インタビューでスッキリ。人生のストーリー

 

皆さん、「自分の人生をちゃんと振り返る機会」って、ありますでしょうか。僕はまったくと言っていいほどありませんでした。

そう言えば、就職活動のときに、人生を振り返ったという話をよく聞きます。自分史をまとめて、自分が何者なのかを考えて、エントリーシートを書いたり、面接で話したり。この国は、学生から社会人の切り替わりで、一回は人生の棚卸しをするシステムがあるようですね。

しかし、僕はそのシステムの外におりました。就職活動をしなかった(し忘れた)のです。なので、社会人になる前に、自分について考えそびれてしまった。

あのとき、ちゃんとそれまでの人生を総括して、自分の軸って何だろうか、と考えて、次に進むべき道を考えていれば、こんなに行き当たりばったりの人生にならなかったかもしれないと思います。

やりたいなあと思い立ったのでラジオをやって、次に思い立って飲食をやって、また思い立ったのでワインショップをはじめちゃった。今や軸が3本という珍しい人となってしまいました。まあ、だいたい楽しい方向に進んでるからいいか(開き直り)。

そんな僕にも、最近、人生を振り返る機会が訪れました。それは取材です。

前にもこのブログで書きましたが、ボクモワインのオープンにあわせて、朝日新聞社さんに取材をしていただきました。

(ウェブ版にもアップされてました)

 

記者さんの素晴らしい質問力のおかげで、僕の中に雑然とあった出来事の数々が、徐々に時系列順に並び、そしてそれを、ひとつのストーリーに組み立ててもらった感じがしました。

これ、とてもスッキリする体験でした。

僕の人生の中にもともとあった点と点を、第三者である記者さんが上手に結んでくれた結果、ひとつのストーリーができる。それは、「毎日これでいいのかなあ」と思いながら進んでいく人生において、「あなたの人生って、こういう解釈が出来ますよ」と言ってもらった感じ。ああ、スッキリ。

あと、大げさかも知れませんが、「自分への意味付け」をしてもらったような感じもあります。

人間、自分のやってることに意味があることを知ると、とても勇気が出ます。自然と、未来にある点、そしてその点に結ばれる線がくっきりしてきます。線が天に向かってぴーんと伸びているイメージ。

具体的には、ボクモワインを皆さんに気に入っていただけるようなお店にすること(次の点)、そのためにする努力(次の線)、です。勇気を持って進んでいいんだ、という気持ちになります。改めて、取材していただいて、本当にありがたかったなと思います。

そして、先日、その朝日新聞の記事を見たという方から、取材の申し込みがありました。なんと、共同通信社さん。それに続いて、サカエ経済新聞さん。いやあ、ありがたいです。ちなみに、全員女性記者さん。

2回目、3回目ともなると、12年前になぜボクモという店を作ったのか、それからどのようにして、ニュージーランドワインにハマっていき、専門店を開くことに繋がっていくのか、それがすんなりと説明できるようになってきました。散らばった点の説明をするのではなく、今度は、もう線になっているストーリーをお話しする感じです。

これからの方向性についても、前よりもスイスイお話しすることができました。

まあ、でもね、ぜったいにその方向に進まなきゃ、ということでもなくて、なんか違うなと思ったら、線をほどいて、前にピックアップした点とは別の点から、また別の線を結べば良いのかな、とも思っていますが。

これをご覧の方で、これから先、どのように進めば良いか迷っている方、いますでしょうか。もしいたら、誰かを捕まえて、自分の「点」を話して、「線」にしてもらったらいいんじゃないかと思います。

学生時代に何をしていたか。どのように仕事を選んで、どのようにその仕事をやってきたのか。そして、今後、どう頑張りたいのか。何を大事にしたいか。

そんなシンプルなストーリーでさえ、当事者の自分だと、認識できなかったりするものです。客観視って、なかなか難しいですもんね。

話す人が誰もいないよ、ということであれば、よかったらボクモのワインカウンターへお越しくださいな。記者さんほどの素敵な結び方はできないですが、不肖岩須のおぼつかない手つきでよければ、線を結び、ひとつの解釈をしたいと思います。火・土以外が良いかなと思います(結局宣伝かよ)。

ちなみに、共同通信社さんの記事は、いつ配信されるかはわかりません。

記者さん曰く、「大きな出来事が起きると、ボクモワインさんの記事が埋もれてしまうので、あまり何もない時期にリリースしますね」とのこと。優しい。ありがたい。たぶんオリンピックが終わってからだろうな。

サカエ経済新聞さんも、現在、記事作成中とのこと。

どんな解釈をしていただいているのか、楽しみにしてよっと。

今週のワインとおつまみ

MAHI MARLBOROUGH PINOT NOIR 2018

マヒ マールボロ ピノ・ノワール2018

マヒ マールボロ ピノ・ノワール2018

本気で大好きなワインです。いちばん好きなNZワインは何ですか?と聞かれたら、たぶん最初にこのワインを紹介します。

マヒのワイナリーを訪れたときに、オーナーのブライアン・ビックネルさんの優しい人柄、真摯にワインに向かう姿に触れ、感動しました。

ぶどうはバイオダイナミック農法で栽培。醸造施設はステンレスタンクで完全に温度管理されていて、自然に敬意を払い、その上で技術を尽くして良いワインをつくっていると感じました。

この2018のピノは、野性味溢れる2017とは打って変わってエレガント系です。しかし、その中に重層的な旨みの複雑さが貫かれていて、香りと、味で、思わず笑顔になってしまいます。

おつまみの守備範囲はだいぶ広いと思いますが、今回は、あえてなにも食べませんでした。

「NZに行けるようになったら再訪したいな。行ったら何を話そうかな。」この空想がおつまみ。ゆっくり、しみじみ、味わいました。

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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