カベルネ・ソーヴィニヨン|パワフルで力強い味わいが魅力の、赤ワインの王様

01カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)は、赤ワイン用の代表的なぶどうです。

「赤ワインと言えばカベルネ・ソーヴィニヨン」というのがすっかり定着しているので、ワイン初心者の人でも知らず知らず飲んだことがあるはず。

 

このぶどうはとにかくパワフルで力強いのが特徴です。

メルローなどの他のぶどう品種とブレンドされることが多く、その複雑で高貴な味わいは多くのワインファンを魅了しています。

「赤ワインの王様」と呼ばれるカベルネ・ソーヴィニヨンには、どのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。

 

どっしりとした力強さを感じる複雑で奥行きのある味わい

カベルネ・ソーヴィニヨンの最大の特徴は、そのどっしりとした力強い味わいにあり、その中には気品もしっかりと感じられるので、「紳士のようなぶどう品種」と言われることがあります。

カベルネ・ソーヴィニヨンとは?

原産地はフランス南西部のボルドー地方で、現在もこのボルドーがカベルネ・ソーヴィニヨンの代表産地です

02ボルドー地方

ボルドー産のカベルネ・ソーヴィニヨンは複雑で奥行きのある味わいが特徴で、格式の高いワインをつくるのに欠かせません。

ブルゴーニュ地方が他のぶどうを混ぜず単一品種でワインをつくるのに対し、ボルドー地方のワインは「ボルドーブレンド」と呼ばれるように基本的には2種類以上のぶどうと混ぜ合わせて作ります。

ボルドーブレンドでは、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローの2品種がメインでブレンドされ、カベルネ・フラン、カルメネール、マルベック、プティ・ヴェルドの4つの品種が補助的にブレンドされます。

 

単一品種のワインももちろん素晴らしいですが、ブレンドワインはそれぞれのぶどうの長所が活かされたワインになります。

香りの特徴

代表的な香りは、カシスやプラム、ジャムや青ピーマンなどです。

熟成すると松や樹脂、バニラ、胡椒などの複雑でスパイシーな香りがします。

カベルネ・ソーヴィニヨンの香りを決める大きな要素は日照量で、日照量の多い産地ではフルーティーな香りのぶどうができあがると言われています。

豊富なタンニンのおかげで長期熟成が可能な濃い色のワイン

03カベルネ グラス

カベルネ・ソーヴィニヨンは、タンニンという渋み成分が豊富に含まれていて、このタンニンのおかげで長期熟成に向く品種とされています。

 

たとえば、同じカベルネ・ソーヴィニヨンを主原料としたワインでも、最近作られたものと熟成したものでは、味わいや香りにかなり違いがあります。

若い時はタンニンの成分がしっかりと感じられるため、苦みや舌のしびれなどを感じることがあります。

しかし、熟成が進むと、それが段々にまろやかになり、苦みが消えて柔らかい印象のワインに変化します。

色合いに目を向けると、カベルネ・ソーヴィニヨンを使ったワインの全体的な色合いは濃い目であると言えます。特に、若い時は紫の色調が強い傾向にあり、熟成が進むにつれて透明感が増して、レンガ色に近づいていきます。

太陽の降り注ぐ暖かな土地でゆっくりと成長する

栽培という点では、カベルネ・ソーヴィニヨンは、温暖で日照量が豊富な場所を好む傾向にあるのが特徴です。

他の赤ワイン用ぶどうに比べて、ゆっくりと成長する品種なので、きちんとぶどうが熟成しきれるように、秋までしっかりと晴天が続くような場所が最も適したが育成地と言われます。

病気には強いほうなので、比較的育てやすい品種です。しかし収穫までは時間がかかるので、その間に雨がたくさん降ってしまうと収穫時に水っぽくなってしまうというリスクもあります。

本場はボルドー地方ですが、チリやアメリカ、オーストラリアなどの産地は、それぞれ違った魅力をもち、ボルドーに比べると果実味溢れるワインになる傾向があります。

ニュージーランドにおいては、カベルネ・ソーヴィニヨンは、なんと言っても温暖な北島の名産品です。

04ホークス・ベイ風景

産地で言えば、ホークス・ベイ地方やオークランド、ニュージーランド国内の中でも夏から秋にかけての日照量が豊富な場所で、上質なカベルネ・ソーヴィニヨンが育てられています。

逆に、南島は冷涼な気候の場所が多いので、カベルネ・ソーヴィニヨンがうまく育つ産地は多くありません。

単一品種でもブレンドでも。牛肉との相性は鉄板

カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴を知ったら、今度は実際に試してみましょう。

楽しみ方は様々ですが、初心者の人でも楽しめる簡単なポイントをお伝えします。

まずは単一品種で。そしてブレンドへ。

「カベルネ・ソーヴィニヨンの味わいをしっかりと理解したい」という人は、まずは単一品種で作られているワインを試してみましょう。

ヨーロッパで生産されるカベルネのワインの多くはブレンドされたものですが、チリやアメリカ、オーストラリアやニュージーランドのワインは単一のものも多く出回っています。ラベルを見て「カベルネ・ソーヴィニヨン」とだけ書いてあるのを確認してみてください。

(ただし、単一の表記でも、多くの国で法律の範囲内で少しなら他の品種を混ぜて良いことになっているのですが)

まずは、いろんなカベルネ・ソーヴィニヨンを飲んでその特徴をつかんでみてください。ただし、500円〜1,000円のゾーンは、品種の特性がしっかり出ているものは少ないです。できれば1,500円以上の価格帯でテイスティングするのが、ワインの個性を知るためには近道だと思います。

単一品種としての味がつかめたら、次はブレンドされたワインに移りましょう。

 

カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされる品種としては、まっさきに名前が挙がるのがメルローです。

このふたつの品種は相方同士のような関係性で、どっしり存在感のあるカベルネと、包み込むような優しいメルローは、お互いの良さを引き立てあっていると表されます。

 

パワフルなカベルネと優しいメルローは、まるで恋人同士みたいですね〜。

もちろん、ニュージーランドでもカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローのブレンドは定番中の定番で、多くの生産者がこのスタイルを採用しています。

ブレンドされるぶどう品種の割合は生産者の腕の見せどころでもあり、混ぜられるぶどうの比率によって味わいが大きく変わるので、是非その違いを楽しんでみて下さい。

合わせる料理の鉄板は「赤身の牛肉」

力強いカベルネ・ソーヴィニヨンには、しっかりとした味わいの食べ物や食事を合わせるようにしましょう。

ラムや、赤身の牛肉とは、相性が抜群。これは、言わば鉄板の組み合わせです。

05ラムステーキ

味付けの濃い料理とよく合うので、BBQのお肉や揚げ物、ミートパスタなどもおすすめです。

06ミートパスタ

和食で言えばすき焼きや、トロなどの味わいがどっしりとしたお刺身にも合います。

本場はもちろんボルドー。でも新世界から親しむのがおすすめ

先程も述べましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンの香りは産地によって大きく変わる特徴があります。

 

ワイン初心者は、ボルドー以外からはじめてみましょう。

 

本場以外から!?それは、どうしてですか?

 

ヨーロッパ以外のニューワールドと言われる産地では、果実味がしっかりと感じられフルーティーな味わいのワインが多いので、初心者でもとても飲みやすく感じるはずです。

価格の面でも、ボルドーワインは上級なものは他にない素晴らしい味わいのものが多いですが、低価格なワインでは、チリやオーストラリアなどに軍配が上がります。

 

フルーティーで価格も良心的だと、試しやすいですよね。

しかしワインを楽しむ上で、ワンランク上を目指すならば、そのワインの複雑味を知ることはとても大切です。

ニューワールドに慣れてきたら、ボルドーなどヨーロッパのものにも挑戦してみましょう。フルーティーだけではない、奥行きのある味わいを知ることもワインの楽しみ方の1つでもあります。

まとめ

世界中のどの地域でも安定して育てることができ、素晴らしいワインが生まれるという優秀なぶどう品種、カベルネ・ソーヴィニヨン。ポテンシャルが非常に高く、世界で最も広く栽培されている品種であり、まさに赤ワインのトップオブトップです。

「赤ワインの王様」と呼ばれ親しまれ、世界中の人々に認められているのも納得ですね。

タンニンが豊富で力強いワインという特徴がありますが、熟成するとまろやかで柔らかい印象になります。またヨーロッパ以外の産地では、果実味がしっかりと感じられるフルーティーな味わいのものもあるので、初心者の方にはおすすめです。

是非いろいろ飲み比べてみてください!

この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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