人生はロングショットで見れば喜劇だ。

ソムリエブログ

みなさん、「わータイム」が来ることってありますか?

僕は、子どもの頃からあります。思わず叫んでしまう、あれです。僕の場合、自転車に乗っているときによく訪れます。

急に体が熱くなり、顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。自転車はいつしか立ちこぎ。感情がめいっぱい高まります。

・・・なんであのとき、バレバレの嘘をついちゃったんだよお!

その後悔が、体から声となってあふれます。

「わーー!」

・・・本当はあの子のこと好きなのに、どうして興味のないふりをしたんだ!

「わーー!」

なぜ俺は、助けて欲しそうな眼をしたあの人を、見て見ぬふりをしたんだ!!!

「わーー!」

これが「わータイム」です。

大人になっても、たびたび訪れるわータイム。

年下の子に、あんな注意の仕方をしなけりゃよかった。偉い人に、心にもないおべんちゃらを言うんじゃなかった。

「わーー!」「わーー!」

後悔&懺悔の気持ちが口から漏れると、「わー」になる。

僕の場合、なんなら自転車に乗るのはこのわータイムのためじゃないかってくらい、サドルにまたがって一定時間ペダルを踏むと、わーのスイッチが入ります。

ではなぜ、自転車に乗ると来るのか。わー歴がそれなりに長くなってきたので(なんだ、わー歴って)、最近はそのメカニズムがどうなっているか、自分なりに仮説を立てたりしています。

【わータイム発生の仮説】

自転車をこぐ → 体が熱くなる → 以前、体が熱くなった経験を頭が思い出す → 頭は、嬉しかったときに体が熱くなった思い出よりも、恥ずかしかったことや情けなかったことの「負の思い出」で体が熱くなったことを強く覚えている → よって頭は、体が熱いぞ!よし、負の方を引っ張り出せ!となる → 嫌な思い出が頭上にどーん → ああ、あのとき、あんなことしなきゃよかった! → わーーー!!!

こういうからくりなんじゃないかと思います。違うかな。

子どもの頃は、割と田舎に住んでいたので、わータイムがやってきても、比較的自由にわーわー叫べました。しかし、今はあの時と比べるとやや人口密度高めのところに住んでいるので、わーの出しどころが難しくなっている。感情にまかせてわーを出して、すれ違った人にびっくりされたり睨まれたりしたことは、一度や二度じゃありません。

ただ、年齢を重ねると、わータイムがきても、ぐっとこらえてしまうことが増えてきました。当たり前ですね、40代のおじさんが自転車で立ちこぎしながらわーと叫んでいたら、だいぶヤバいですよね。

なので、最近は、わーじゃない、感情の逃がし方を覚えて、実践しています。

それは・・・


人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。

このチャールズ・チャップリンの言葉を思い出すことです。

わーとなりそうになったら、「いやいや、あれって、ロングショットで高いところから俯瞰したら、喜劇になるための要素じゃん」と自分に言い聞かせる。

どの「やっちゃった」の話も、自分の人生をひとつの物語とすれば、物語の起伏に必要な小さな悲劇。そして、もし今苦しいなら、それは、前に進むために必要なことだからしょうがない。未来に続く物語の中に、この苦しみの要素は織り込み済みだ、そう思おう。わーとなってもいい。なることがあって、当たり前。だって、それは、物語に必要なんだから。そう思うというテクニックを身につけました。

ちょっと話がそれますが、この起伏の話って、実はワインにもつながります。ワインの中の「いい香り」「爽やか」「飲みやすい」と感じる要素と「臭い」「苦い」「飲みにくい」と感じる要素、この両方がないと「とても美味しいワイン」とはならないと言われています。一見ネガティブな要素も含まれていて、はじめて「複雑な美味しさ」が成り立つ。なんて人生と似ているのさ、ワインって。

 

チャップリンが粋なのは、人生を「ただの物語」じゃなくて、「喜劇」に例えたことだと思います。

なーんだ、俯瞰したら、人生ってコメディなんだ。そう思えたら、いろんなことが重くなく感じられる。さすが、人生は楽しいということを教えてくれるエンターテイナーです。

さて、このコロナは、僕らにとって、間違いなくネガティブな出来事です。恥ずかしいとか、やっちまった、とかの種類の「わー」ではないのですが、じんわり、長い時間かけて冷や汗がでる種類の「ずっとそこにある、どんよりとしたピンチ」です。

でも、この出来事を、なんとか、起伏の「伏」だと捉えたい。このあと、必ず「起」が来て、結果、俯瞰したら喜劇になる。そう信じたいと思います。

そんなことを考えながら、今、ニュージーランドワイン専門のオンラインショップの開店準備を進めています。

申請していた酒販免許、取得できました。目下、商品リストづくりやクラウドファンディングの準備など、バタバタと色んな仕事を同時進行しています。

きっと、このショップでも、「わー」な出来事が起こることでしょう。でも、それも織り込み済み。喜劇の一部と思う、その気持ちを忘れずに行こうと思っています。

今週のワインとおつまみ

PEREGRINE
PINOT NOIR 2016
CENTRAL OTAGO
ペレグリン
ピノ・ノワール2016
セントラルオタゴ

PEREGRINE

フルーティーで華やか。雑味がなくてスイスイいけます。とても素直な味わいのピノ・ノワールです。素直じゃない気分のときに飲むと素直になれそう。

ペレグリン=ハヤブサという名前のこのワイナリーは、その名の通り、ハヤブサの翼をイメージした独創的な外観を持つワイナリー。絶滅危惧種である在来鳥類の保護に取り組んでいることの象徴でもあるとのこと。

僕が現地で実際にワイナリーを見たときは、でっかい現代アートか?と思うくらいのインパクトでした。ぱっと見、建物には見えないです。NZのワイナリーには珍しい、なかなかぶっとんだ設計だと思います。よかったらオフィシャルサイトの写真をご覧ください。

▶Peregrinewine公式サイト

ピノ・ノワールは、おつまみの守備範囲が広いワインとして知られます。魚=白ワインと思っている方も多いと思いますが、案外、赤の方が好相性な場合もあります。

たとえば、これ。

鯖寿司

鯖寿司です。光り物って、白ワインをあわせると生臭さが強調されてしまうことが多いです。だったら赤。でも、ボルドータイプのような濃いめのものは、魚の繊細な旨みを消してしまう。ならば、優しいブルゴーニュタイプ、つまりピノ・ノワールの赤ワインはどうだろう、と思ってあわせてみました。

結果・・・

めちゃくちゃ良かった!

酢じめした鯖の酸味と、ピノ・ノワールの酸味がうまいことマッチしてくれました。ほどよい油感+しょうゆは、やわらかいタンニンと結びついて、新しい美味しさとなりました。よかったら、鯖寿司+ピノ、試してみて。

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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当サイト「ニュージーランドワインラバーズ」は一般社団法人日本ソムリエ協会認定ソムリエで、飲食店「ボクモ」のオーナー岩須直紀が全記事を監修、一部執筆しているNZワインの専門サイトです。


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