウリヴァー」が有名。
西部に位置する。
マタカナ 湿気が多く温暖で亜熱帯のような雰囲気がある
ワイヘキ島 高級リゾートでワインの島と呼ばれる島

オークランド近郊は雨が多く、ぶどう栽培に適した水はけが良い土壌ばかりではありません。しかし、畑の管理とぶどうの樹の手入れを丁寧にすることで高品質なワインづくりがなされています。

それぞれの地域について詳しく見ていきましょう。

移動についてはレンタカーやバスを利用するのが一般的ですが、ワイヘキ島にはフェリーが出ています。

それでは、まずはクメウからご紹介します。

ニュージーランドで初めてシャルドネの栽培に成功した「クメウ」

クメウ(Kumeu)は、オークランドの市街地から北西に車で30分ほどの場所にある農村です。

20世紀初めからクロアチア移民によってニュージーランドワイン産業の礎が築かれた、歴史的に重要な地域です。この地でつくられるワインは、

  • キリッとした上品なシャルドネ
  • スタイリッシュなメルロー

が代表的です。

クメウリヴァー(Kumeu River)

「クメウリヴァー」は、国内で初めてシャルドネの栽培に成功したことで有名なワイナリーです。

1944年にユーゴスラビアから移住してきたブロコヴィッチ家が創立し、現在も家族経営で小規模ながら、彼らがアメリカやヨーロッパで学んだ知識と経験を活かしたワインがつくられています。

クメウリヴァーのシャルドネは、ブルゴーニュスタイル。ブルゴーニュスタイルのシャルドネというのは、豊かな果実味とキリッとした酸味のバランスの良さが特徴です。

本場ブルゴーニュにも匹敵すると賞賛されるほどの高品質なワインがこの地で作られています。

クメウリヴァー

幻のワイン「プロヴィダンス」が生まれる「マタカナ」

マタカナ(Matakana) へは、オークランド市街地から北へ車で1時間ほど。東海岸に位置し、湿度が高く緑が多い地域です。

海が近いところにぶどう畑が点在し、太陽の光を最大限に受けるためにそのほとんどが北向きの傾斜地にあります。ちなみにニュージーランドは南半球なので、北向きが日当たり良好になります。

この地域の主な品種は、

  • ピノ・グリ…洋ナシの香りがスパイシーなニュアンスのある、肉厚で重厚な味わい
  • メルローやカベルネ・ソーヴィニヨン…リッチで土っぽい特徴をもつ

などです。

マタカナのワインは手摘みで厳選されたぶどうを使用する為、希少価値の高いものが多く、特別なワインと称されます。

また、この街のファーマーズ・マーケットでは有機栽培された果物や野菜が豊富に取り揃えられています。

幻の高級ワイン「プロヴィダンス」

マタカナの中でも特に貴重であるのが “幻のワイン” と呼ばれる高級ワイン「プロヴィダンス(Providence)」。プロヴィダンスには、英語で「神の導き」という意味があります。

プロヴィダンスでは除草剤や化学的な肥料を一切使わず、有機肥料のみを使用しています。更に、醸造には野生酵母が使用され、収穫は全て手摘みで行われます。

すべて手摘み!?さらっと言いますけど、すごいことですよね…!

そうですよね(笑)このような丁寧な栽培・醸造方法は、もともとは欧州で何世紀にも渡り培われてきた伝統的な方法なんですよ。それをニュージーランドで実践し、成功させたのがプロヴィダンスです。

代表的なものはカベルネ・フラン、メルロー、マルベックをブレンドした「プライベート・リザーヴ」という名のワイン。少量生産な上、そのほとんどが世界のワインコレクターに渡ってしまう為、国内ではほとんど出回らず「幻のワイン」と呼ばれています。

▶プロヴィダンス

世界中から観光客が集まるワインの島「ワイヘキ島」

オークランド近郊からフェリーで1時間半ほどの場所にある、東西15kmほどの小さな島、ワイヘキ島(Waiheke Island)。島へ渡るフェリーは30分~1時間に1本出ています。

ビーチに別荘、宿泊施設も充実しリゾート地として人気で、ワインフェスティバルも毎年開催されており「ワインの島」として有名です。

ワイヘキ島は、本土よりも暖かく乾燥した気候です。夏の気温は、最高30℃以上になりますが、夜になると肌寒くなることもあり、寒暖差がしっかりあります。また、島全体の土壌は、水はけが良く、比較的痩せています。こういった環境で育つぶどうはたいへん凝縮された要素を持ちます。

そんなポテンシャルの高いぶどうから作られる赤ワインは、しっかりとしたタンニンが感じられるフルボディタイプのワイン。濃厚でリッチな味わいがこの島の特産品となっています。

ストーニー・リッジ(Stonyridge)

この地で有名なのは高級ワイナリーの「ストーニー・リッジ」です。

特にメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンなどで作られるボルドーブレンドの「ラ・ローズ」は、「ニュージーランドでこんなワインが作れるのか!」と世界中のワインファンを驚かせました。

近年ではエレガントなシャルドネ、果実の凝縮感たっぷりのモンテプルチアーノとプティ・ベルド、そして香り豊かなヴィオニエとピノ・グリが評判です。

▶ストーニー・リッジ

ニュージーランドを代表する歴史あるワイナリー

「ワイン生産者たちの生まれ故郷」といわれるオークランド近郊地方には、現在も世界的に有名なワイナリーがあります。

ここではニュージーランドのワイン産業を支えてきた歴史あるワイナリーのうち、オークランド近郊に本社を持つ2つの特色あるワイナリーを紹介したいと思います。

バビッチ(Babich)

2016年に創業100周年を迎えた「バビッチ」は、ニュージーランド最大の家族経営ワイナリーのひとつです。

オークランド発祥で現在も本社とぶどう畑の一部をオークランド近郊に持ち、ホークス・ベイ地方とマールボロ地方にもぶどう畑を持っています。

特にマールボロのワイナリーは2013年に新設されたもので、広大なぶどう畑に加え最新鋭の設備と6,000t分ものステンレスタンクを備えるなど最先端の技術を導入しています。

それはバビッチが「ぶどう栽培に適した条件の良い畑に、最適な品種を植える」という非常に合理的な哲学を持っているからです。

オークランド郊外で栽培している品種は主にピノタージュ、ピノ・ノワール、シャルドネで、本社に併設のワイナリーで小規模ながら伝統の銘柄を守っています。

現在、実際にホークス・ベイ地方で収穫されたぶどうを使用した代表的な銘柄は、ピノタージュ主体の赤ワイン「East Coast Vintara」で、この「Vintara」という銘柄は60年以上に渡りオークランド近郊で愛されてきた伝統的なワインです。

▶バビッチ

ヴィラ マリア(Villa Maria)

2011年に創業50周年を迎えた「ヴィラ マリア」は、国内全土にワイナリーを持つ最大手のひとつ。

ぶどう畑は北島のギズボーンホークス・ベイ地方、オークランド近郊と南島のマールボロ地方にあり、それぞれの地域で最良の畑を所有し高品質なワインをつくっています。

リーズナブルなものから高級なものまでラインナップは豊富ですが、特に高級ワインは世界中で多数の賞を獲得しています。

現在は世界60ヵ国に安定的に輸出していて、日本でも1,000円台から購入することができますよ。ニュージーランドワインにチャレンジするのにぴったりなワインです。

1,000円台〜で、NZのワインが飲めるのは嬉しいですね。

また、ヴィラ マリアはニュージーランドのワイン業界で初めて女性従業員を雇用したり、家族経営でありながら、高品質なぶどうを栽培する専門家「ぶどう栽培家」を採用するなど、雇用に対しても積極的な改革を行ってきました。

2001年に世界に先駆けて全商品にスクリューキャップを採用したことでも有名です。

スクリューキャップを採用することで、従来のコルク栓で問題になるカビの発生や長期保存の難しさなどが解消されることや、ワイン自体の品質への悪影響がないことも分かったため、現在では世界各国で採用されています。

このような様々な改革とワイン業界への貢献が讃えられ、2009年、創業者であるジョージ・フィストニッチ氏にニュージーランドのワイン業界初の「ナイト」の称号が授与されました。

▶ヴィラ マリア

他の人にも教える!

ストップ! 20歳未満飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。のんだあとはリサイクル。

当サイト「ニュージーランドワインラバーズ」は一般社団法人日本ソムリエ協会 認定 ソムリエで飲食店「ボクモ」のオーナー岩須直紀が全記事を監修、一部執筆しているNZワインの専門サイトです。