ワインの店の風物詩

ソムリエブログ

日本ってこんなに秋が短かったっけ?と思う今日この頃。

夏みたいな日が続いたと思ったら、急に冷え込むし、秋刀魚は高級魚になっちゃった。

なんだか、秋が、自分が思い描く「秋像」と違ってきたなあと感じます。

ところで、我々のような「ソムリエがいるワインの店」にとって、秋の大事な風物詩って何かご存じでしょうか?

ボージョレ・ヌーヴォー?

ノンノン、あれは11月3週目の木曜日が解禁なので、もうほとんど冬のイベントです。

秋といえば、そう、「ソムリエ/ワインエキスパートの二次試験」です。

そう、と言われても知らんがな、という声があちこちから聞こえてきそうですが、でもこれ、日本のワインの世界では、まあまあ大きな季節イベントでして。

ちょっとこの試験について説明しますと(知ってる方は飛ばしてください)、まず、日本ソムリエ協会の「ソムリエ」の認定試験は、飲食やお酒の流通などで働いている人向けの試験(3年以上勤務などの条件あり)で、「ワインエキスパート」は、誰でも受験資格がある試験です。ともに、世界中のワインの知識、味の表現について出題されます。ソムリエはサービスの実技もあります。

一次試験は、どちらの資格も同じ。分厚い電話帳みたいな教本の中から選択問題が出題されます。暗記力がけっこう必要です。

で、その暗記の一次を突破した方が受けるのが二次試験。テイスティングの試験です。

ワインエキスパートは、ワイン4問+その他のお酒1問で、これに受かれば合格。

ソムリエは、ワイン3問+その他のお酒2問。そしてそのとき行う「論述試験」のポイントと、さらに後日行われる、三次試験のサービス実技のポイントの合計で合否が決まります。

つまりです。ワインの世界で「二次試験」というと、「テイスティングの試験」を指すわけです。これがだいたい毎年10月なので、秋の風物詩となっているのです。

(読み飛ばしここまで)

なぜ大事か

では、なぜこの試験が「ソムリエがいるワインの店」にとって大事なのか。

それは、「テイスティングの練習できますか?」と受験生が、毎年店にいらっしゃるから。

僕がソムリエ試験に合格したのは8年前。それ以降は、毎年必ず、10月の二次試験の前に「ブラインドテイスティング(情報なしでワインの特徴などを言い当てること)をやってください」とか、「試験に出そうなもの、飲ませてください」とか、そういうご要望の方が店にいらっしゃいます。

この「受験生の来店」が、僕はとても大事だと思っているのです。

僕が受験生のときは、ソムリエの先輩方のお店にお邪魔して鍛えていただき、その経験のおかげで合格することができました。だから、今度は、僕もそれをやらなきゃ。もらったワインのバトン、ちゃんと次の方に渡さなきゃ。

試験に合格することで、ワインの世界がぜんぶ分かるようになるわけではないですが、少なくとも、試験勉強をすることで、ベーシックなワインの知識は得られると思います。あと、「香りや味をどう表現すればいいかな」って考えるのは、おそらく普通の教育を受けてきた日本人はまったく取り組んだことのない課題だと思うので、それにトライするだけでも、なかなか面白いんじゃないかと思います。

なので、僕が練習にお付き合いすることで、「ワインを知的に楽しむ人」や「ワインの魅力を伝える人」が増えることに、ちょびっとでも貢献できたらいいなと思って、毎年この時期になると、試験対策用にちょっといいワインを仕入れたりして、手ぐすね引いて受験生を待っています。

しかし、去年と今年は、コロナ禍。そもそも人を集める必要がある二次試験がちゃんとできるのかなと思ったのですが、去年も今年も予定通り、実施されました。ソムリエ協会の方々は、きっと本番までに相当ご苦労されたのではないかと思います。

ただ、去年は、感染対策のために、ソムリエ試験もワインエキスパート試験も「吐き出しちゃダメ」というルールがあったようです。これは、お酒に弱い人、またアルコールが入るとセンサーが鈍りやすい人、はちょっと不利だったかもしれないですね。仕方ないことですが。

また今年は、ソムリエ試験のある会場で「順番を間違えて出す」という出題ミスがあったようで、ミスがあった「その他のお酒の2種類」は、「受験者全員が正解の扱い」になるそうです(というか、これって無効問題ってことですね)。

つまり、ワイン3問だけの勝負。これはコロナとは無関係でしょうが、図らずも、例年とはだいぶ違う試験になってしまいました。

はたして今年は

今年、ボクモは9月いっぱいまで休業していて、10/1〜時短営業で再開したわけですが、はたして、受験生の来店があるのかなあ、今年はないのかもなあと思っていました。

ふたを開けてみれば、5人の受験生の方に来ていただき(予想より多かった!)、テイスティングの練習をしていただきました。なんとか、ワインバトンの受け渡し、できたのかな。

びっくりしたのは、そのうちのひとりは、Tさんという大常連さんだったこと。ワインとはまったく関係ないお仕事をされているのですが、ワインが大好きで、普段からいろいろなワインを飲んでいただいていたのですが、まさか内緒でワインエキスパートの一次試験を受けているとは!そして難なく突破しているとは!おそるべし。。。

そして、練習のご来店もありがたかったのですが、さらにありがたかったのが、試験当日10/18(月)。

試験終わりの方が、開店直後に3人も来店してくださって、カウンターで3人並んで、感想戦を繰り広げるという面白い光景を見ることができました。しかも、その3人の方は、面識なし(うちひとりは大常連Tさん)!でも、同じ試験を戦った同士、みたいな感じで、「まさかフランスが二つ出るとはねえ」とか「テンプラニーリョってあんなに薄いんでしたっけ?」とか、試験の緊張感からの解放も相まって、だいぶ盛り上がっておりました。

ちなみに、ソムリエの去年の合格率は、37.9%。ワインエキスパートは、43.3%。だいたい4割の確率ってところですね。

二次試験の合格発表は、10/27(水)。このブログ掲載の翌日です。

吉報だと嬉しいですが、もしダメでも、来年は一次試験免除の方が多いと思いますので、諦めずにチャレンジしましょうね。また、よろこんで練習にお付き合いいたしますので!

今週のペアリング提案

「ニュージーランド産ビーフ ハラミの串焼き」

休業明けの新メニュー。毎日よく出ております。

しょうゆ麹で漬け込んだハラミを焼いて、最後に中東発祥のスパイス「デュカ」をぱらり。しょうゆとお肉とスパイスがお口の中で一体となって幸せへと連れて行ってくれます。

料理 ハラミの串焼き

あわせたいのは、こちらのワイン。

「ヴィラマリア プライベートビン メルロー / マルベック / カベルネ・ソーヴィニヨン 2019」

ヴィラマリア メルローマルベックブレンド

ヴィラマリアは、NZのワイナリーの中ではかなりの大手です。品質も安定していて、値段も手頃。普段の食卓にNZワインを、という方にはもってこいな銘柄と言えます。

このワインは、ちょっと濃いめのボルドーブレンド。ひとつ前の2018のヴィンテージとは変わって、今年入ってきたこの2019から、「マルベック」が主要品種に加わっています。

マルベックは、濃いめの色が出る品種で、渋みもしっかり。黒系ベリーのフルーツの味わいも乗ってくることが多いのですが、まさにこのワインも、しっかり濃い色ながら、フルーティーさもある赤ワインとなっています。

「濃くてリーズナブルな赤ワインを見つけるのが難しい」NZワインの中で、このワインの存在は貴重だと思います。

濃いめのボルドータイプのワインは、しょうゆ+お肉にばっちりあいます。日本人にとっていちばん分かりやすいワインと食事のペアかなと思います。いちどお試しあれ。

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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