ゲヴュルツトラミネール|一度飲んだら忘れられない、独特の個性を放つ白ワイン

ゲビュルツ

「ゲヴュルツトラミネール」

 

なんて言いにくい名前!

 

ですよね(笑)

なかなか日本語にはない発音なので、言いにくさナンバーワンの品種かもしれません。

ちょっと難しい発音のゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer)は、ドイツ語の白ワイン用ぶどう品種の名前。

発音は “ゲヴュルツトラミネール” と言ったり、“ゲヴェルツトラミネール” と言ったり、さまざま。わかりやすくするため、ここでは

  • ゲヴュルツトラミネール

と統一して表記することにします。

さて、このちょっと変わった名前のゲヴュルツトラミネールは、世界中で生産されているぶどう品種です。しかし、初耳という方も多いのではないかと思います。それもそのはず、生産量で言えば決して多くない品種なので市場に出回ることは少なく、当然、知名度は低くなってしまっているのが現状です。

しかし、ゲヴュルツトラミネールの香りは、あまりにも特徴があり、個性的。そのため、熱狂的で根強いファンを多くもつ、魅力的な品種でもあるのです。

名前の語感も、その香りも、皆がチャレンジしたくなるようなゲヴュルツトラミネールに世界中のワインファンが惹きつけられています。

そんなゲヴュルツトラミネールは、ニュージランドでの存在感も大。もちろん生産量は少ないのでメジャーではありませんが、その特徴的な高い香りを持つワインに魅了されているファンは数多くいます。初心者でもわかりやすい、はっきりとした特徴があることも人気の秘密かもしれません。

主力アイテムではありませんが、多くのワイナリーが生産ラインナップの一つに入れている欠かせない品種です。

 

そう、ゲヴュルツトラミネールは間違いなく、隠れた人気者。

個性的な香りを放ち、人々を惹きつけてやまないゲヴュルツトラミネールにはどんな魅力があるのでしょうか。

ここでは、その魅力の秘密を詳しくお伝えします。

スパイシーさと華やかさを併せ持つ品種

「ゲヴュルツ」とはドイツ語で「スパイス」という意味。

「トラミネール」とは「トラミナー」という北イタリア原産のぶどう品種の名前が起源だと言われています。

ゲヴュルツトラミネールの代表的な香りの特徴は、名前の通り“スパイシー”。

しかしながらもう一方で、“華やか”という表現もしっくりくる白ワインです。

香水を思わせる、アロマティックすぎるほどのいい香り。

一度飲んだら、忘れられない魅力があるのです。

はっきりとした強い香りと味わい

では、どのような個性があるのか、香りや味わいの特徴を詳しく見ていきましょう。

間違いないライチ感

グラスに鼻を少し近づけただけでもすぐわかるほど、はっきりとした香りを放つゲヴュルツトラミネール。

その代表的な香りに、ライチ、トロピカルフルーツ、柑橘類、そしてバラなどがあげられます。複雑なスパイシーさもありますが、華やかさがある華麗な香りと言えるでしょう。

 

中でもライチの香りは、重要です。ぜひ覚えておいて下さいね。一番際立つ特徴的な香りと思っていただいてもいいでしょう。

ライチ

その際立つライチ感は、チープな白ワインにライチのリキュールをプラスするだけで、ゲヴュルツトラミネールと勘違いしてしまうほど。

それほど、ライチの印象が強いのです。

ボリュームのある味わい

ゲヴュルツトラミネールはどっしりとした口当たりで、ボリューム感も十分ある白ワインです。

酸味は少なく、ほんのりと苦味も感じられます。

ゴールドに輝く白ワイン

白ワイン用のぶどう品種といえば、黄緑色の果実を想像しますよね。ですが、ゲヴュルツトラミネールの果皮は灰色がかったピンク色をしています。

早熟するぶどうなので糖度が上がりやすく、そのため辛口〜極甘口と幅広いバリエーションを生み出します。

ワインは濃厚で、トロっとした口当たりなのが特徴です。

そして、色味は黄色味が強い黄金。

ゲヴュルツグラス

また、多くのゲヴュルツトラミネールは長細い瓶であることが特徴でもあります。

ワイン売り場では、品種によってワインボトルの形が違う、という部分にも注目してみましょう。

熟成にも向く、万能品種

白ワインを「寝かせる」という印象はやや薄いですが、ゲヴュルツトラミネールには熟成能力があります。

ワインを熟成させると、甘い香りがより強くなり、味わいには大きな幅が生まれます。

酸味はもともと少ないゲヴュルツトラミネールですが、さらに少なくなり、まろやかで飲みやすいものになります。

早熟のぶどうには、涼しい気候が好環境

少し専門的な話になりますが、ぶどうの樹の生育環境についても触れておこうと思います。

ゲヴュルツトラミネールは芽吹きが早く、熟成が早いぶどうなので、涼しくて乾燥した気候が栽培に向いています。なので、暖か過ぎる気候ではうまく育てることができません。

また、デリケートなぶどうなので栽培が難しい品種でもあります。

まだ寒さの残る春に芽吹いたぶどうにとって「霜」は天敵。病気にもかかりやすいのです。

このように比較的手がかかる品種であるゲヴュルツトラミネールの栽培は、生産者の方にとってはまさに「挑戦」。

しかしながら、成功すると高級ワインをも生み出す、ポテンシャルを持つ魅力的な品種なのです。

コクのある素材や料理と相性バツグン

スパーシーで華麗なゲヴュルツトラミネール。

この独特な個性を持つ白ワインにはどんなお料理が合うでしょうか?

 

ワイン自体の個性があまりに強いと、合わせる料理が難しそうですね。

 

ちょっと迷ってしまいますよね。そこでおすすめなのは、味がこってりとした、個性が強い食材です。

 

例えば、どんなお料理が合いそうですか?

 

例えば、フォアグラやブルーチーズなどはゲヴェルツトラミネールと相性が良いです。フォアグラは、岩塩と黒胡椒のみでシンプルにいただいてみましょう。見事にマッチングしますよ。

04フォアグラ

そのほか、エスニック料理(タイ・ベトナム料理など)中華料理などの風味が強いもの、スパイスを多く使った料理もよく合います。

アジアン料理

要は香りも味わいも個性が強いワインなので、しっかりとした味、コクのある素材や料理とあうということですね。

日本の家庭料理の定番、カレーなんかも合います。

白ワインには「あっさりした魚料理」が定番とされているのでどれも意外と思う方も多いかもしれませんが、是非チャレンジしてみてくださいね。

世界の産地の特徴は?

強い個性が目立つゲヴュルツトラミネールですが、ヨーロッパではやや落ち着いた印象のも生産されています。

主要産地であるフランス(アルザス地方)、そしてドイツでのゲヴュルツトラミネールをみていきましょう。

フランス(アルザス地方)のゲヴュルツトラミネール

現在、ゲヴュルツトラミネールを最も多く栽培しているアルザス地方は、ドイツとの国境であるフランスの北東部に位置します。アルザス地方でのゲヴュルツトラミネールは、とても香りの強い、上品な仕上がりが特徴です。

アルザス

アルザス地方は、ボルドー地方ブルゴーニュ地方に並ぶ、言わずと知れたぶどうの有名産地ですね。この地方ではフランスの他の地方とは異なり、涼しい気候に向いた白ワイン用のぶどう品種が多く栽培されています。

標高1,000mを超える山々がそびえるアルザス地方は、ぶどうの栽培に向いている冷涼気候。それだけでなく次のような条件も併せ持っています。

  • 夏の日照量が多い
  • 雨が少なく乾燥している
  • 保湿性が高い粘土質の土壌

これらはゲヴュルツトラミネールにとっても最適の条件。

アルザス地方にも当てはまり、高品質なワインを生み出すのも納得です。

また“モザイク”と言われるほど、狭い範囲にいろいろな種類の土壌を持つアルザス地方は、様々な品種を栽培することができる地方でもあります。

アルザス・グラン・クリュの中に認定された品種

1975年、アルザス地方では産地の個性を守るための法的な規制「アルザス・グラン・クリュ」が制定されました。

 

“グラン・クリュ”とは格付けされた指定の畑のこと。いわゆる特級畑のことですね。

「アルザス・グラン・クリュ」ではぶどうの手摘みが原則。

そして栽培する品種も、以下の4種に指定されています。

  • ゲヴュルツトラミネール
  • リースリング
  • ピノ・グリ
  • ミュスカ

狭い産地で、土壌にあわせた様々なぶどうが栽培されているので、地名よりも品種を明記することがワインの特徴がつかめることに繋がるのです。

アルザス地方のゲヴュルツトラミネールは、細長いボトルが特徴的。

ぜひ探してみてくださいね。

ドイツのゲヴュルツトラミネール

ドイツ

名前の母国であるドイツでは、

  • ファルツ
  • バーデン

が主要産地です。

フランスのアルザス地方のゲヴュルツトラミネールと比べると、やや軽い印象をもった仕上がりが特徴です。

また、ドイツでは、甘口ワインの最高峰「アイスワイン」も生産されています。

ニュジーランドのゲヴュルツトラミネール

ニュージランドでのゲヴュルツトラミネールは、主にマールボロ地方、ギズボーン、ホークス・ベイ地方で栽培されてます。

栽培面積は242ha(※2016年)。生産量は1%とごくわずかですが、とても存在感のある品種です。

メジャーではない品種ですが、香りのインパクトが大きく根強いファンは多いので、多くのワイナリーがわずかながらも生産ラインナップに加えています。

ニュージーランドのゲヴュルツトラミネールは特に香り高く、バラの花びら、ライチ、シナモンなどの香りが非常に強いのが大きな特徴です。

まとめ

いかがでしたか?

香りは強く、酸味も柔らか、そして味わいはボリューミー。

どちらかというと好きになるか嫌いになるか、はっきり分かれてしまう品種かもしれません。

しかしながら、一度飲んだら無性に飲みたくなる。

皆を虜にしてしまう、そんな魅力があるのです。

そしてこの言いにくい名前も、一度覚えたらもう忘れられませんよね?

というより、言いたくなっちゃいます!

ワインバーに行って「ゲヴュルツある?」なんて言えたら、それはもう粋ですね。

是非いろいろ楽しんで見てくださいね!

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この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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