リッポン マチュア ヴァイン ピノ・ノワール 2017

レビュー日 | 2020.04.05 |
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地域 | セントラル・オタゴ |
ワイナリー | リッポン(Rippon) |
品種 | ピノ・ノワール |
収穫年 | 2017 |
香り | カシス、ブラックベリー、ブラックチェリー、血液、ナツメグ、クローブ |
アルコール | 13% |
シーン | 特別な日に。お肉料理をメインとした贅沢なコース料理に合わせて。 |
購入先リンク | ▶ラック・コーポレーション |
希望小売価格 | 5,700円(税別) |


岩須
個性的で複雑な味わいをじっくり楽しむ、オトナなワインです。
色合いはルビーレッドと言えますが、それだけではなく、ほんのりと紫のトーンを感じます。
このように、単調ではなく立体的な色合いをしていることから、複雑味のあるワインであることが予想できますね。
ワインを覚えたての方は「ピノ・ノワール=色の薄いワイン」という認識があるかもしれませんが、例外も数多くあります。
特にNZのピノ・ノワールは、他の品種と間違えるくらい色が濃いものが多いんです。
このワインも濃く、そして優しい色合いをしています。
開栓してすぐの香りはこもっていましたが、スワリングして空気に触れさせることで、はっきりとした香りが出てきます。
カシス、ブラックベリー、ブラックチェリーのような爽やかさも感じる一方で、野性的なニュアンスも感じられる複雑な香り。
「野生的」というのは、動物的、あるいは血液のような、ジビエに通じるような風合いという感じです。
また、ナツメグやクローブのようなスパイスの香りもしますね。
かなり奥の深い、すごく良い香り。
ちょっと飲むのがもったいないくらいです(笑)
味わいは香り同様、カシスなどの黒系果実のフルーツ感が広がりつつ、同時にスパイス感、タンニン由来の渋さが感じられます。ピノ・ノワールというエレガントなワインがつくられるぶどう品種とは思えないほど、しっかりとした主張があります。
余韻も非常に長く、口の中にじわーっと長時間残る、幸せな旨み。
NZのピノ・ノワールはフルーティーさが際立つ明るい印象のものも多いのですが、このワインはそうではなく、ナチュラルに食事に寄り添うようなじんわりとした旨みが特徴です。リッチなディナーを想起させてくれるようなワインですね。
そしてこのワインは無清澄・無ろ過が特徴。清澄やろ過をするとワインの安定性は高まる一方で、複雑さな旨みが少なくなるとも言われています。このワインは味わいの複雑さを重視しているために、清澄とろ過をしていません。これが個性あふれる香りと味わいを作るのに貢献していると思います。
「いつもとはちょっと違うピノが飲んでみたい」あるいは「しっかりしたお肉料理に合わせる強めのピノが欲しい」というときに活躍するでしょう。
またこのワインは、醸造後に2シーズン熟成させてから瓶詰めし、出荷されているとのこと。
ですので、現在2020年時点でこの2017年は最新ヴィンテージということになります。
マチュア ヴァイン(MATURE VINE)について
このワインに表記されている「マチュア ヴァイン」とは「成熟したぶどうの樹」という意味。
「MATURE VINE PINOT NOIR」という表記
おそらく、フランスにおけるワイン用語「ヴィエイユ・ヴィーニュ(古樹)」を意識してのネーミングだと思います。
「古樹=樹齢が高い」ということは、より凝縮感のある良いワインのイメージ。
このワインも成熟した樹齢の高い樹であることを、ラベルに表してるんだと思います。
セントラル・オタゴ地方のサブリージョン「ワナカ」
このワインの産地は、セントラル・オタゴ地方の中で最も小さなサブリージョン「ワナカ」。
人口7,000人ほどの小さな街ですが、大自然が広がる風光明媚なこの地域は、観光地、別荘地としても大変人気のエリアです。
そんなワナカを代表するワイナリーが、このワインの生産者である「リッポン」。
“リッポンなくしてワナカという産地は語れない” と言われるほど、重要なワイナリーです。
ワイナリー「リッポン」について
「リッポン(Rippon)」は1970年代半ばに設立された、小規模な家族経営ワイナリーです。
この地域で最も古いぶどうの樹を持ち、ピノ・ノワールの生産地として名を馳せるセントラル・オタゴ地方のパイオニア的存在です。
ワイナリーは標高330mのワナカ湖のほとりに位置し、湖に向かって緩やかに下る斜面がぶどう畑。
北向きなので日当たりがよく(南半球なので北向きが日当たり良好)、湖の向こうには美しいサザンアルプスの山々が広がります。
自然豊かな畑は、「世界で1番美しいぶどう畑」とも称されるほどです。
100年以上ミルズ一家により受け継がれてきた土地で現在ワイナリーの指揮を執るのは、本場ブルゴーニュで修行した経験を持つ2代目ニック・ミルズ氏。
彼はブルゴーニュで得た知識を元に、バイオダイナミック農法を実践。
リースリング、ゲヴュルツトラミネールなどの白ワインも秀逸ですが、やはり世界的に評価が高いのはピノ・ノワール。本場ブルゴーニュに通じる華やかさとエレガントさを持ったワインです。
おすすめのペアリング
ビーフシチュー
しっかりとした味のお肉料理と合わせたいこのワイン。
ピノ・ノワールは鴨肉が定番ともいわれますが、これはもっと複雑で濃い味付けの牛肉も良いと思います。
例えば、牛の煮込み料理や、デミグラスソースのような複雑味のある濃いソースと一緒に頂くお料理などがぴったり。
特にビーフシチューは日本人にも馴染みがあって、家庭でも料理できるのでおすすめですね。
ルーを買ってきて気軽に作ることもできますが、そのときは料理酒の赤ワインを加えることをお忘れなく。
ジビエ料理
動物的な、血液のようなニュアンスがあるので、ジビエは間違いなく合うでしょう。
鴨肉のローストやラム肉のステーキなどをメインにしたコース料理なら、特別な日のディナーにもぴったりです。
この記事の筆者

- NZワインラバーズの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆しています。
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監修

- ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
ボクモ(BOKUMO)
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