セントラル・オタゴ地方|ワイン愛好家に注目される世界最南端のワイン産地

南半球のニュージーランドの中でもいちばん南に位置するセントラル・オタゴ地方(Central Otago)は、世界最南端のワイン産地とも言われ、非常に冷涼な地方です。
またこの地方は、西にそびえ立つサザンアルプスの山々が雨雲を遮り、とても乾燥しています。

これらの「冷涼」で「乾燥した」セントラル・オタゴ地方の気候条件が、香り豊かな高品質のぶどうを作り上げます。

セントラル・オタゴ地方のワイン用ぶどうの生産量はニュージーランド全体から見ると3%とそれほど多くはないですが、近年、赤ワイン用ぶどう品種ピノ・ノワールのクオリティが非常に高いことで名を馳せ、世界のワインファンが認める有名産地となっています。

この地のワイン用ぶどう栽培の基本情報は以下の通りです。

  • 栽培面積1,896ha(国内3番目)
  • ピノ・ノワールが約7割を占める

また、ピノ・ノワール以外にもワイナリーの多くが白ワイン用のぶどうを栽培しており、それらの代表的なものが

などのぶどう品種です。

セントラル・オタゴ地方は比較的広いぶどうの産地で、その中には更に細かく分けられた6つの地域があり、それぞれの地域の特色を感じられるワイナリーツアーも人気となっています。

また、ニュージーランド屈指のリゾート地でもある「クイーンズ・タウン(Queenstown)」にも隣接しているので、観光地としての魅力も兼ね揃えており、ワイン初心者でも気負わずワインと観光の両方を楽しむことができます。

ぼくは実際にセントラル・オタゴを訪れたことがあります。非常に風光明媚で美しい地方ですよ。

それでは、今、世界のワインファンが熱い視線を向けるセントラル・オタゴ地方について、詳しく説明していきましょう。

セントラル・オタゴ地方の恵まれた気候と土壌

セントラル・オタゴ地方の地で初めてぶどうの樹が植えられたのは1864年と150年以上も前のこと。ただ、本格的な商業用ワインがつくられはじめたのは、1980年代からとごく最近です。

それはちょうどその時期に行われた地質調査で、セントラル・オタゴ地方の土地の特徴がぶどうづくりに適していると分かったからです。

では、実際にはどのような特徴がぶどうづくりに適していたのでしょうか。

冷涼で、極端に乾燥している

南緯45度のセントラル・オタゴ地方は、世界最南端のワイン産地のひとつで、その気候はとても冷涼です。

南なのに冷涼なんですか?

「南」と聞くと暑さをイメージしがちですが、ニュージーランドは南半球なので南に行けば行くほど気温が下がります。

なるほど〜!ということは、南は涼しくて、北は温暖なんですね♪

また、セントラル・オタゴ地方の西側にはサザンアルプスという標高3,000m以上の山脈が続き、この山脈が雨雲を防いでくれるのです。よって、この地方はめったに雨が降りません。

年間降水量はたった300〜400mm。日本のワイン産地として有名な山梨県の年間降水量が1,100〜1,200mmなので、いかにこの地方が乾燥しているかがわかると思います。

ニュージーランドで唯一、半大陸性気候

セントラル・オタゴ地方は、海に囲まれたニュージーランドの中でただ一つ「内陸部」に位置するワイン産地です。半大陸性気候は、前述のとおり「乾燥していること」、そしてもうひとつ「1日の中の気温差が非常に大きいこと」が特徴としてあげられます。

どのくらい気温差が大きいのかと言うと、真夏の1月の平均最高気温は19℃、平均最低気温が9℃。つまり、昼間は半袖で過ごせても、夜に厚手の長袖がないと寒いくらいの気温なんです。

この1日の気温差がぶどうをゆっくりと熟成させ、豊かな果実味と美しい酸味を合わせもつエレガントなものへと成長されてくれます。

苦労の絶えない霜対策

セントラル・オタゴ地方の気候がぶどうづくりに良いことばかりかというと、そうでもありません。

冷涼であるがゆえ、ぶどうの大敵「霜」がつきやすく、生産者はその対策に追われます。

特にぶどうの成長期と収穫期にはその影響が出やすいので、場合によっては風車を設置したり、ヘリコプターをチャーターして上空から風を送ったりして、ぶどうに霜が着かないように気を配ります。

高品質なぶどうは自然環境はもとより、ぶどう栽培者の弛みない努力のもとに作り上げられるのです。

氷河の影響を受けた痩せた土壌

セントラル・オタゴ地方は、氷河が運んできた石英(せきえい)雲母(うんも)などを含む、谷や氷河が岩盤を削って出来た土地など、氷河の影響を受けた土壌が多い地域です。

その多くが地中の栄養分が少ない「痩せた土壌」です。

栄養がなくてもぶどうは成長するんですか?

ぶどうは痩せた土壌のほうが「枝や葉」ではなく「実」に栄養を運ぶ性質があります。

この地方の土壌は「シスト」を中心とする硬い岩や細かな砂など、様々な土壌が層になっています。養分を求めて地中に深く伸びたぶどうの根は、複数の折り重なった土壌のさまざまな成分を吸収することができるのです。

またこの地域は、1860年代に巻き起こった金の採掘ブーム「ゴールドラッシュ」によって、硬いシストの岩盤が削られた跡も多く残っていて、その跡地を利用してぶどうを植える生産者もいます。

上質なピノ・ノワールで世界的に注目を集める

世界一高級なワイン「ロマネ・コンティ」のぶどう品種としても知られるピノ・ノワール。世界中のワインファンを虜にする品種ではありますが、栽培に目を向けると、非常に繊細で育てることが難しいぶどう品種と言われます。

他のぶどう品種よりも成熟が早いので、暑い地域ではピノ・ノワールの実は凝縮感を得られる前に完熟してしまい、高級とはほど遠い出来映えになってしまいます。

また、果皮が薄くデリケートで病気にもかかりやすいため、以前は「ピノ・ノワールはフランスのブルゴーニュでしかうまく作れない」とも言われていました。

しかし1990年代後半、ワイン評論家達はこのセントラル・オタゴ地方で作られたピノ・ノワールのワインを飲んで驚きました。

「こんなに上質なピノ・ノワールが南半球で作られるなんて!セントラル・オタゴ地方はピノ・ノワールの未来を担う産地になるかもしれない。」
そんな評判が広まり今では、ブルゴーニュ、アメリカのオレゴンと並んで、世界三大ピノ・ノワールの産地と言われるようになりました。

一夜で名声を得た「シンデレラワイン」の存在

ニュージーランドで作られるピノ・ノワールの特徴は、なんといっても果実味溢れる香りです。

中でもここセントラル・オタゴ地方で作られるピノ・ノワールは、ブラックチェリーとハーブの香りが感じられ、さらにタンニンと酸も豊富。重厚感があり実にエレガントな味わいです。

そんなセントラル・オタゴのピノ・ノワールを一躍有名にしたのは、1997年に初リリースとなった「フェルトン・ロード」のワインでした。

「こんなワインが南半球で出来るなんて・・・これは本場ブルゴーニュに匹敵する味わいだ!」

世界の評論家からそんな高い評価を受け、一夜にして名声を手に入れたことからフェルトン・ロードは、「シンデレラワイン」とも呼ばれました。

今では入手困難な「幻のニュージーランドワイン」と言われるようになっていて、このセントラル・オタゴ地方を代表するワイナリーとして知られるようになりました。

目覚ましい発展を遂げるセントラル・オタゴ地方のワイナリー

セントラル・オタゴ地方には名門と呼ばれるワイナリーの他に、数多くの小規模ワイナリーが点在しています。後発組のワイン産地ではありますが、だからこそ、他の地方で育まれてきた新しい技術やアイディアを積極的に取り入れる生産者が多いのが特徴です。

素晴らしいワイナリーが数多く存在しますが、このサイトでは是非知っておいてもらいたい3つのワイナリー

  • フェルトン・ロード
  • リッポン
  • ミーシャズ・ヴィンヤード

についてご紹介します。

フェルトン・ロード

フェルトン・ロード(Felton Road)は、先述したとおり、ニュージーランドの中でも一際目立つ存在の名門ワイナリーです。

セントラル・オタゴ地方の彼らのワイナリーには同じ名の実際の道もあり、その道沿いにぶどう畑が続いています。

フェルトン・ロードは1991年の設立ですが、1996年に醸造家のブレア・ウォルターが加わったことで、その流れは大きく加速しました。

1997年の初リリースのピノ・ノワールが国際的に素晴らしい評価を受け、一躍プレミアムワインを産み出す生産者としてその名が広まります。

また、このワイナリーは、有機栽培及びバイオダイナミック農法を取り入れていることも大きな特徴のひとつです。

▶フェルトン・ロード

リッポン

「リッポン(RIPPON)」は1970年代半ばに設立された小規模な家族経営ワイナリーです。

標高330mのワナカ湖畔に位置するこのワイナリーは、ワナカ湖に向かい緩やかに下る斜面は、北向きなので日当たりがよく(南半球なので北向きが日当たり良好)、湖の向こう側にはサザンアルプスの山々が美しく広がっています。

指揮を執るのは、本場ブルゴーニュで修行した経験を持つニック・ミルズ氏。

彼はブルゴーニュで得た知識を元に、バイオダイナミック農法を実践。カモミールなどのハーブが植わる自然豊かな畑は、「世界で1番美しいぶどう畑」とも称されています。

リースリング、ゲヴュルツトラミネールなどの白ワインも秀逸ですが、やはり世界的に評価が高いのはピノ・ノワール。本場ブルゴーニュに通じる華やかさとエレガントさを持ったワインです。

▶リッポン

ミーシャズ・ヴィンヤード

「ミーシャズ・ヴィンヤード(Misha’s Vineyard)」は、今注目を浴びる新進気鋭のワイナリーです。

オーナーのウィルキンソン夫妻の元の職場は、なんとシンガポールの世界的なIT企業。

彼らには「いつか自分たちでワインをつくりたい」という夢があり、休暇の旅に世界のワイン産地を訪れ、2001年からワインづくりや醸造について学びました。

冷涼な土地でエレガントなピノ・ノワールがつくりたいと考えていた夫妻は、セントラル・オタゴ地方に的を絞り、2年もの長い年月をかけ、畑用の土地を選定しています。

最終的に夫婦が心を決めた場所は、ダンスタン湖が見渡せる美しいベンディゴの地で、もともとはゴールドラッシュのときに採掘場として使われていた土地。非常に固い岩盤のような

ミーシャズはニュージーランドの中でもまだ新星のような存在ですが、畑選びにもあったように、ひとつひとつ丁寧に歩みを進めるワイナリーです。

▶ミーシャズ・ヴィンヤード

セントラル・オタゴ地方の個性豊かなサブリージョン

サブリージョンとは、大まかに分けられたぶどう産地の地域を、更に細かく分けた地域のことを言います。

「サブリージョン」って初めて聞きました!

サブリージョンを知っているということは少々マニアックな感じがするかもしれませんが、それぞれの特徴を知ることで、この地のワインがより好きになれるはずです。

セントラル・オタゴ地方でのその定義は様々なのですが、ここでは地元の権威的な団体であるCentral Otago Pinot Noir LTDの基準に沿ってご紹介します。

セントラル・オタゴ地方のワイン巡りワンポイントアドバイス

他のニュージーランドのワイン産地に比べセントラル・オタゴ地方は、ワインが作られている場所が広範囲にわたってに点在しているのが特徴です。いずれの場所も市街地である「クイーンズ・タウン」を拠点として、車でまわるとよいでしょう。

広域なセントラル・オタゴでワイナリーを巡るには、主に2つの方法があります。

1.現地で予約できる「ワイナリーツアー」に参加する

一番気軽で、旅の参加者全員が楽しめる方法がワイナリーツアー。

セントラル・オタゴ地方では、現地のツアー会社がクイーンズ・タウン発着のワイナリー訪問ツアーを随時開催しています。

誰かがドライバーになる必要がないので、全員が試飲したいという場合はこちらがおすすめ。

2.自分たちでプランを組んで、レンタカーで訪れる

特に気になるワイナリーや地域があるという場合には、やはり自由度の高いレンタカーが便利です。

ニュージーランドは、日本で国際免許を取得しておけば誰でも運転できます。左側通行で日本とほぼ同じ交通ルールなので、比較的日本人が運転しやすい国と言えます。

セントラル・オタゴ地方のワイナリーの多くはハイウェイ6号線沿いに集まっていて、目的地までの道のりはそれほど難しくありません。近いところでは、クイーンズ・タウンを出発にして30分後にはワイナリーに到着できます。

その点在するワイナリーは、おおよそ6つのサブリージョンに区分することが出来ます。

  • ワナカ
  • ギブストン
  • バノックバーン
  • クロムウェル/ローバーン/ピサ
  • ベンディゴ
  • アレクサンドラ

それでは、そのサブリージョンの位置や特色をご紹介します。

ワナカ

「ワナカ(Wanaka)」は、クイーンズ・タウンから北に車で1時間30分。人口7,000人ほどの小さな街が、静かで自然も豊かな人気のリゾート地です。

この地域を代表する「ワナカ湖」はたいへん美しい湖として有名で、特にその紅葉の時期には多くの観光客を魅了しています。秋(4月下旬〜5月上旬)に訪れると、ワインといっしょに赤色や黄色に染まった美しい景色も楽しめることでしょう。

代表的なワイナリーは、美しい畑を持つ「リッポン」です。

セントラル・オタゴ地方のサブリージョンの中では最北端の場所に位置し、サザンアルプスにも最も近い場所。冷涼なこの地方の中では、比較的温暖であることが特徴です。この地のワインは品種を問わず、ややスパイシーな味わいが特徴となっています。

ギブストン

「ギブストン(Gibbston)」はクイーンズ・タウンから東へ車で25分の場所にあります。なんと言ってもアクセスが便利なエリアですね。

セントラル・オタゴ地方のサブリージョンの中では最も標高が高く、冷涼な地域として知られます。

ギブストンのピノ・ノワールは、ラズベリーなどの赤い果実の風味、そして豊かな酸味が特徴。繊細な味わいのワインを得意とします。

アミスフィールド、ヴァリ、ペレグリンなど、有名なワイナリーがいくつもありますが、中でも「ギブストンヴァレー」は、大規模なワインの貯蔵庫があり、見学ツアーも人気です。

セラードア、ワイナリー併設レストラン、チーズ製造・販売所もあるので、半日はじゅうぶん楽しめます。

場所は、岩肌の続くカワラウ峡谷の間。

ちなみにカワラウ渓谷は、バンジージャンプの名所として人気。ワイナリーを巡ると同時にバンジーも楽しめます!

バノックバーン

「バノックバーン(Bannocburn)」は、クイーンズ・タウンから東へ車で約50分ほど。ギブストンを通り過ぎてしばらく行くと現れる産地です。複数のサブリージョンを訪れたい場合は、ギブストン→バノックバーンの順番で行くと便利です。

このあたりは一体が盆地になっていて、冷涼なセントラル・オタゴ地方の中ではもっとも温暖で乾燥しています。

やはり試すべきは各ワイナリーのピノ・ノワールのワイン。骨格の柔らかい、丸みのある果実の味わいが特徴です。長期熟成可能な高級ワインも数多く作られています。

訪れたいのは、有名ワイナリーの「フェルトン・ロード」。ワイナリーから見下ろす丘に広がる美しいぶどう畑は圧巻です。

また「マウント・ディフィカルティ」や「キャリック」のワイナリー併設レストランは現地の人からの評判もよく、多くの人達で賑わっています。

クロムウェル/ローバーン/ピサ

クイーンズ・タウンから車で約1時間。隣のバノックバーンから 10分ほど足を伸ばすと、果樹園がいくつも見えてきます。そこがフルーツの町「クロムウェル(Cromwell)」です。

クロムウェルは、日本人醸造家、佐藤嘉晃さん・恭⼦さんご夫妻による「サトウ・ワインズ(Sato Wines)」の拠点があることで知られています。

バノックバーンを6号線沿いに北上するとすぐの場所で、そこからダンスタン湖という縦に細長い湖の西側に、「ローバーン(Lowburn)」、「ピサ(Pisa)」と小さな産地が続いていきます。

クロムウェルベイスン(盆地)が、クロムウェルとその近郊のローバーンやピサを含めたのサブリージョンとして扱われる場合もあります。

クロムウェルのワインの味わいはバノックバーンのものとよく似ており、骨格のある丸みのあるものとなっています。

ベンディゴ

「ベンディゴ(Bendigo)」は上記のクロムウェルのすぐ北。ダンスタン湖の東側に位置する地域です。

代表的なワイナリーは、プロフェッツ・ロック、ミーシャズ・ヴィンヤード、クォーツ・リーフなど。

氷河によって運ばれてきた土壌が重なって形成されており、石英、粘土だけでなく、石灰岩が含まれていることがこの地域の畑の特色。

この地方のピノ・ノワールは、色が濃く、強烈なスパイシーさが特徴です。

アレクサンドラ

「アレクサンドラ(Alexandra)」は、上記のエリアからは少し離れていて、クロムウェルから川沿いの道を南へ20分走ったところにある小さな町です。クイーンズ・タウンからは、車で約1時間10分ほど。他の地域と比べると、観光客はそれほど多くないようです。

しかし、ワインを語る上では重要な産地なのです。

ニュージーランドの中でいちばん南の産地がセントラル・オタゴ地方。その中でも最南端の産地ということで、ここが正真正銘の「最も南にあるワイン産地」ということになります。つまり、ここより南の寒いエリアではワインづくりは難しいということになります。

この町は、寒暖差が激しいセントラル・オタゴ地方の中でも最も1日の中の気温の差が大きい地域なので、香りの高いワインが産み出されています。

代表的なワイナリーは、「トゥーパドックス」です。

セントラル・オタゴ地方で活躍する日本人

ニュージーランドはワインづくりにおいて非常に歴史が浅く、ここ数十年で飛躍的に伸びた国でありますが、そのワインづくりに恵まれた土地を求めて世界中からワイン生産者が集まっています。

それは日本人も例外ではありません。

セントラル・オタゴ地方を代表する日本人経営ワイナリーは、「サトウ・ワインズ」です。

サトウ・ワインズ

サトウ・ワインズは2009年に佐藤嘉晃・恭子夫妻がが設立したワイナリーです。

佐藤夫婦は元々日本で同じ銀行に務めていました。

その転勤先のロンドンで、元々2人が好きだったワインの世界が広がり「自分達のワイナリーを持ちたい。」という夢を持つように。

2006年にはニュージーランドのリンカーン大学で栽培・醸造学を学び、大学卒業後はフェルトン・ロードのブレア・ウォルターの元で2年半、畑とセラーで従事しました。

そのあとギブストンにあるマウント・エドワードへ移り、そこで4年間ワインメーカーとして勤務する傍ら、自分達のワイナリーを設立しています。

佐藤夫妻のワイン研究はニュージーランドだけではなく、2007年にはドイツ、2008年にはブルゴーニュ地方、2009年にはアルザス地方でも行われました。

佐藤夫婦の畑はクロムウェルの街の北側にあるピサ・テラス・ヴィンヤードです。

名前の通りピサ山のふもとにあり、標高は約300mで斜度は20度もあります。

この畑は日照時間が長く、ぶどうの房が樹についている期間が長いのが強みで、熟度の高いぶどうができあがります。

佐藤夫妻はワインの知識だけでなく、自ら畑を作り上げてしまうほどの開墾魂も持ち合わせており、「ぶどうの樹は有機及びバイオダイナミックによって育成されるべきで、ワインづくりにおいても極⼒⼈の⼿を介さず、化学薬剤や添加物を使⽤しないこと」が二人の信条。

ワインづくりには必要不可欠な酸化防止剤(亜硫酸)も醸造の過程では一切使わず、ボトリング直前に必要最低限のものを入れているだけです。

サトウ・ワインズは、その丁寧な農法や醸造方法で作られる繊細なワインで高い評価を受けています。

▶サトウ・ワインズ

地元のピノ・ノワールを盛り上げる動き

ニュージーランドのワインがここ数十年で驚くべき躍進を遂げているのには、様々な理由があります。

それは、ただ単にこの地がワインづくりに恵まれた土地であるということや、優秀な作り手によるものだけではありません。

地元の人々が自分たちの土地でつくられた素晴らしいワインを、世界の人に知ってもらう為の活動がそこにはあるのです。

ここセントラル・オタゴ地方では特にその活動が活発になされています。

地元の人々がいかにピノノワールを大切にしているか、そしてそれをどのようにして世界に向けて発信しているかを示すものです。

セントラル・オタゴ・ピノ・ノワール・リミテッド

セントラル・オタゴ・ピノ・ノワール・リミテッド(COPNL:コプネル)という団体は、2003年に生産者の出資により作られました。

彼らのミッションは、特色あふれる高品質なピノ・ノワールを通じて、セントラル・オタゴ地方が優れたワインの生産地であることを世界に伝えること。

この地方のワイナリーはほぼすべてが小規模の家族経営で、彼らのワインづくりは非常に丁寧で緻密です。そこに込められた思いも大きなものがあります。

ただ、小規模な生産者がバラバラに情報発信をしても、なかなか地域の特産物として認識されることは難しい。

そこで、小さな生産者の集まりであるコプネルが積極的にイベントを開催したり、魅力を発信をすることによって、この地方の高品質なピノ・ノワールのワインやワインにかける思いを発信しているというわけです。

▶Central Otago Pinot Noir Limited (COPNL)

セントラル・オタゴ・ピノ・ノワール・セレブレーション

2000年から開催され、来年で15回目になるセントラル・オタゴ・ピノ・ノワール・セレブレーションは、セントラル・オタゴで3日間に渡って開催されるコプネル主催のピノ・ノワールのイベントです。

主な来場者は、ピノ・ノワールの生産者、世界中のワイン愛好家、マスター・オブ・ワインなどの評論家達。

参加者たちは実際にニュージーランドのセントラル・オタゴ地方という土地に訪れ、現地の作り手たちの思いの込もった精巧なワインを、自然の中でじっくり堪能します。

3日間のイベントの様子は、テーブルを囲みグループでのティステイングや、リラックスしたランチタイムに味わうワイン、一人でじっくりと飲み比べられたりと様々です。

ワインメーカー達も来場することもあり、それぞれのワインがどのようにしてつくられたのか、生の声を聞く貴重な機会でもあるのです。

きっとこのイベントの来場者は、もっとニュージーランドのピノ・ノワールのファンになってそれぞれの国へ帰って行くのでしょう。

チケットは公式ホームページで販売され、次回は2020年1月30日〜2月1日に開催されます。

▶Central Otago Pinot Celebration

セントラル・オタゴ地方の白ワインは?

セントラル・オタゴ地方と言えばピノ・ノワールですが、この地域の多くの生産者は香り豊かな白ワインも積極的に作っています。

生産されている主な白ワイン用ぶどうは、冒頭で述べた下記の5つです。

2018年に行われたこの地方最大のワインイベント「セントラル・オタゴ ピノ・ノワール・セレブレーション」では、ウェルカム・パーティでも10年以上熟成したリースリングが提供され、クラッシックでアロマティックな香り、味わいは参加者を驚かせました。

豊かな土壌と気候で生産されるセントラル・オタゴ地方では、白ワインからも目が離せません。

現地ワインが楽しめるツアーなど

セントラル・オタゴ地方でワインを気軽に楽しみたいという人に、おすすめのツアーや飲み比べのできる場所をご紹介します。

現地のガイド付きワインツアー

セントラル・オタゴ地方では多数のワインツアーが企画、運営されています。

ガイドは英語が基本ですが、中には日本語で行われるワインツアーもあり、宿泊先のホテルまで迎えにきてくれるツアーも多くとても便利です。

  • 時間 半日〜1日
  • 料金 1万円〜2万円

で用意されるツアーが主流です。

飲み比べのできるThe winery(ザ・ワイナリー)

クイーンズ・タウンにあるThe wineryでは、気軽に様々な種類のワインがテイスティングできます。

このお店のワインの試飲のスタイルは画期的で、合理的。

カウンターでまず試飲用のICカードを受け取り、ずらりと並んだワインの中から好きなもののボタンを押すとワインがグラスに注がれるのです。

お手軽価格のワインから、高級なものまで常時80種類以上のワインが用意されていて、量も3つのレベルから選ぶことができるので、少量を選び多くのワインの飲み比べが1度にできます。

▶The Winery

セントラル・オタゴ地方へのアクセス・観光地

セントラル・オタゴ地方へのアクセスや周辺の観光地についても知っておきましょう。

主な周辺観光都市は、

  • クイーンズ・タウン
  • ミルフォード・サウンド

の2つです。

すぐ隣りの国際観光都市でもあるクイーンズ・タウンが、交通の便でも観光の面でも中心的な存在です。

クイーンズ・タウンを中心に、この地方の巡り方、観光の楽しみ方をお伝えします。

セントラル・オタゴ地方へのアクセス

クイーンズ・タウン空港には日本からの直行便はなく、国内の他空港から向かうか、車で現地を訪れるかの2つです。

ニュージーランド最大の都市である北島のオークランドや、ウェリントンなどからは飛行機が一番便利です。空港からクイーンズ・タウン市内までは、車で10分ほどで到着します。

下の表はクイーンズ・タウンへの所要時間です。

飛行機
オークランド 約1時間50分 約22時間
ウェリントン 約1時間20分 約14時間
クライストチャーチ 約1時間 約6時間

クイーンズ・タウン

「ビクトリア女王にふさわしい」という意味を込めて名付けられたクイーンズ・タウン(Quweenstown)。

風光明媚で自然豊かなこの街は観光としてはもちろん、避暑地としても人気があり別荘地としても有名で、世界中のセレブが集まる街としても知られています。市内中心部にはこじんまりとした街があり、買い物やカフェやレストランで食事を楽しむことができます。

クイーンズ・タウンのそばに佇むワカティブ湖は息を飲むほど美しく、街は穏やかでどこか北欧の街並にも近いようなゆったりとした雰囲気。道路にはアートが施されていたり街路樹も整備されているので、お散歩にもぴったりです。

ここクイーンズ・タウンでは運が良ければオーロラを見ることもできるほど夜空が綺麗なので、夜まで待って一面に輝く星空を堪能するのもおすすめです。

ミルフォード・サウンド

クイーンズ・タウンに来たら、「ミルフォード・サウンド(Mildord Sound)」まで足を伸ばしてみましょう。

ミルフォード・サウンドは氷河から生まれた美しい入江です。その魅力はなんと言っても迫力のある大自然。標高1,682mを超すマイター・ピークを始め、海面から山々がそそり立つ景色は圧巻です。

アクセスはクイーンズ・タウンから小型機で約40分(1日2〜4便運行)、車で約5時間かかります。

そんなミルフォード・サウンドの魅力を満喫できる人気No.1のアクティビティはクルーズ観光です。その他にも、シーカヤックやダイビング、遊覧飛行、トレッキングなど、遊び方は様々。ミルフォード・サウンドの近くには宿泊施設が少ないので、クイーンズ・タウンに宿泊した際に日帰りで訪れると便利でしょう。

他の人にも教える!

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