店名の付け方

ソムリエブログ

今回は、今、「店名の付け方をどうしようかなぁ」と考えている方向けにブログを書いてみます。

実は先日、新しいお店の名前を決める必要があって、その時僕はものすごく悩みました。

チームと一緒に考えていたのですが、店名案はなんと36個も出てしまった。どの案も良いところもあれば、うーんと考えてしまうところもあり、なかなか決まりませんでした。

こういうときこそ必要なのは、思考の整理!そう思って、自分なりに「店名をつける上で考慮すべきポイント」をまとめ、候補ひとつひとつをそのポイントに照らし合わせて、ふるいにかけました。

すると「直感で決める」というやり方ではたどり着かなかったところに落ち着くことができたのです。そして、今では、その名前がとてもしっくり来ています。

今回は、僕が、どうやって思考を整理して、候補をふるいにかけたかを共有してみたいと思います。

これから新しいお店の名前をつけようと思っている方の参考になれば幸いです。

僕が考える「店名を決めるために考慮すべきポイント」は、以下の3つです。

1)口にしやすい

2)検索に強い

3)ストーリー性がある

それぞれ順番にお話していきます。

1)「口にしやすい名前であること」

これから、その店名は毎日呼ばれることになります。当たり前ですが、お客さんをはじめ、取り引きしてくださる業者さんも、当然、店名で呼んでくれます。

すなわち、自分が店名を口にする回数よりも、他の人が店名を口にする回数の方が断然多い。だから「お客さんと業者さんが口にしやすい名前」でないと、親しまれにくいです。意外とこの視点は抜けがちだと思います。

笑えない話で、年配の方が多く住むエリアのパン屋さんなのに「ブーランジェリー○○」とつけて、あとから自分の店のことを「ほら、あのランジェリーっていう店」と呼ばれていることを知って、がく然としたという例があります。これはいかんです。この場合は、「○○パン」という店名が正解でしょう。

では、「口にしやすい店名」とはどんなものか。それは、シンプルに「短い名前であることです。

僕が好きな名古屋のワインバーで「non(ノン)」という店があります。アルファベット3文字、カタカナ2文字です。「どこか良い店ありますか?」とお客さんに言われたときに、めちゃくちゃ伝えやすい。「エヌ・オー・エヌで、nonです」でOK。短い名前は、音にしやすく、伝えやすい。つまり人に紹介しやすい。

「音にしたときに相手に届くかどうか」は、口コミ力に直結します。

2)「検索に強い店名であること」

これは、1)に比べると新しい要素ですが、もはやぜったいに無視できないポイントだと思います。

今の時代、「店名はググられてなんぼ」です。いわゆる「指名検索」というやつが必要です。1)で口コミにしてもらったら、それをググってもらったときに、自分の店のサイトが出てくる。この流れがとても大事です。そこで、他の店の名前が出てくるようではイカンです。

たとえば、自分がつけたい店名が、すでに他の店で使われているケース。その場合は、涙を飲んで、その名前は諦めた方が良い。同じ名前だけど、他の地域の店だから、大丈夫でしょう?は、ダメだと思います。

たとえば、「○○ちゃん」という、ちゃんネームの店。は、検索すると全国で山ほど出てきます。ネットを使わない世代向けの店じゃない限り、新規オープンで、先輩の○○ちゃんに挑むのは得策じゃないと思います。

だって、今や「ググってすぐに出てこない」は、来店動機を即座に失うほど、お客さんにとってはストレスになるからです。

個性のある店名にして、それを覚えてもらって、検索したらすぐに店の情報が出てくる。これは、今の時代では「店の前に看板を出すのと同じくらい大切なこと」です。

3)「店名にストーリー性があること」

僕はこれがいちばん大事だと思っています。

店をオープンしてから、必ず聞かれる質問。それは「なぜこういう店名にしたんですか?」。僕は店を11年やっていますが、たぶん500回くらいは聞かれています。それくらい、店に興味を持ってくださるお客さんにとっては、「店名の由来は、重要な関心事」なのです。

で、僕は、その「みんなの関心事である店名」に、「ストーリー性」があるのとないのでは、大違いだと思っています。なぜなら、ストーリーというのは、いったん頭の中に描くと、とても記憶に残りやすくなるから。「なるほど、そういうストーリーがあってつけた名前なんだね」と理解してもらえると、その店名は、深く脳裏に刻まれます。

たとえば、僕がやっている「ボクモ」という店名の由来はこうです。

僕は飲食店をやる前は、ラジオディレクターで、主に音楽番組を作っていました。当時、最も僕に衝撃を与えたミュージシャンがいました。それは、デビュー前のRADWIMPS。彼らに惚れ込んだ僕は、名古屋で彼らの魅力を紹介したいと思い、番組の企画書を書きました。そして、運良く彼らと1年間レギュラー番組をやることができました。今となっては宝物のような思い出です。その後、飲食店に挑戦しようと思い、修行しているときや、うまくいかなくて落ち込みそうになったときには、いつも彼らの音楽に助けられました。だから、店名には、彼らの印を入れたかった。それで、作った店には、彼らがまだ売れる前の曲の歌詞の一部を、本人や事務所の社長さんの了解を得て、いただくことにしました。それが「ボクモ」です。ただ、今では本人や社長さんは、そのことを忘れてて「あれ?ボクモって、うちの事務所の名前のボクチンのパクリでしょ?」って言われますが。

ちょっと長めのストーリーですが、お客さんにこれを話すと、僕や僕の店のことを覚えていただけるようになったという実感があります。「ああ、あの人は今は飲食だけど、前はラジオやってた人なんだ」ということが伝わる(実は今もやっていますが)。そうなると、情報が立体的になって、記憶が強くなるようです。

僕が好きな本で、「ストーリーとしての競争戦略」という本があります。

その中で、

優れたストーリーの条件は、そのストーリーを話している人自身が「面白がっている」

(「ストーリーとしての競争戦略」楠木 建 著)

という部分があります。これ、本当に大事だと思います。

僕も、店名の由来に関するエピソードは本当にたくさん聞かれるので、ちょっとずつ切り口を変えて、話しています。聞かれるたびに、あれこれ足したり引いたりしながら、楽しく喋っています。

そして、このストーリーには続きがあります。なぜラジオから飲食なのか?なぜワインなのか?ソムリエになったのはいつか?そんな話が繋がっています。僕の場合、そうした自分の経歴から、どうやらお客さんには「変わった人」に見えるようで、そうか、僕って変わってるんだなあ、と、また面白くなります。自分が持ってるストーリーのオリジナリティに気づくわけです。

ただ、お酒を飲んでいる時って、こういうちょっと長めのストーリーって、忘れられちゃうことがあります。そういう方には「もう!これで3回目だからね!」と言って、また話します。それもまた楽しい(笑)

この3点を踏まえ、僕は、チームのみんなと考えました。

僕らは、「ニュージーランドワイン専門のワインショップ」をやります。

あ、このブログではちゃんと報告してませんでしたが、そうなんです。5月くらいにスタートしようと思って、今、準備を進めています。

それで、準備のために色んな書類を揃えているところなのですが、そろそろ、書類に店名を書かなきゃいけない。さあ、どうする、となって、出したアイデアが36個。

その中から、先述のとおり、ふるいにかけました。

  • 「口にしやすい」

○○○ワイン、これがいちばんシンプルで、すぐにワイン関連のショップだということが分かる。そして、○○○に入るもシンプルな言葉じゃないといけないぞ。音にしたときに相手にすぐ届く名前である必要があるのだから。

  • 「検索に強い」

これまで11年、ずっと使ってきたドメインwww.bokumo.jpが、ある程度の強さを持っている。ボクモという指名検索も一定量あって、Googleからの評価対象になっている(っぽい)。これを有効利用したい。だから、新しい店名もこのドメインに紐付けたものがいい。ドメインを活用すれば、全国の人にNZワインを届けやすくなる土台がつくりやすくなるんだ。

  • ストーリー性がある

僕はニュージーランドワインに惚れ込んで、自分の店「ボクモ」で、ずっとNZワインを紹介してきた。しつこいくらいにNZワインの魅力を語ってきた。その結果、名古屋では、ニュージーランドワイン=ボクモで飲める、と思っていただける方もじわじわと増えてきた。これを今度は全国に広げたい。もっとたくさんの人に魅力を知ってもらいたい。そう思って、全国に販路をもつ「通販サイト」を作ろうと思った。NZワインの拠点がなかった名古屋で、「ボクモ」という飲食店がNZワインのハブとなった。今度は、全国を舞台にしたNZワインの新しいストーリーをつくるんだ。そんな意気込みを入れよう。

という観点で、36の候補の中から選んだ、新しい店名は・・・

「ボクモワイン」

ということになりました。

ふ、ふつーーーー!!!

という声が聞こえてきそうですので、ここで、もう一度引用しましょう。

「優れたストーリーの条件は、そのストーリーを話している人自身が「面白がっている」ということです。(「ストーリーとしての競争戦略」楠木 建 著)

これです。悩んで、ぶつかって、ふりしぼって案を36個出した。その中から、そこから思考を整理し、ポイントをおさえて、ふるいにかけた結果、極めてシンプルなネーミングになった。

「ボクモ」という店名に「ワイン」をくっつけただけの、ごくごく初期に思いつくような名前になっちゃった。しかし、そこには、ボクモを拠点としたショップであることを掲げつつ、新店をみなさんに広く知ってもらいたい、NZワインを多くの人に届けたい。そういう気持ちを形にするための、1,2,3のロジックが、一応あるんだよ。

これこそが、僕にとっての面白ポイントです。ひねった結果、ひねりなしに見える名前。ぐるっと回ってふつーかい!が、面白いじゃない。

というわけで、僕は、新店名の「ボクモワイン」、とても満足しています。

きっと、今、店名をどうしようか考えている方は、目の前の新しい挑戦を前に、メラメラと燃えていることでしょう。その情熱、とっても大事だと思います。

ただ、情熱以上に、後悔しないようなネーミングにしようという冷静さも必要だと思います。なんせ、長く使う名前なので。よかったら、まずは「ストーリー、短さ、検索」の3点をチェックしてみてください。

今週のワインとおつまみ

VILLA MARIA 

Merlot / Cabernet Sauvignon 2018

ヴィラマリア メルカベ

ニュージーランドワインの中でも、ぶっちぎりのコスパを誇る銘柄がこのヴィラマリアです。まじでハズレなし。

赤ワイングラス写真

この「やや濃いめの赤」のメルロー・カベルネは、やさしいピノがお得意のNZでは、やや珍しい存在。というか、かなりレアな存在。はっきり言って「濃くて安い赤」は、NZではほどんど存在しないのです。でも、大手ヴィラマリアならば、それができてしまう。税込2,200円でこの品質を作ることができるのは、とても希有な存在です。しかも日本で手に入りやすいときたもんだ。素晴らしいことだらけです。

香りは、ほのかに植物的なニュアンスもありつつ、心地よい樽のニュアンスがあります。味わいは、ベリーの親しみやすさ、適度な渋みがまーるく調和していています。バランス感がたいへんよろしく、極めて上品です。願わくば、あと300円安いと、他の国のボルドーブレンドに対抗できると思います。ハンパない技術力がある会社なので、きっと数年後には実現しているような気がします。

今回あわせたおつまみは、ジンギスカンです。先日、ClubhouseNZワインのことを喋っていたときに、北海道在住のNZワインファンの方と知り合いまして、その方が猛烈にプッシュしていた「かねひろ」さんのジンギスカンのお肉をその場でポチりました。

かねひろのジンギスカン

NZの濃いめの赤にすごくあう」とおっしゃっていましたが、あわせてみたら、本当にばっちりでした。同じ趣味をもつ方の意見は聞いておくもんだ!

ジンギスカン

気になる方のために、公式サイトものせておきます!

▶かねひろジンギスカン

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部

岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
ボクモ(BOKUMO)
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当サイト「ニュージーランドワインラバーズ」は一般社団法人日本ソムリエ協会認定ソムリエで、飲食店「ボクモ」のオーナー岩須直紀が全記事を監修、一部執筆しているNZワインの専門サイトです。


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