キムラセラーズ スペシャル・キュヴェ ソーヴィニヨン・ブラン 2018

レビュー日 | 2020.02.03 |
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地域 | マールボロ |
ワイナリー | キムラセラーズ(Kimura Cellars) |
品種 | ソーヴィニヨン・ブラン |
収穫年 | 2018 |
香り | ほのかにレモン、ライム、白い花 |
アルコール | 13% |
シーン | ちょっと奮発して行く天ぷら屋に持ち込むワイン |


岩須
日本人醸造家のチャレンジワイン!ソーヴィニヨン・ブランの常識を覆す?
キムラセラーズの新しい挑戦
キムラセラーズ(KIMURA CELLARS)は日本人・木村滋久さんによる家族経営のワイナリーです。
「造り手の顔の見えるワイン」「消費者に近い距離の生産者」をコンセプトに、手間暇をかけたオーガニック農法にこだわり、細部まで気を使った職人仕事によるワインづくりをしています。
そんな木村さんが新しいスタイルに挑戦したというのがこのワインです。
このワインにつけられた「スペシャル・キュヴェ」は、日本語で「特別仕込み」といって良いでしょう。
NZのソーヴィニヨン・ブランは、フレッシュな香りや果実味を保持するために温度管理されたステンレスタンクで発酵させるというのが基本スタイルです。しかし、このワインはフランス産の古樽を使って発酵を行っています。
古樽が使用されることにより果実のフレッシュ感は落ち着き、代わりにまろやかな香りと味わいが出るようになります。また、発酵後の熟成にも古樽を使用しているため、ワインに木樽が持っている成分が加わり、味わいを複雑にしています。
樽を発酵・熟成に使用するのは、フランスをはじめとするヨーロッパの伝統的な手法です。
このスペシャル・キュヴェは、ヨーロッパとは違う個性で名を馳せたNZのソーヴィニヨン・ブランを、あえて伝統的スタイルに引き戻したスタイルのワインと言えるでしょう。
繊細な旨さをもったワイン
醸造方法が変わると、これだけ味も香りも変わるのかという驚きがあります。これは通常のキムラ・セラーズ ソーヴィニヨン・ブランと比べてみると歴然です。
まず香りは、フルーツやハーブが全面に出るNZスタイルではありません。鼻をワインに近づけるとふんわりとシトラスの香りが香ってくるような感じ。とても穏やかです。
味わいは、グレープフルーツのニュアンスもありつつ、まろかやな甘みの果実、熟れた柑橘類のニュアンスがあります。
「フルーツボム(果実爆弾)」といわれてきたNZのソーヴィニヨン・ブランとは一線を画すやさしい印象で、ナチュラルな香りと味わいが特徴の実に繊細な旨さをもったワインです。
好気的な手法(ワインを酸素に触れさせながら発酵・熟成させる方法)でつくると、このようなワインになると言われており、まさしくこのワインは好気的なワインと言えると思います。
おすすめのペアリング
NZのフルーティーなワインは食事と合わせるときにペアリングに悩むこともあるかもしれませんが、これほどナチュラルで主張が強くないワインは、食事に非常に合わせやすいです。
つくり手の木村滋久さんの大和魂が宿っているような感じさえするこのワイン、特に和食にはばっちり合います!
山菜の天ぷら
このワインには、後味にほんのり感じる苦味があります。
天ぷらの中でも、少し苦味のある山菜、”わた”まで食べられる小魚は最高のペアリングです。
冒頭の「シーン」の項目でも触れましたが、カウンター越しで一品ずつ揚げてくれるような、ちょっと高級な天ぷら屋さんに持ち込めば、最高のマリアージュが楽しめると思います(もちろん、ワインの持ち込みは事前に許可を取ってくださいね)。
寿司
酸味が穏やかなワインなので、ペアとなる食事もほのかに酸味のある味付けが合います。
お寿司のシャリはちょうど良い酸味で、お互いを高め合うペアリングになるでしょう。
ネタはエビ、イカ、タイ、ヒラメなど白いものがバッチリ合います。
春菊のサラダ
ご家庭で手軽に作れるメニューなら、春菊のサラダがおすすめ。
味付けは、オイルとビネガー、塩コショウでシンプルに仕上げて。
お好みでチーズをトッピングしても良いでしょう。
この記事の筆者

- NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆しています。
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監修

- ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
ボクモ(BOKUMO)
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