マヒ マールボロ ピノ・ノワール 2017

こだわり抜いた手法でつくられた「マヒ マールボロ ピノ・ノワール 2017」のレビューです。フルーティー、スパイシーというだけでなく、様々な要素が絡み合う複雑な香りと味わいで非常に満足感の高い1本。ぜひNZ産のラム肉と合わせてみて。
レビュー日 | 2020.06.25 |
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地域 | マールボロ |
ワイナリー | マヒ(Mahi) |
品種 | ピノ・ノワール |
収穫年 | 2017 |
香り | チェリー、木いちご、シナモン、キノコ類、湿った土 |
アルコール | 13% |
シーン | ニュージーランド産のラム肉とともに |
購入先リンク | ▶ボクモワイン(ヴィンテージは異なります) |
希望小売価格 | 4,400円(税込) |


岩須
非常に複雑な味わいのピノ・ノワール。個人的にとても思い入れの強いワインです。
世界各国の名門ワイナリーで醸造技術を磨いたブライアン・ビックネル氏。彼の持つすべての知識や経験を活かし設立したブティックワイナリー、それが「マヒ」です。
ワイナリー名の「マヒ」とはマオリ語で「手工芸品」を意味し、まさにその名前の通り、自然の中で丹精込めて作る工芸品のような手作りのオーガニックワインを生み出しています。
人間の手の介入は極力減らしつつも、素晴らしい技術力によって生まれたワインは、素直に美味しい。ナチュラルかつテクニカル。マヒは、そんなイメージのワインです。
特に、繊細なテクニックを必要とする品種ピノ・ノワールは、彼の手腕を感じとることができるワインだと思います。
色合いは明るい赤色。
非常に綺麗なルビー色です。
チェリー、そしてラズベリーやブラックベリーなどの木いちごの香り。それにシナモン、キノコ系、湿った土のようなニュアンス。ほんのり野性の獣のような風味も感じられます。
口に含むと、ベリーのフルーティーな風味が広がります。心地よい酸味と、ややスパイシーな後味が印象的。渋みはたいへん心地よいです。非常にひとくちの充実感が高いワインだと思います。
このワインがつくられているワイナリー「マヒ」を実際に訪れたとき、ビックネル氏自ら試飲のワインをサーブしてくれました。
そのとき彼は、あえてワインをデキャンタに一度移し替え、グラスに注いでこう言いました。
「このワインは、すぐに飲んでも美味しいけれど、すこし空気に触れさせると、さらに美味しくなるんだよ」
すなわち、適度に酸化すると美味しくなるワイン。自宅で開けるなら、2日目や3日目も十分楽しめるワインと言えるでしょう。
ビックネル氏はチャーミングな笑顔がとっても印象的な方。
最初に挨拶を交わしたときから、内部の説明をしてくれている間、最後に記念撮影をするときまで、ずっと笑顔でしたね。
このワインを飲むと彼のその笑顔を思い出し、自然とこちらも笑顔になるんです。
「ワインには人柄が宿る」そんなふうに思わせてくれるワインですね。
ちなみに、このピノ・ノワールを実際に醸造している様子の写真があります。岩須のお店「ボクモ」店内にてスライドショーで紹介しているので、是非ご覧ください!
おすすめのペアリング
クセの少ないNZ産のラム肉をステーキで。ローズマリーなどのハーブを添えて。
パテ・ド・カンパーニュなんかもいいですね。
ワイナリー「マヒ」について
「マヒ(Mahi)」は2001年ブライアン・ビックネル氏によって設立された、マールボロ地方にあるワイナリーです。
ワインメーカーであるビックネル氏は、マールボロ地方に移り住むまでの約15年間、世界の様々な産地でワインづくりに携わり、活躍してきた人物。
彼が移り住んだ1996年当時、マールボロ地方でつくられるワインの多くは、地方内の異なる地域のぶどうをブレンドしてつくられており、土地の個性や特徴が失われつつありました。さらに、ワイナリーは大規模化され、海外メディアからは「多くのワインが同じ味である」とコメントされ始めていたころです。
しかしビックネル氏は、マールボロの多様性のある土地は、異なるスタイルのワインをつくることができると感じ、リージョナル(地域)のブレンドではなく、「シングル・ヴィンヤード(単一畑)」でのワインづくりを再出発させます。
これが、ワイナリー「マヒ」の始まりです。
マヒでは、これまでの彼の信念通り、
- ぶどうは手摘みで収穫
- 野生酵母のみで醗酵
- オーガニックを当たり前のものにすること
- できる限りシンプルな手作業をすること
など、「人の手をかけずにワインがつくられている状態」を最優先したワインづくりが行われています。また、「ワインは急いでボトルに詰められるべきものではなく、時間と共に自然に発展するものである」というワインの能力を尊重。
そんなマヒの目指すワインスタイルは、「フルーティーさが全面に出た果実爆弾のようなスタイルではなく、質感やバランスをより重視した、口中に満足感を与えるワイン」。
フレッシュ&フルーティーが代名詞である「マールボロ産ワイン」とは一線を画するスタイルで、ワインの品質と多様性を表現し、この地方を牽引していくワイナリーと言えるでしょう。
当サイト監修の岩須がワイナリーを訪れたときは、世界各国から集まった若き醸造家の卵がビックネル氏のもとでワインづくりを学んでいました。
とても気さくで、冗談を交えながらワイナリー内を案内してくれた彼ですが、若手の指導となるとそのまなざしは真剣そのもの。真摯にワインづくりに取り組む姿勢を垣間見ることができました。
またマヒのラベルには、ニュージーランド原産の植物「シダ」が描かれています。シダ=koru(コル)とはマオリの言葉。
「強さ」「人生」そして「成長」が表現されています。
この記事の筆者

- NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています
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監修

- ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
ボクモ(BOKUMO)
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