「かわいい」の基準って?

ソムリエブログ

先日、ショックなことがありました。

それは、自分の「かわいい」の基準が、若い女性の「かわいい」と、あまりにもズレていたことです。

いや、さすがに、若い女性が「かわいい」って言ってるものを、理解することが難しい年頃のおじさんになった自覚はあります。そこで無理して「うんうん、おじさんもわかるよ、かわいいよね」って言わない方がいいってのも知ってます。

(先日、テレビに出てる若手の女優さんを、娘が「かわいい」と言っていたので、僕も「かわいいね」と言ったら、「キモ」と言われました。まあ、そういうことですよね。)

でも、女優さんとか、流行りものに関してはそうであっても、得意分野の「ワイン」ならばちょっとは自信がありました。「ワイン女子」と「ワインおじさん」の、「“かわいい”のベン図の重なり」は、あるもんだと思っていました。

なんせ、これまで、ボクモ(飲食店)で、実に様々なワインを扱ってきたので。その中で、若めの女性にお出ししたときに、「かわいい!」って言っていただけるワインって、こういう傾向ね、と掴んでいるはずでした。

たとえば、こんなデザインのシャンパーニュ。

シャンパーニュなのに気取ってない。3人のおばさまの体型と表情がなんかいい感じ。こういうのは、若い女性とおじさんが、ともに「かわいい判定」できるワインだと思います。

ただね、NZワインには、こういうデザインのワインってまだ少ないんですよね。どちらかというと、アルファベットを並べた「情報が理解しやすい」ラベルのものが多い。デザインはまだこれから発展の余地ありだなあと思っています。

だから「ボクモワイン」では、かわいいと言ってもらえそうなNZワインが出てきたら、積極的にラインナップに採用しようと思っていました(もちろん中身が美味しいのは当たり前の前提)。

で、ある日、お付き合いのあるインポーターさんからこんな連絡が。

「岩須さん、今度、けっこうかわいい感じのNZワイン、 限定リリースしますよ。」

「ほんとですか。(カタログ見て)たしかにかわいい!こういうの、欲しかったんですよ。」

と、二つ返事で、まずはボクモ用に注文しました。

そしてボクモのカウンターにいらっしゃった、2人のワイン女子にお出ししてみました(まだ営業休止前のときです)。

「じゃーん!女子ウケしそうな、かわいいNZワイン、入荷しました~~~!」

Nさん「へえ・・・(明らかな困惑顔)」

Tさん「あの、それ・・・かわいいというか、変わってますね。」

僕「がーーーん!」

・・・ショック!!

僕のかわいいの価値観、思いっきりズレとるやないかい!

イラストのラベルのかわいさは、おじさんでもかわいいと分かる、イージー問題です。

しかし、今回は、おじさんにはめっちゃ難しい「かわいい」の問題でした。

そんな難問だったワインがこちらです。

ロストガーデン3本

このワインを見た、僕の思考回路は、こうです。

おお!このボトルの形は、ちょっと前にロゼワイン界に大旋風を巻き起こした、南フランス・プロヴァンスの「ミラヴァル」みたいだ!

 

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あのワイナリーは、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー、それから当地の名醸造家マルク・ペランの共同プロジェクトで、イケてるワインの象徴的なロゼだったなあ!(その後ブラピとアンジー別れちゃったけど)

そうそう、この手のワイン、ヨーロッパやアメリカのミレニアル世代の女性が、テラス席でおしゃれに飲んで、SNSに投稿して、人気に火がついたんだった!

NZワインでこのボトルは今までなかったぞ!これは、ミレニアル女子にぴったりな、映えワインの登場だ!!

つまり「海外の若い女性にウケた」=「このボトルはかわいいものである」

・・・としてしまった。

かわいいを、感情じゃなくて、記号として捉えてしまっていることが露呈してしまったわけですな。

そもそも自分のかわいいセンサーなんて、ないも同然なのに、カウンターで「じゃーん!」とか言って、かわいい市場について分かっている顔をしていたと思うと、たいへん恥ずかしいです。

かろうじて、NさんとTさんから、素直な「別にかわいいとは思わない」の反応をいただいて、ハッと、自分のズレっぷりに気づいたのでした。

いかんいかん。例え得意ジャンルのワインであっても、かわいいの理解は難しい。ここは、かわいいワインを紹介したい気持ち、いったん置いておこう。

やっぱり、ワインは中身で勝負しないとね。

ぐるっとまわってソムリエの原点に立ち返りました。

ちゃんとワインの成り立ち、香り、味わいの説明をして、ペアリングの提案をすべきです。

と言うことで・・・・

今週のワイン

ロストガーデン3本

新しく入荷したこの3本をきちんと紹介したいと思います!

ワイナリーは、NZ北島のホークス・ベイにある「トリニティ・ヒル」。

NZは、ソーヴィニヨン・ブランピノ・ノワールのように「わりと軽やか」なイメージが強いですが、このワイナリーの特徴は、ボルドーや南仏のような「力強い味わい」の先駆者であるということ。少数ですが、パワフル系ワインが得意なワイナリーもちゃんとあるんです。

このトリニティ・ヒル、上級ワインともなると、超濃厚、ずっしり派。好きな人にはたまらない味わいです。

ですが、そればかりではちょっと疲れる。日常的にすいすい飲めるワインも作りたい。そんなコンセプトの元に生まれた新シリーズが、この「ロスト・ガーデン」。実際にワイナリーの中にある庭からその名前を取ったそうです。

力強さは残しつつ(特にシャルドネシラー)、飲みやすさも追求したラインナップです。特にロゼはスイスイ系の仕上がりです。まさに、お庭で開催するような、カジュアルなワイン会にこんなワインがあったらいいな、と思いました。

では、1本ずつ、味わいとペアリング例をご紹介。

「個性派ボトル、新登場!!!」

トリニティヒル シャルドネ

トリニティヒル ロスト ガーデン ホークス・ベイ シャルドネ 2019

  • 香りのヒント:ドライハーブ、アーモンド、あんず
  • やや辛口
  • 酸味=中程度(それほど鋭くない)

2021新商品。温暖な気候を活かしたコクの強い味わいが特徴のシャルドネ。ハーブの風味とドライな後味が印象的。

コクの強いシャルドネは、ローストポークなどの豚肉料理がぴったり。フィッシュ&チップスのような揚げ物とも好相性ですよ。

ローストポーク

フィッシュアンドチップス

「可愛いのにドライ ツンデレロゼ」

トリニティヒル ロゼ

トリニティヒル ロスト ガーデン ホークス・ベイ ロゼ 201

  • 香りのヒント:いちご、ライム、ドライハーブ
  • やや辛口
  • 酸味=中程度
  • 渋み=優しい

美しいサーモンピンクのロゼ。本場南仏のロゼを思わせるライトな仕上がりで、ほどよい酸味と苦みが心地よい。非常にドライで、食事にあわせやすいです。しっかり冷やして飲みたいですね。

シチュエーション的には・・・ぜひピクニックなどのお出かけに持って行きたいですね。サンドイッチやハンバーガー、バインミーなどにとてもよくあいます。

クラブハウスサンド

バインミー

「このボトルデザインのシラーは珍しい」

トリニティヒル シラー

トリニティヒル ロスト ガーデン ホークス・ベイ シラー 2019

  • 香りのヒント:プルーン、胡椒 、リコリス
  • 酸味=控えめ
  • 渋み=中程度
  • 重さ=中程度

この形のボトルに入ったシラーは世界にほとんど類を見ないと思います!

色は濃いめですがタンニンはまろやかで、バランスの取れた味わい。シラーならではのスパイス感も味わえます。ほんの少し冷やすと口当たりがよいと思います。

あわせるおつまみは・・・焼いた肉料理がばっちりでしょう。BBQに1本欲しいワインですね。トンポーローやピリ辛のチリビーンズやなどにもあいます。

BBQ

とまあ、こんな感じです。

季節で言えば、ロゼは夏にぴったり、シャルドネは秋、シラーは冬にぴったりかな、なんて思いました。

それほどフルーティー過ぎず、食事に寄り添うタイプの3本、限定10セットのみの入荷ですので、よかったら。

でもなあ、僕的にはやっぱり、このビジュアル、ちょっとかわいいと思っちゃうんだよなあ。ズレを認識した上でのかわいい、なので、許して欲しい気持ちもあります。

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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