50万円の罰金!?

ソムリエブログ

飲食店は、自由な仕事。

そう思っていました。

保健所や消防署との約束をクリアすれば、あとは個人の考えでだいたい自由にやれる。縮こまらずに、のびのびと、自分の個性を発揮できる。

日本は海外に比べて飲食店を開業するためのハードルが低くて、そのおかげでいろんな人が飲食にチャレンジしやすい。結果、業態も価格帯もバリエーションが豊富になる。それが自由闊達な雰囲気を作っているし、町を楽しくしている。もちろん、食中毒を出せば営業停止になるけれど、その他の理由で、公から営業をやめなさいと言われることはほとんどない。そう思ってました。

だから、今回のコロナでも、「愛知県からの営業自粛要請」を、僕はこう考えていました。

「わかりました、要請ですね。色んな情報を自分なりに精査して、その要請に従うかどうか考えますね。そのへんは自由ですもんね。」

と。

バカでした。

たしかに自由です。要請に従わなくても、罰則はない。

でも、あとから知ることになるのですが、「要請に従わないヤツは、実質、罰金50万円ね」だった。それを知ってたら当然従いますよ、そりゃあね。

現在、愛知県は一定の要件を満たした事業者むけに「新型コロナウイルス感染症対策協力金」の申請を受け付けています(6月末頃まで)。協力したことが証明できたら50万円もらえるっていうやつです。今、僕は申請の手続きをしています。

問題となるのは、協力金をもらうための要件です。僕はウェブサイトでこれを見て、背中に冷や汗をツーとかきました。

4番目の項目にこうあります。

「休業要請期間「4月17日(金曜日)~5月6日(水曜日)」の全日において、休業又は営業時間短縮したこと」

まじかーーーー!

ツーーーーー

あわてて、ボクモとロックモの営業カレンダーをチェックします。いつだった?うちが飲食営業を休んだのはいつからだった!!????

えーっと・・・

4月18日(土)からじゃん!
50万円、もらえない!

ツーーーーー

そうか・・・これは、罰金みたいなもんなんだ。県の要請にただちに従わなかった人にはお金を払わない。横に並ぶ善人と比べるとマイナス50万円。従わないお前が悪い。そういうことなのね。

でも、まてよ。ちょっと冷静になろう。

なぜ僕は18日(土)から休業にしたんだっけ。時系列を整理してみよう。

4月16日(木曜日)

緊急事態宣言が全国に拡大。愛知県が「特定警戒都道府県」に指定される
↓↓↓
ここで愛知県は飲食店に対して「休業もしくは時間短縮の要請」を出した。

らしい。そう、この時点で僕は知らなかった!

4月20日(月曜日)

4/10に出された「愛知県緊急事態措置」が変更され、愛知県のウェブサイトが更新された。

そこには…

「感染リスクが高く、感染拡大の原因となる可能性の高い施設等に対し、4月17日(金)から5月6日(水)までの20日間、休業等の協力要請を行う。」の要項が追加された。

つまり、20日になってから「17日から休んでねって言ってたからね」と明文化されたわけです。

ところで、緊急事態宣言の対象が全国となった16日(木曜日)、僕は何をやっていたのか。

カレンダーを見て思い返します。

そうだ、昼間は、期限付酒類販売免許に添付する書類のために、クルマに乗って愛知県の県税事務所へ行き、そのあと名古屋市の市税事務所に行った。クルマを自宅に置いてから自転車で出勤。店頭でのワイン販売のための準備を夜中までやった。終日テレビを見なかったと思うし、愛知県のウェブをチェックすることもなかった。

で、どうやら、この日、愛知県が「飲食店に対しての17日からの休業要請」を出したんです。僕が、緊急事態宣言が出たからなんとかしなきゃ、と思ったのは翌17日金曜日。だから、その17日はとりあえず少しでもお客さまを受入れて、在庫を減らして、18日から休もうと思いました。

そして、5月に入ってから。愛知県のウェブサイトで「4月17日から5月6日に休業要請を出したって言ってましたよ」が明文化されているのを知りました。そして、さらにその後(現在)、「17日から休んでいなかったら、50万円はナシ」という事実を知ったのです。

まじか。

だったらさあ。最初から、「この要件を満たす事業者には、50万円協力金を払いますから、4月17日~5月6日まで休業してください」とは言えなかったのだろうか・・・。

たまたまそのアナウンスを1日見過ごしていた僕みたいなやつは、50万円もらえない。つまり、「見過ごし罪」で「本来もらえるはずの50万円がもらえない」=「50万円の罰金」と同じじゃないか!!!

落ち込みました。

だってね。飲食店というのは、さっきもちらっと言いましたが、必ず在庫を持っているんですよ。急に営業をやめると、そこまでに準備している在庫が不良在庫になり、廃棄ロスになる。これは経営をたいへん圧迫します。だから、僕らは長期休暇に入る前は、必ず在庫調整をして、大半の商品が売り切れになるように計算します。

今回の状況の中で営業することは、もちろん、そろそろヤバいと思っていたし、そもそもお客さんもほとんど来ないから、それほど大量の在庫は抱えていませんでした。でも、在庫調整期間は必要。生ビールもある。グラスワイン用にワインも開栓している。だから僕らは17日は一応営業して(いらっしゃったのは2人だけでしたが、よく食べて飲んでいただいたので、とてもありがたかった)、18日から飲食営業はやめ、お弁当&ワイン販売営業に切り替えました。

そしたら、50万の損失・・・。

50万じゃ全然足りないけど、それでもあるとないじゃ、違うよな・・・。

うなだれつつ、その後に書いてある但し書きに目を移しました。

「4月17日(金曜日)は準備・調整等の必要性を踏まえ、営業実績があっても構いません。」

え!!!!
まじ!?
17日、やっててもOKなの!

50まんえーーーーん!
ボクモ&ロックモ2店舗で100まんえーーーーん!

ちょっとだけど、助かるーーー!

さらによく読んだ。

1事業者あたり、対象事業所・店舗が複数あっても1回のみの申請になります

・・・・
50まんえーーーん。

なんだか、ジェットコースターのように、落ち込んだり喜んだり。

・・・・いや、喜んでいる場合ではないのだ。

とりあえず、17日の営業は、ぎりぎり大丈夫扱い。これには心底ホッとしました。愛知県の職員さんに「飲食店は在庫を抱えてて大変だ」と想像力を働かせることができる人がいるんだ。きっとその人は、実家が飲食業をやっていて、お父さんがお盆休みの前に在庫調整を苦労しているのを見てきたんだ。偉いぞ、その観察力をここで生かしたあなた。「17日はオッケーにしましょうよ」と会議で発言した飲食店の息子のあなた。グラスワイン1杯おごりたいぞ。あなたが愛知県にいてよかった!

ふう、なんかちょっと疲れ気味ですかね。

この一件以来、僕は、国や愛知県が発表する「要請」関係のことには、非常に神経質になっています。

もう、用事がなくても、内閣官房のウェブ、愛知県のウェブ、名古屋市のウェブ、巡回しちゃう。確認しそびれて罰を食らわないか、びくびくしながら、新しい発表がないかチェックしています。

はて、そんなことやっている飲食店の僕、自由なんだろうか。のびのび、どこ行った(笑)

この記事の筆者

NZワインラバーズ編集部

岩須 直紀
ラジオ番組の構成作家(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。「ボクモ」と「ロックモ」を経営。
ニュージーランドワインが大好きなソムリエ。
毎月ジュンク堂名古屋栄店でワイン講師やってます。
ボクモ(BOKUMO)
ロックモ(ROCKMO)
Facebook

他の人にも教える!

ストップ! 20歳未満飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。のんだあとはリサイクル。