「おそがい」気持ちを心に刻みます

ソムリエブログ

「自分の心の状態をうまく言い表す言葉が、なかなか見つからない」

僕はずっとそう思っていました。特に20代の頃。頭で考えていることと、言葉とが、一致しないと感じることばかりでした。

たとえば職場の先輩に向かって思わず口をついて出てきた、自分でもビックリするくらいの生意気な発言。凍るその場。

取り繕う言葉でさらに凍る。・・・思い返すと今でも身震いします。

優しい言葉をかけたいときもそうです。誰かに愛情を込めた言葉をかけたいタイミングで、決まって出てくるのはチープでシャローな違和感だらけの台詞。

「あーあ、軽薄なやつだよ、俺は」と、落ち込みます。

でも、30歳を過ぎてからは、毎日バーカウンターに立つ仕事を選んだこともあって、なんとなく、頭の中のことを違和感少なめで言葉に出来ることが増えてきました。

お客さんとの会話量のおかげで、すこしは鍛えられたのかも知れません。

ようやく、「あ、今、喋りたいことと、手持ちのカード(言葉のバリエーション)が一致している」という感触が持てるようになってきました。

そして今、40代半ば。

もちろん、思っていることの全てを言語化するなんて至難の業ですが、でも、「この感覚は、この言葉がぴったりだ」というマッチングが見つかることが、若い頃に比べるとだんだん増えてきました。

そんな経緯の僕の、今の気持ちは・・・

「おそがい」です。

この方言がぴったりきます。

「おそがい」は愛知や岐阜の方言「恐ろしい」「こわい」を指します(辞書によると、上総などでも使うみたいですね)。

しかし、僕の心は、単純な「恐ろしい」ではありません。

去年亡くなったうちのばあちゃんは、岐阜の山奥(福井県寄り)の農家だったのですが、僕が感じているのは、そのばあちゃんが使っていた「おそがい」です。それは、もうちょっと別のニュアンスを持ちます。

やーれ(あらまあ)、大根、こうもようけもろてよお(こんなにたくさん頂いて)、おそがいことじゃ(恐ろしいことです)。」

この「おそがい」、です。

わかりづらいですかね。そりゃそうですよね。

ではちょっと説明させてください。

「恐ろし(形容詞・シク活用)には、本来の「こわい」という意味からすこし離れて、甚大な」「並々でない」という意味があります。

例えば、僕らは「並々ではなく数が多い」ことを「恐ろしく数が多い」と言いますよね。これはきっと、物事が並外れて大きいことを、恐ろしいと感じたことが源になっている表現だと思います。

すなわち、ばあちゃんの台詞「おそがいことじゃ」は、単に恐ろしいことです、ということではなく、「恐ろしいと感じるほど並々でないご配慮をいただきました」というニュアンスになります。

これ、田舎の人の心の動きをよく表している言葉だと思います。

大根を作ると言うことは、畑を耕し、種をまき、水をやり、雑草を抜いて、肥料をやる。

そして、大きく、重くなったその大根を、よいしょと引っこ抜き、近所の仲良しの家の土間まで運んで、「食べてくりょう(食べてください)」と、言葉をかける。

もらった方も農家なので、その行程の大変さが想像できる。だから、その手間暇、厚意に対しての「畏怖」を感じる

「そんなことしてもらって、申し訳ない。恐ろしいほどのご厚意を感じていますよ。」

その気持ちが、おそがい、という表現には込められていると思うのです。

実際、ばあちゃんがこの言葉を使うときは、「最上級のありがとうの気持ちを込めて」使っていたと思います。

で、今の僕の心は、おそがい、です。

なにがおそがいって、これです。

クラファン完了

NZワイン専門店「ボクモワイン」のオープンに先駆けて実施したクラウドファンディング、昨日終了したのですが、なんと、目標の200万円を大きく超える275万8,600円のご支援を頂きました。ご支援者数は212名様

まじ、おそがいぜ!!

近所の人が大量の大根を持って来たときのばあちゃんの気持ちと、今の僕の気持ちは、たぶん同じだと思います。

このコロナ禍の中、みなさん、普通の生活を送っている人なんていないはずです。それぞれのポジションで、それぞれの生活を頑張って、この荒波を乗り越えようとしている。そんな中、僕らのプロジェクトに賛同してくださって、お金を出しても良いよ、と言ってくださる。

これって、とんでもないご厚意です。

なんとかお応えせねば!ご期待に沿わねば!!

だから、僕らはこれから、届いたNZワインが「いいじゃん」と言っていただけるよう、再点検せねば。

初めての大量発送ですが、無事に間違いなくすべての皆さんに届くよう、「おそがい気持ち」を心に刻んで、梱包・発送作業をしたいと思います。

ちょっとお時間いただきますが、しばしお待ちください。届く頃には、NZワインが本領発揮しはじめる季節=初夏が来ているはずです。きっと美味しく飲めるはず。

最後にもう一度、言わせてください。

たいへんおそがいことです!ありがとうございます!

今週のワインとおつまみ

OSAWA WINES
FLYING SHEEP
HAWKES BAY
ROSE 2015

大沢ワインズ
フライングシープ
ホークスベイ
ロゼ2015

フライングシープロゼ

日本人オーナー、大沢泰造さんのワイナリー、大沢ワインズ。このロゼは、NZでは珍しくイタリアのぶどう品種サンジョヴェーゼを使っています。

さくらんぼやいちごの良い香り+白いお花の香りで、なかなかお上品な印象です。

飲み口はすっきりドライ。アルコール度数13.5%とやや高めで、長めの余韻に心地よい渋みが伴います。

あわせたのは、これ。

岩須さんのペンネ

トマトソースペンネ。具はサバと玉ねぎ。

しまった!

辛口のロゼワインって、非常に守備範囲が広くて、前菜から魚、軽めのお肉までカバーできるのに、これまた白でも赤でも許容する広い心の持ち主の、トマトソースのペンネをペアに選んでしまった。

あうに決まってるじゃん。

ロゼには、エスニックとか、中華とか、あんまりワインにあわなそうなものを持って来て「意外にあっちゃった!」の方が驚きがあって良いのに。

今日は、波風が立たない、お人好し同士のペアリングと相成りました。

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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当サイト「ニュージーランドワインラバーズ」は一般社団法人日本ソムリエ協会認定ソムリエで、飲食店「ボクモ」のオーナー岩須直紀が全記事を監修、一部執筆しているNZワインの専門サイトです。


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