話題のスニーカー、オールバーズで「意識高め」を「意識」

 

 

1つのことを続けていると、「あなたと言えばこれでしょ」と、言われることが増えてきます。

ここ数年、僕は、自分のお店やSNS、このブログなどで、「ニュージーランドワイン」と言い続けています。ありがたいことに、それを見て「NZのワイン飲みに来たよ」「NZのラムチョップ食べに来たよ」という方がじわじわ増えてきました(コロナの前までは。涙)。

あと、NZワインを扱う業者さんから「うちのワインどう?」みたいなプレゼンも、けっこういただくようになってきました。これもありがたい。いいワインが増えれば増えるほど、お客さんの楽しみも増えるし、お店の奥行きもどんどん深くなります。良いことだらけ。これをご覧の業者さん、良い物があればぜひプレゼンしてください。

そんな折、東京でラジオディレクターをやっている知人が、「知ってます?最近、ニュージーランド関係で流行ってるこれ」とドヤ顔で紹介してくれたのが、このスニーカー。

 
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「オールバーズ(ALLBIRDS)」と言います。

▶オールバーズ公式オンラインストア

「こないだ番組で取材したんですけど、そのとき、あ、これは岩須さん案件だなと思ったんですよね。」と、その靴を履いて来店してくれました。

うう、ぜんぜん知らなかった。ワイン以外のニュージーランド情報に弱い僕が露呈・・・。

でも、嬉しい。僕=ニュージーランドの新しいものを欲しがってる、と認識してくれていたことが、素直に嬉しかったです。「馬鹿のひとつ覚え」って、ふたつめを補強してもらえることもあるんだな。

彼に聞き、自分でも調べたその靴「オールバーズ」の特徴は、こんな感じです。

  • ニュージーランドの特産品である「最高級のメリノウール」を使った、まったく新しいスニーカー。2016年創業、世界でファン拡大中。
  • 創業者の一人はニュージーランド出身の元プロサッカー選手。選手時代、ロゴ入りのシューズばかり履いていたが、もっとシンプルなデザインが良いと思っていた。故郷NZのメリノウールを使ったシンプルなスニーカーが作りたかった。
  • もうひとりの創業者はバイオテクノロジーの専門家。靴づくりに「カーボン・ニュートラル」の考えを取り入れ、先進的な環境配慮を売りにしている。
  • ニュージーランドのブランドではなく、アメリカはサンフランシスコ発。環境問題を意識した製品作りがシリコンバレーの知識層に大ウケ。
  • タイム誌が「世界で最も快適な靴」と評するなど、履き心地も非常に優れていると宣伝されている。
  • 4日間のクラウドファンディングで1000万円以上を調達。その後、投資家から50億円以上を調達(すご)。レオナルド・ディカプリオもこの会社に出資している。
  • 世界15店舗目となる日本一号店が、2020年1月に東京・原宿にオープン。

なるほど、ラジオディレクターがパクッと行きたくなるわけだ。僕がディレクターでもきっと取材したくなる要素だらけです。

特徴の中で、僕が最も気になったのは

最高級のメリノウールを使ったスニーカーである

という点。

スニーカーでウールというのは、ちょっとイメージができませんでした。

原料となっている「メリノウール」について、調べてみると・・・

メリノ種の羊毛は、他の羊毛に比べ、縮れが強い高級品。羊毛同士が絡みやすく、保温性があるのに、通気性が良い。さらに肌触りも心地よくて、防臭力もあるという、非常に優れた特徴を持った素材。

このオールバーズが使用しているメリノウールは、人間の髪の毛の1/5の細さとかなり細い羊毛なので、軽くて柔らかい。チクチクすることもまったくない、とのこと。

おお、よさげ。僕は、世の中の流れには鈍感ですが、困ったことに肌だけは敏感で、身につけるものの肌ストレスを気にするタイプ。なので、この「軽い、柔らかい、チクチクしない」はかなりプラスの印象。

よし、試してみよう。

で、紹介してもらった翌日、ネットでポチッとしました。 届いたのがこれ。

Allbirds Wool Runner-up Mizzles(オールバーズ ウール ランナーアップ ミズル)

Allbirds Wool Runner-up Mizzles(オールバーズ ウール ランナーアップ ミズル)

買ったのが11月と言うことで、冬に活躍しそうなものを選びました。

非常にシンプルなデザインです。

ロゴはソールの後ろ側に控えめに。

Allbirds Wool Runner-up Mizzles(オールバーズ ウール ランナーアップ ミズル)

アッパー素材は、メリノウール。たしかに肌触りがよい。これなら裸足でも履けるなという印象。エコパスポート認証(OEKO-TEX®)のフッ素不使用撥水コーティングだそう。環境負担を減らす取り組みあり。

靴底(ソール)は・・・なになに・・・カーボンネガティブグリーンEVAで作られたSweetFoam™と、FSC®認定の天然ゴムを組み合わせて作られている、と。なるほど、これも環境配慮仕様ね。

中敷き(インソール)は、ヒマシ油とメリノウールで作ったと。ヒマシ油は石油を使う場合と比べてCO2排出量が少ないらしい。

靴ひもは、100%再生ポリエステル。ペットボトル1本で靴ひも2本をつくるそうな。

「満足できない場合は30日後まで返品可能」というのも、自信をうかがわせます。

サイズ感は、普段25.5cmを履いているのですが、1cm刻みしかなかったので、26cmをオーダー。結果、ぴったりでした。

丸2週間、履いてみました。

結果は、大満足。

「世界で最も快適な靴」と表したタイム誌には、世界中の靴を試したことがあるんかい、とつっこみたくなりますが、実際、履いてみると、まあ非常に心地よいです。

前評判通り、軽く、柔らかく、肌ストレスなしです。クッション性もいい。そして、だいぶ暖かい感じがします。気温が高い日が何日かあったのですが、保温性が高すぎて足が暑くなる感じるということもない。きっと通気性も良いんでしょう。

ただ、撥水性に関しては、触れ込み通りではないかも。ふつうに想像できることですが、やっぱりウールなので、ある程度濡れると、水分が染みこんできます。でも不思議と「足がぐずぐずに蒸れている」という感覚は少なく、普通のスニーカーよりも空気が通っている感覚があるので、とても気持ち悪いという感じはしない。

まあ、少々の雨ならば、これでも大丈夫かなというのが僕の感想です。雨が本降りのときは、おとなしく雨用の靴を履きます。

あと、機能性以外に、ちょっとした発見がありました。

それは、履いている僕の「気分の変化」です。

先述したとおり、このオールバーズは、使っている素材がいちいち環境配慮をうたっています。

正直に言って、これまでの僕は、エコロジーの活動や最近よく耳にするSDGsなどにはあまり前のめりになることはありませんでした。

「自分だって地球に参加している人間なんだし、やんなきゃ」の意識はあるものの、どうしても、意識の高い人たちみたいにズンズンとそっち方面に突き進むのはちょっと・・・と思ってしまう。正直、引いちゃう部分がありました。

でも、これを毎日履くと、意外にも、「あ、今から、意識高めの靴を履くんだ」という「意識」がすこし出てくる。毎日触れるものが、環境配慮型のグッズであると、否応なしにちょっと「意識」が紛れ込んでくるのです。これは新鮮です。

まあ、実際の生活の中で、急に環境配慮型の人間になれるかというと、そんなことはないのですが、なんとなく、この靴が「1日に1回環境配慮を思い出す」スイッチにはなってる気がします。

例えば、エコバッグは多めの買い物に備えて2個持っておく、とか、買い物のとき、選択肢の中にフェアトレードのマークのものがあったらそっちにしてみよう、みたいな。ごくごくちっこい意識が芽生えました。

ただ、いまだにガソリン車に乗ってるし、エアコンもよく使う。僕の靴一足くらいの選択だけを見ると、地球規模ではほぼ意味はないでしょうし、「きれいごと」で片付けられるレベルの話だっていうのも理解しています。ま、でも、意識をちょっとだけボトムアップしてもらったのは悪くないです。ほぼゼロ→1は、僕にとってはまあまあの進歩かなと思います。

 

最後に、ちょっとワインの話に戻ります。

実は、多くのニュージーランドワインには、このマークが付いています。

NZWS

これはサステイナブル(持続可能:環境配慮)な取り組みをしているワイナリーであることの証明です。ニュージーランドの生産団体が1997年につくった認証システムで、日本に入ってきているニュージーランドワインにはかなりの確率でこのマークが印刷されています。

ワイナリーが「地球環境に配慮した会社である必要がある」と言い出してから、もう20年以上たっている国って、けっこう凄いと思います。ワインづくりを自然との共生の中で行うことが、国全体のムードになっている。やっぱり進んでるなと思います。

ちなみに、サステイナブルの認証を受けているぶどう畑は全体の96%。こんな国って、たぶん他にないと思います。

今後は、僕の店でも、ニュージーランドワインのこの面をちょっとプッシュしたいな、なんて思っています。

オールバーズを履くことで、あんまり意識の高くなかった僕が、ちょっとは意識を高く持つことを意識するようになった。

それと同じように、ニュージーランドワインを飲むことで、ちょっとだけ、地球の環境を守る活動に参加していて、それを意識するきっかけになるかなと。

どうせ飲むなら、環境に配慮をした製法のワインでしょ、という人が増えれば、環境にとって良くないことをしている会社が襟を正すきっかけになる・・・まあ、相当時間はかかると思いますが、やらないよりやった方がいいんじゃないかなと思っています。

(詳しくは、こちらの解説ページをご覧くださいませ。▶サステイナブル・ワイングローイング・ニュージーランド

ただ、このオールバーズのスニーカーを買って、困ったこともあります。

買う前に、けっこうネットで調べてから買ったので、最近、ウェブを見るたびにオールバーズの広告ばかり表示されます。

オールバードラインナップ02

もうね、出資者でもあり広告塔でもあるレオナルド・ディカプリオ、出まくり。気に入った商品であっても、毎回出てくるのは鬱陶しいですね・・・。

もう買ったというのに、僕、ターゲティングされすぎです。

でも、冬場にこれを履き続けて、良さをさらに実感したとしたら。

オールバードラインナップ

もしかしたら、春頃には、もうちょっと明るい色の、ローカットのを買っちゃうかも。まんまとターゲット広告にやられるの巻、かな。

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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