グリーンソングス ペットナット ザ・クリフス 2019

微発泡の自然派ワイン「グリーンソングス ペットナット ザ・クリフス 2019」のレビューです。個性的でありながら、意外にも幅広いお料理に合わせやすい一本です。
レビュー日 | 2020.03.26 |
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地域 | ワイララパ |
ワイナリー | グリーンソングス(Green Songs) |
ワイン名 | ペットナット ザ・クリフス(Pet Nat “The Cliffs”) |
品種 |
ピノ・ノワール ピノ・グリ |
収穫年 | 2019 |
香り | 白桃、ネクタリン、マンゴーなどの熱帯フルーツ、バナナ、酵母由来の乳酸 |
アルコール | 12.5% |
シーン | 持ち寄りパーティーに。他の人とカブりたくない人にお薦めです! |
購入先リンク | ▶ボクモワイン (※ヴィンテージは異なります) |
希望小売価格 | 3,740円(税込) |


岩須
「これまでにないものを作ろう」という試みで作られたワインだと思います。
今、世界中で流行しているワインの新ジャンル「ペットナット(ペティアン・ナチュレル)」は、微発泡の自然派ワインです。
発酵途中でワインを瓶に移し、瓶の中で最後まで発酵を行わせるという製法でつくられています。
その発酵中に発生する泡をそのまま瓶内に閉じ込めているので、普通のスパークリングワインよりやや優しい泡の「微発泡ワイン」となるのがこのペットナットの特徴。
この製法は、別名 メトード・リュラル(田舎方式)と言い、古くから行われてきたスパークリングワインの製法です。
そんな古典的な製法のワインですが、90年代のロワール地方から始まったといわれるペットナットの流行は徐々に世界中に広まり、近年この日本でも注目されてきています。
今回はそういったことも踏まえた上で、テイスティングしていきたいと思います。
外観は、思いっきり濁っていますね。まるでピーチネクターのような濁りです。
色合いは、ロゼの中でもややピンクが強く、桃の皮の濃い部分のようなイメージです。
グラスに注いですぐなら、微発泡のプチプチがグラスの縁についている様子も見られます。
おもしろい、個性的な、このワインにしかない外観をしていると思います。
香りは、酵母の良い香りを非常に強く感じます。
酵母のふわっとミルキーな香りが鼻いっぱいに広がり、その中にフルーツの香りも強く感じられます。
白桃、ネクタリン、マンゴーなどの熱帯フルーツや、熟れすぎていないバナナなどが香りの中心で、そのフルーティーさを発酵由来のほんのりした乳酸風味の香りが包み込んでいます。
味わいは香り同様、まずフルーツのフレーバーが口の中に広がります。
さらに香りからはそれほど感じられなかった、レモン、ライムなどの柑橘の爽やかさと、その皮の部分のような苦味も少し感じますね。
フルーティーでありながら飲み口はドライで、口の中をすっきりと洗い流してくれるワインです。
ペットナットというジャンルは甘口のものも多いですが、これは辛口。おそらく瓶の中でアルコール発酵がしっかり最後まで進むよう、計算と工夫がされていて、残糖度の低い非常にドライな味わいに仕上がっています。
また、微発泡というジャンルですが、よく冷やし開けたてであれば、しっかりと発泡のプチプチ感を心地よく感じることができます。
このプチプチ感が、食欲増進すること間違いなし!
発泡の清涼感、様々なフルーツのニュアンスと酵母由来のミルキー感。そういった色んな要素が相まって、幅広い食事を美味しくしてくれるでしょう。
ペアリングも、サラダから前菜、魚料理、お肉料理まで守備範囲が広いので、色んなお料理が並ぶホームパーティーにはうってつけです。
お酒を持ち寄るというシーンでも、他の人とはきっとカブらないと思うのでおすすめですね。
さらに、パーティーにおすすめな理由がもうひとつ。
このワインは開栓した時に空気との化学反応により、下に溜まった濁りが対流によってジワッと瓶内に全体に広がっていく様子が見られるという面白さもあるんです。
文字だけでは伝わりにくいと思いますので、こちらの動画をご覧ください!
こういうワインは一人で楽しむよりも、みんなで「おおぉ〜」なんて言って盛り上がりたいですね!
ちなみに、このワインは少量生産の手作りワインなので、ご購入はお早めに。
そしてこういったワインはヴィンテージが違うと味わいもガラッと変わることが多いので、このレビューはあくまでも2019ヴィンテージのものであることををご了承ください。(毎年味わいが違うのも楽しみのひとつだったりします。)
個人的には、ちょっと奇抜なんだけど、味わいは非常にまとまっている印象でした。
心から「醸造家のコウヘイさん、やるなぁ!」と思ったワインです。
ワイナリー「グリーンソングス」について
画像提供元:(株)サザンクロス
このワインを作っているのは小山浩平(ニックネームはコウヘイ)さんという日本人醸造家の方。
NZのネルソン地方にて、「グリーンソングス」というワイナリーを営んでいます。
小山さんは東京・ロンドンのビジネスの世界で活躍されたあと、2011年にワインづくりを志しNZへと渡ります。
国立リンカーン大学でぶどう栽培・ワイン醸造を学び、日本人初の首席で卒業。そしてNZやカリフォルニアでワインづくりを実際に学び、2014年にアタマイ・ヴィレッジとパートナーシップを組み、自身のワイナリーを設立しました。
画像提供元:(株)サザンクロス
このアタマイ・ヴィレッジでは、地球環境にできるだけ負担の少ない暮らしを共通の目的とし、果樹園や農場などが共同で運営されています。
今回のワインは、北島ワイララパのグラッドストーンで収穫されたぶどうを使っています。
南島のネルソンだけにとどまらない、コウヘイさんのこれからの挑戦に期待が膨らみます。
おすすめのペアリング
お食事の流れに合わせて味わって
実際に開栓してみると分かりますが、このワインをみると瓶内の色合いは上の方が薄く、下の方が濃いグラデーションになっています。
その味わいも見た目と同様、上の方はあっさりとしていて、下の方は味が濃くタンニンも強めに感じます。
なので、3、4人で飲むときは最初の1杯ずつは前菜と合わせ、次はお肉料理に合わせるような順序が丁度良いでしょう。
こんな楽しみ方ができるのも自然派ワインの醍醐味かもしれません。
中華料理に
「デパ地下のお惣菜全ていけます!」と言えるほど幅広く様々な料理にあいそうなワインですが、特におすすめなのが中華料理。
このワインの清涼感が、中華料理のオイリー感や濃い味付けの余韻をさっぱりと心地よいものにしてくれます。
またこのロゼワインは、ほんのりとぶどうの皮の渋みが感じられます。
この渋み成分であるタンニンは、お肉の脂身と結びつくと非常に心地よい味わいになります。
すなわちこのワインは、中華のお肉料理との相性がとても良いと言えそうですね。
この記事の筆者

- NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています
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監修

- ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
ボクモ(BOKUMO)
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